お正月のお屠蘇がまずいはウソ作法と飲み方で道具も器も簡単に

お正月のお屠蘇、もうまずいとは言わせない!自宅で作ると簡単美味、正しい作法と飲み方がわかるとカジュアルアレンジもOK。家族みんなが今年一年健康で暮らす儀式のコツは上質なお酒と味りんの調達から。道具や器も家にあるもので気軽にお屠蘇を楽しみましょう。

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お屠蘇ってまずいと思ってるあなたへ

後輩に絶対おいしいお屠蘇レシピを教えたところ、

「リハーサルでお正月前に作ってみたら超おいしかったです!」

と嬉しい感想をもらい、気を良くしてランチをおごってしまいました。
だって、ヨイショとはいえ、神レシピとか言ってくれるし。

「お屠蘇」は、元旦をお祝いするために飲まれるお酒のこと。

酒やみりんで生薬を浸け込んだ一種の薬草酒で、1年の健康を祈る意味があります。

清酒と思っている人も多いようですが、本物のお屠蘇は「屠蘇散」という漢方薬が浸されている、いわゆる薬酒です。

昔から,

「一人これを飲めば一家苦しみ無く、一家これを飲めば一里病無し」

と言われ、お正月の祝いの膳には欠かせないものですが、 最近はお屠蘇を飲むおうちも少なくなってきていますね。

子供の時分に飲んだお屠蘇が超マズだったとか、お屠蘇の香りに苦手意識があったりで、お屠蘇をまずいものだと思ってる人は結構多いんですよ。

これには一理あってですね。
昔のお屠蘇、たしかにまずい時期があったんです。

 

〈「お屠蘇はまずい」を作った原因〉

お屠蘇がまずいものと思われるようになった原因の1つに、「みりん風調味料」の登場があります。

元来、お屠蘇は本味りんを利用して作るのですが、昭和30年代以降、「みりん風調味料」を使ってお屠蘇を作る家庭が増え、本来お屠蘇が持つ甘みが化学的な旨味に変わってしまったという背景があります。

本味りんというのはお酒に分類されます。
なので酒屋の免許がなければ販売できないものなんですね。

ちなみに「味りん」は本来は飲むために造られたお酒です。

戦国時代から造られ江戸時代には多くの人々に愛飲されていたんですよ。
現在のように調味料になったのは戦後のことです。
アルコール度数も日本酒と同等のアルコール度数です。

話を戻します。

「みりん風調味料」とは、糖類や化学調味料・酸味料・塩などを配合し、アルコール分が1%未満のものをいいます。

これは酒類ではないので、昭和の時代、免許を持たないスーパーや小売店などで、本味りんの代わりに「みりん風調味料」を置くようになりました。

特に昭和の高度経済成長の時期。

発達した新興住宅地に移り住んだ人たちは近くのスーパーでしか買い物が出来なかったせいもあり、本味りんを買うことが出来ず「みりん風調味料」しか手に入らないという時期が長く続きました。

お屠蘇も、そんなみりん風調味料で作られることが多くなり、こうしたお屠蘇を飲んだ子供達が、

「まずい」

という印象を持ったのではないかと思われます。

今はスーパーでもフツーに本味りんを扱っていますが、本味りんを扱えるようになったのは平成9年からです。

一方、お酒にも同じような問題がありました。

戦後から昭和50年代までの日本酒は、糖類や化学調味料を添加した大手メーカーの「合成酒」が主流。

この合成酒で作ったお屠蘇も、やはり美味しくはなかったはずです。
ちゃんとした本醸造酒や純米酒が身近で手に入るようになったのは、歴史も浅く、平成4年になってから。

今もみりん風調味料や合成酒は、本味りんや本醸造酒・純米酒に比べると値段も手頃なので利用する人も多いのです。

こういった純粋じゃない素材で作られたお屠蘇を飲むことで、

「お屠蘇はまずい」

といったイメージが徐々に拡がったんじゃないかなと思います。

 
上述の後輩も周りの友人も、お屠蘇を敬遠する理由を、

「まずい思い出しかない」

「縁起物で体に良い成分が入っている事は理解できでもまずい」

「精神的に嫌なの、まずいから」

って言ってました。

そこで言いたい!

お屠蘇は素材がすべて、素材がキモなんです!!

良い素材を選べば、それだけで自ずと美味しくなります。

美味しいお酒や本味りんが手軽に買えるようになった今、「美味しいお屠蘇」はカンタンに味わえます。

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お屠蘇のまずい思い出を、美味しいお屠蘇で上書きしてみませんか?

