お正月のお神酒とお屠蘇の違いお屠蘇の中身と基本のレシピ

お屠蘇(とそ)は元旦に飲む薬酒でお神酒(みき)とは別、その違いご存知?お屠蘇の中身と作り方の基本レシピ&アレンジをご紹介。お屠蘇はお雑煮と同じく地域によって作り方は様々です。意外と知らないお屠蘇の意味と由来もわかりやすくお伝えします!

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お正月のお神酒とお屠蘇の違いって?

うちは両親がお酒好き。
高齢になった今でもお正月ともなると元旦の朝のお屠蘇から始まり、三が日は毎食のお供にお酒を飲んでいます。
初詣に神社に行けば振る舞い酒、帰ってきてはおせちを肴にお酒。

そんな家に育ったせいか、大人になるまでお神酒(みき)とお屠蘇がごっちゃになっていて、自分が成人してお酒を飲めるようになって初めてお神酒とお屠蘇の味の違いを知りました。

 

〈お神酒とお屠蘇の違い〉

お神酒(みき)は清酒。日本酒ですね。
お屠蘇は漢方薬を浸した薬酒。

で、用途・目的でいえば、

お神酒は神前に供える酒。
お屠蘇は延命長寿を祝って年頭に飲む。または、年頭に飲む祝い酒。

 
このお神酒とお屠蘇の違いについては、私の友人たちも、

「実家じゃぜ~んぶ『お屠蘇』って言ってた、いや言ってる今も」

「うちはお屠蘇は日本酒入れてるだけ、薬酒だなんて知らなかった」

「うちなんかお屠蘇は養命酒だったよー」

と、区別がついてる方が少数派でした。

子供の頃は、元日の朝、家族が顔を揃えて、新年のあいさつを済ませたらまずいただくのがお屠蘇(とそ)だったけど、口をつける真似だけ。
清酒と薬種の違いなんでわからないですよね。

お神酒もお屠蘇も両方聞いたことがあるけど、その実、お神酒とお屠蘇の違いをちゃんとわかってない大人って多いと思います。

お神酒とお屠蘇の違いをまとめると、

■ お神酒・・・神様にお供えしたお酒。通常は日本酒。

■ お屠蘇・・・元旦に1年の健康を願って飲む薬酒。

ってことです。

 

元旦のお屠蘇の意味はお屠蘇の中身にある

上述のように、お屠蘇は元旦に1年の健康を願って飲む薬酒のことですが、
邪気払いの効果があるともいわれています。

元々は中国伝来の風習。

中国で邪気を祓い不老長寿になれる薬酒として、大晦日に井戸の中に漢方薬をつるし、元旦に引き上げて酒に浸したものを年少者から順番に飲んだことに由来します。

よく見るとお屠蘇の屠、「屠る(ほふ-る)」という物騒な漢字が使われていますよね。

屠殺(とさつ)とか屠畜(とちく)という言葉に使われる「屠」は、家畜等の動物を殺すこと。

なぜこんな字が入るのか調べてみると、「お屠蘇」という名前には、邪気を屠(ほふ)り魂を蘇らせるという意味がありました。

他にも、前年までの古い自分を「屠」り、新年とともに新しい自分に「蘇」えるという意味が込められているという解釈もあります。

邪気払いの効果があって、新生NEO自分になって、不老長寿。
なんにせよ縁起物です^^

そんなお屠蘇、日本には平安時代の宮中儀式として取り入れられ、江戸時代に庶民の間に広がり続いてきました。

 

〈屠蘇散とは?お屠蘇の中身は地方によって異なる〉

お屠蘇は「屠蘇散」と呼ばれる生薬を浸したみりんと日本酒を混ぜたものです

屠蘇散とは、5~10種類の生薬を配合したもの。

山椒(さんしょう)や桔梗(ききょう)、防風(ぼうふう)、陳皮(チンピ)、肉桂(にっけい)、白朮(びゃくじゅつ)、乾姜(かんきょう)、蜀椒(はくしょう)、虎杖(いたどり)、細辛(さいしん)、大黄(だいおう)

