二百十日とは何の日?農家の厄日と呼ばれる理由と風祭り行事の意味

二百十日とは何の日?農家の厄日と呼ばれる理由と風祭り行事の意味

二百十日とは何の日?

農家の厄日と呼ばれるのはどうして?

風祭りや風鎮めの行事ってどんな意味?

その疑問、解消します!

なぜ二百十日が設けられたのか、

台風が農家に及ぼす影響、

各地に残る二百十日の行事、

防災の日との関係も含めて、

わかりやすくお伝えします。

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二百十日とは何の日?

夏休みシーズンも終わり、新しいカレンダーをめくる頃。

二百十日(にひゃくとおか)」

という文字を手帳や暦で見かけたことがありませんか。

二百十日は雑節のひとつです。

雑節というのは、昔の人が二十四節気(にじゅうしせっき:一年間を24等分したもの)や五節句(ごせっく:季節の節目の行事)の他に、季節の変化を目安とした特定の日の総称のことです。

雑節は、『立春』や『啓蟄』『春分』といった二十四節気を補完するものとして言いならわされてきたもので、

よく耳にする『節分』や『土用』『彼岸』なども雑節のひとつです。

二百十日は、二十四節気の立春(2月4日頃)から数えて210日目の日を指し、毎年9月1日頃がこの日にあたります。

二百十日の意味は?

二百十日は簡単に言うと、「嵐が来る日」。

台風が来るのを警戒しなければいけない日

という意味合いです。

農家にとってこの時期はちょうど、稲の開花期にあたります。

ですが、台風が、農作物に大きな被害をもたらすことも多くありました。

そのため、農家の人たちは、この二百十日をひとつの「注意をしなければいけない日」としました。

二百十日は「注意をしなければいけない日」、すなわち『厄日』にすることで、

二百十日は台風に警戒して、油断することなく過ごそう

としたんですね。

二百十日は、夏の高気圧は次第に勢力を弱めてはいても、海水温はまだまだ高いため、昔からこの時期は勢力が強い大型の台風が襲ってくることが多いとされてきました。

海でも、二百十日は古くから伊勢の船乗りたちの間では凶日とされていました。

二百十日が雑節として暦に記載されたのは江戸時代。

1656年に発刊された伊勢暦(いせこよみ)に記載され、それから一般的に広まったと言われています。

農家の三大厄日とは?

二百十日は農家の三大厄日のひとつです。

雑節の八朔」・「二百十日」・「二百二十日」の3日は、台風に見舞われる確率の高い日(荒日:あれび)として、古くから三大厄日として怖れられていました。

「八朔(はっさく)」は旧暦の八月一日(朔日)のことです。

◇ 八朔について詳しくはこちら。
旧暦8月1日の八朔とはどんな意味?名前の由来でわかる伝統行事
 

「二百二十日(にひゃくはつか)」は立春(2月4日頃)から数えて220日目を指します。

◇ 二百二十日についてはこちらをどうぞ。
二百二十日2022年はいつ?農家の三大厄日とされる理由とは?

台風による農家の稲被害とは?

台風が来ると稲にはさまざまな被害が生じてしまいます。

  • 大雨による水害
  • 強風による被害
  • 白穂の発生

それぞれの被害についてお伝えしますね。

大雨による水害

台風がもたらす大雨で田畑が冠水すると、稲穂は水に浸かったままの状態になってしまい、駄目になってしまうことがあります。

強風による被害

台風による強い風は、稲の茎を折り、風圧で稲をなぎ倒すこともあります。

また、雨を吸った稲の穂先は重くなっているので、強い風が吹くと簡単に折れてしまいます。

白穂の発生

白穂(しらほ)というのは、実らずに枯れて白くなった稲穂のこと。

台風によってフェーン現象が発生し、出穂時期の稲が高温で乾いた風にさらされると、水分の異常な欠乏により白く枯れてしまうのです。

そうなると、稲は白穂と呼ばれる状態になってしまいます。

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二百十日の行事はどんなものがあるの?

嵐が来る、台風が来る、と怖れられていた二百十日は風が強くなる日とされてきたので、各地で風害から農作物を守るための風鎮めの行事が行われています。

風を鎮めてもらうように神さまに祈りを捧げる行事は「風祭り」と呼ばれています

風祭り以外も、風日待ち、風祈祷、風防ぎ、荒れ日などと呼んで、各地で神事が行われてきました。

獅子舞によって風神を追い払う行事もあります。

また、鎌が風の力を衰えさせると信じられていたため、屋根の上や軒先に鎌を取り付けたり、竹竿の先に鎌を付けて立てたりする風習もあります。

おわら風の盆

農作物を守るために風を鎮めるための「風祭り」は全国各地に残っています。

中でも、風の日が多い日本海側の、富山県の「おわら風の盆(おわらかぜのぼん)」は有名な風祭りです。

毎年9月1日から3日にかけて行われている富山県を代表する行事で、「越中八尾の風の盆」としても知られ、風神を踊りにあわせて送り出してしまうというお祭りです。

「風の盆」の名称の由来については、風鎮祭からともお盆行事からともいわれ、はっきりとしたことはわかっていませんが、300年以上の歴史があります。

風を鎮める豊年祈願と盆踊りが融合した独特の風情は、小説や歌にも数多く登場しています。

1989年末の「第31回日本レコード大賞」最優秀歌唱賞を受賞した石川さゆりさんの「風の盆恋歌(かぜのぼんこいうた)」は、このおわら風の盆を歌った富山県のご当地ソングです。

9月1日は防災の日

二百十日は例年9月1日頃。

9月1日といえば、防災の日を忘れてはいけません。

9月1日は1923年9月1日に発生した関東大震災の記念日です。

1960年、9月1日は防災の日に制定され、この日を含む防災週間も設定されており、防災訓練が各地で行われています。

台風でいえば、過去に大きな災害をもたらした台風は9月に来たものが多くあります。

1934年(昭和9年)9月21日の室戸台風・1945年(昭和20年)9月17日の枕崎台風・1959年(昭和34年)9月26日の伊勢湾台風はその被害の大きさから「昭和の三大台風」といわれています。

平成に入ってからは、塩害による被害などが大きかった1991年(平成3年)9月27日の台風19号や、広島の最大瞬間風速の記録を更新した2004年(平成16年)9月7日の台風18号などがあります。

台風に警戒する二百十日の時期に、わたしたちも台風や津波、地震などの災害について認識を深めて、防災について考えるのも大切ですね。

◇ 防災の日について詳しくはこちら。
9月1日が防災の日なのはなぜ?由来でわかる防災週間にこめられた意味

二百十日とは何の日?農家の厄日と呼ばれる理由と風祭り行事の意味 まとめ

二百十日は雑節のひとつ。

二十四節気の立春(2月4日頃)から数えて210日目の日を指し、毎年9月1日頃がこの日にあたります。

「台風が来るのを警戒しなければいけない日」

という意味合いです。

雑節の「八朔」・「二百十日」・「二百二十日」の3日は、台風に見舞われる確率の高い日(荒日:あれび)として、古くから三大厄日として怖れられていました。

農作物を守るために風を鎮めるための「風祭り」は全国各地に残っています。

9月1日は防災の日でもあります。

自然災害のニュースが後を絶たない昨今、異常気象による災害や震災に見舞われないとは限りません。

二百十日は防災の心がけをチェックする日としても意識したいですね。

◇ 記事中でご紹介した関連記事
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