◇詳しいお屠蘇レシピはこちら
お正月のお神酒とお屠蘇の違いお屠蘇の中身と基本のレシピ

 

お正月のお屠蘇の作法お屠蘇の正式な飲み方

お屠蘇は、元旦の朝、家族で新年の挨拶をしたら、

「家族が1年健康で過ごせるように」

と祈りながらいただきます。

通常の宴席ではお酒は、その場で一番偉い人や年長者から飲むもの。
ですが、お屠蘇はその逆です。

これは、お屠蘇の由来になった中国での飲み方と同じで、年少者から年長者へと盃をすすめていきます。

「年少者の若さを年長者がいただく」

という若さにあやかろうとする意味だとか、若い者に毒味をさせるという昔の思想が残っているからだとか言われています。
若い人、ちょっと気の毒ですね(笑)

お屠蘇は元旦だけではなく三が日に訪れるお客さんに振る舞うのもOK。

年賀に訪れた人にお屠蘇をすすめる場合も、若い人から順にすすめていくのが正式な飲み方です。

 

〈お屠蘇の飲み方の基本〉

普通の飲み物としてのお酒ではなく縁起ものなので、きちんと正式な作法があります。
杯の持ち方にも決まりがあるんですよ。

 
■ お屠蘇の正式な飲み方

1. 元日の朝に汲んだ水で手を清める

2. 神棚や仏壇を拝む

3. 東の方角を向く

4. 飲む人の右側から注いでもらう

5. 注ぐときには二回注ぐ形、三回目で注ぐ

6. 注がれる時には胸の高さに杯を上げて受ける

7. 飲むときは二回は飲む形、三回目で飲む

8. 男性は片手で、女性は両手で杯を受ける

9. 年少者から年長者の順に飲む

10. 「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」と唱える。

※厄年は年齢に関わらず一番最後にいただく。

さらにいうと、屠蘇器の大中小の三つ重ねの杯を使って、それぞれの杯に注がれたお屠蘇を一人で飲み干すのが本来の形です。

ただこの頃では大は父親、中は母親、小は子供というように割り当てて飲む飲み方も多いようです。

 
お屠蘇のお作法、上記はあくまで正式とされているルールです。

お屠蘇はその家のしきたりでもありますし、地域によっては「3」の東を向きながらとか、「10」の祈りの言葉を唱えるなどはされていません。

簡略化されたお作法でも全くかまわないのです。
 

お屠蘇の道具や器は屠蘇器じゃなくてもいい?

正式な飲み方と飲む順番があるように、お屠蘇を入れる銚子や飲む器、酒器にも決まりがあります。

「屠蘇器」といって、

・銚子

・杯(盃)

・盃台

・屠蘇台

これら四つの酒器が一組になっているものです。

 
お屠蘇の正式な飲み方は「屠蘇三献」といい、一人で杯を三つ使う飲み方をします。
なので屠蘇器には杯が三つあります。

重ねてある杯は三つ組杯(みつぐみはい)といいます。
上の杯から、小→中→大の順に杯をあけます。

使用するときには銚子飾りを結び付けてから使います。

屠蘇器は漆器製のものが普通ですが、金属製、陶磁器製といった屠蘇器もあります。

価格は、安いものは3000円台から、高いのになると3万円を超すものも。
器ですので、輪島塗などの凝ったものになると7桁のものもあります。

 

〈屠蘇器がないんだけど〉

おうちに屠蘇器がなくても大丈夫。
我が家ではココ数年お屠蘇セットを使っていません。

私はカラフェやガラス製のティーポットでお屠蘇を作って、それにお正月っぽい飾りをつけて使っています。

杯は小ぶりのお皿を使ったり、お気に入りの盃で代用のカジュアルお屠蘇です。

お正月らしい雰囲気がでるようなお銚子や盃で気楽にお屠蘇をいただきましょう。

 

まとめ

お屠蘇は屠蘇散のティーパックで簡単にできますし、上質な味りんとお酒を使えば家族に「まずい」なんて言わせません。

お屠蘇の正式な作法でお屠蘇を楽しむも良し、簡単カジュアルでお屠蘇を楽しむも良し。

お屠蘇の器は家にあるものを使うのも一興です。
紅白の飾りをつけるなど、ちょっとした工夫でお正月気分になりますよ。

家族みんなが今年一年健康で暮らす「契約」儀式のお屠蘇で、どうぞ健やかなる新年をお迎え下さいませ。

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