などで調合されています。

それぞれが健胃・解熱・鎮咳・利尿・発汗などの効能を持つ漢方薬で、胃腸の働きを盛んにし、血行をよくし、風邪を引かないようにする効用があるようです。

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そして、屠蘇散を浸す日本酒や本みりんには必須アミノ酸、ミネラルやビタミン類が含まれており、血行を促進させるアルコール分もあります。

効能が盛りだくさんかのような「お屠蘇」。
ですが、まー、しかし生薬的には効能が有っても、お屠蘇として飲む場合はせいぜい盃に三杯程度。
量的には食用の範囲、医療効果はないでしょうね。

 
で、このお屠蘇なんですが、お雑煮と同様、お屠蘇の中身は地方によって違うんです。

たとえば、江戸の昔から酒造りを行っており現在に至るまで杜氏や蔵人など「酒屋もん」が多い越後よしかわでは、屠蘇散は使いません。
吟醸酒やにごり酒を「お屠蘇」と呼んで元日にいただきます。

熊本や鹿児島、島根などでは、地元産の特殊な甘いお酒を用いる地域もあります。

他にも、屠蘇散を本みりんに入れるもの、お酒だけに入れるものなど多様です。

お屠蘇のことをいろいろ調べていくと、お屠蘇は、西日本と首都圏中心の行事らしいことがわかってきました。

他の地方では、屠蘇散が入らない日本酒を、お正月の祝い酒として「屠蘇酒」と呼んでいるところも多くありました。

屠蘇散を浸すと独特の香りや甘みがあるため、好みが分かれる部分もありますね。
 

屠蘇散で作る基本のお屠蘇とアレンジお屠蘇

屠蘇散は薬局やスーパーなどで販売されています。

我が家の近くでは「屠蘇延命散」という名前で販売されていました。
年末に日本酒や本みりんを買うと、屠蘇散が付いてくることもありますよ。

ティーパックのようになっている場合が多いので、これを大晦日に日本酒かみりんに浸し、元旦に引きあげれば出来上がり。
超簡単です。

日本酒に浸すとスッキリ味、みりんに浸すと甘くなります。

 

〈基本のお屠蘇レシピ〉

■ 用意するもの

・屠蘇散

・お酒 または 本みりん 300ml程度

・カラフェや銚子などの容器

 
■ 作り方

1. お酒または本みりんをカラフェや銚子などの容器に入れる。

2. 市販の屠蘇散を浸す。

3. 7~8時間を目安に屠蘇散を取り出す。
  長時間浸しすぎると、苦味が出てしまうので注意。
 
 
※ 屠蘇散の説明書きを参考に確認して、出来上がり時間から逆算して作り始めること。
抽出時間が長すぎると、濁ったり沈殿物が出たりすることがあります。
 
   

〈お屠蘇の味わい方で作り方アレンジ〉

 
● スッキリ飲みたい → お酒で作る

※お酒を使う場合は濃醇系のお酒にすること。

お屠蘇は香りを楽しむものでもあるので香りが強いお酒は厳禁。
お屠蘇の香りとお酒の香りがぶつかってしまいます。

また、淡麗系のお酒もお屠蘇の味ばかりが際立ってアンバランスに。
濃醇系のお酒がおすすめですよ。

 
● 甘さとコクを楽しみたい → 味りんで作る

※味りんを使う場合は「みりん風調味料」ではなく、必ず「本味りん」を使うこと。
本味りんはもち米で造ったお酒で、独特の甘さと風味を楽しめます。

 
● スッキリ感とコク、両方楽しみたい → お酒と味りんのブレンドで作る

お酒と本味醂の比率は1:1を基本に、お好みで増減

 

まとめ

お正月に無病息災長寿を願って飲まれるお屠蘇。

お屠蘇は元旦にしか飲んではいけないという決まりはありません。
3が日にいらしたお客様にも勧めてOK。

今度のお正月は、あなたのお好みの味わいで「我が家の味」「私の味」のお屠蘇を作ってみませんか?

お屠蘇づくりのキモは素材につきます。
上質な日本酒や本みりんを選ぶとおのずと上手に作れますよ。

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