年と年度の違いは? 新年度や新学期が4月始まりなのはなぜ?理由は?

年と年度の違いは? 新年度や新学期が4月始まりなのはなぜ?理由は?

「年」と「年度」の違いは何?

新年度や新学期が4月始まりなのはなぜ?

4月の年度初めが多い理由は?

その疑問、解消します!

『会計年度』と『学校年度』の意味と由来、

年度が作られた当時の歴史的背景、

農作物の年度も含めて、

わかりやすくお伝えします。

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「年」と「年度」の違いは?

新年度の4月は入学式シーズン、

入学式のイメージは満開の桜の下で記念写真、という人も多いのでは。

幼稚園から大学まで、新しいスタートはすべて4月からですね。

国の予算も4月始まりだし、会社も多くが4月が年度初め。

新卒の入社式も、入学式同様、4月に行われるところが殆どです。

普段使っているカレンダーの暦(こよみ)は1月から始まるのに、

学校や役所、会社など、

わたしたちの生活に深く関わるものが4月スタートというのは、考えてみると不思議ですよね。

そもそも年と年度の違いとは?

わたしたちが普段使っている暦には、「暦年(れきねん)」というものがあります。

暦年というのは、暦における1年の区切りのことで、1月1日~12月31日を「1年」としています。

」とは1月1日から12月31日までの1年間、つまり暦年のことを指しているんですね。

で、それとは別に、「年度」が存在しています。

年度」というのは、事務や会計などの便宜上、特定の目的のために決められた1年間の区切り方を指します。

年度の始まりの日を「年度初め」と言い、

年度初めからの1年間を「年度」としています。

年度の期間で一般的なのは、「4月1日~翌年3月31日」までを1年とした区切り方です。

国や地方自治体が予算を執行するための『会計年度』、

学校などで学年の切り替えを行う『学校年度』、

この2つは、「4月1日~翌年3月31日」の区分を採用しています。

よく知られている年度は、この4月から3月までの区切りを指す年度ですが、

民間企業などの決算期を指す意味での『会計年度』という概念もあります。

これは、会社によっては起業月を始まりにしているところや、9月始まりとしているところなどもあり、まちまちです。

欧米の学校も、夏休みを区切りとして新年度が始まるため、9月を学年始めとしていますね。

年と年度による違い

たとえば、官公庁へ書類を提出するとします。

書類について「年」と「年度」の違いを見てみると、

令和6年3月は、

「年」では令和6年(2024年)となり、

「年度」では令和5年度となります。

令和6年4月になると、

「年」では令和6年(2024年)となり、

「年度」では令和6年度となります。

独自の年度を持つ農作物

日本国内では、農作物などにさまざまな年度があります。

例えば「砂糖年度」は10月1日から始まり、翌年の9月30日までの1年間。

「大豆年度」、「コーヒー年度」も砂糖年度と同じく、10月始まりの翌年9月までの1年間を区切りとしています。

他にも、7月1日から翌年の6月までの1年間を区切りとする「醸造年度(酒造年度)」

8月1日から始まり、翌年の7月31日までの1年間を区切りとする「綿花年度 」、

11月1日から始まり、翌年の10月31日までの1年間を区切りとする「米穀年度」などがあります。

新年度が4月始まりなのはなぜ?

年と年度の違いは? 新年度や新学期が4月始まりなのはなぜ?理由は?
年度が「4月1日~翌年3月31日」になっているのは、

米の収穫時期に合わせたもの

というのが通説です。

1886年(明治19年)から始まった国の会計年度は、財政法という法律で4月1日~翌年3月31日と決まっています。

財政法第十一条  国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。
地方自治法第二百八条  普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする

今の「会計年度」というのは、明治時代から続いているんですね。

当時、日本の主な産業は稲作です。

江戸時代から明治時代になったばかりの頃、

新政府にとって、税金の収入源となるものは、農家のお米がメインだったわけです。

ですが、近代の農家は年貢米のようにお米をそのまま税金として収めるわけにもいかず、

政府は現金徴収をするため、

農家が収穫したお米を現金に換えて納税してもらう必要がありました

秋に収穫した稲をお米にして換金、

それを税金として徴収して、

そこから予算の編成をするとなると、

暦年(暦における1年の区切り)のスタートである1月には全然間に合いませんよね。

そのため、税金の徴収が一段落して、全体の収入が確定した段階で、次の「1年」の予算を組むには、4月からを新年度とするほうが都合が良かった、と考えられています。

また、4月を新年度にしたのは、イギリスの影響もあったと言われています。

当時、軍事力、政治力、経済力、文化的影響力など総合国力において圧倒的に優れていたのはイギリスです。

そのイギリスの会計年度の区切りが、4月1日~翌年3月31日であったことに倣ったとも考えられています。

そして現在まで、

「4月1日~翌年3月31日」を事業年度にしている会社の多くは、

国等の公的機関に会計年度を合わせた方が都合がいい

という理由があるようです。

新学期が4月に始まる理由は?

年と年度の違いは? 新年度や新学期が4月始まりなのはなぜ?理由は?
日本の場合、新学期のスタートや入学式などは4月の年中行事ですが、

アメリカやヨーロッパでは、新学期のスタートや入学式といった行事は9月です。

4月スタートというのは日本以外ではパナマぐらいだとか。

日本の新学期が4月に始まる理由にはやはり、前述の会計年度と関係がありました。

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新学期が4月に始まる理由

学校の運営というのは、補助金や国や地方自治体の予算編成などと密接に絡んでいます。

そのため、『学校年度』も自然と、国の『会計年度』に合わせて、4月1日が年度初めになっているのです。

明治10年代の末頃までは、小学校はおおむね1月スタートだったらしいのですが、

当時は今のような学年制がなかったので、流動的なものだったと言われています。

学校の先生を養成する師範学校や中学校は、ほぼ9月からだったようです。

9月が新学期や入学の時期だったこともあったんですね。

それが、1886年(明治19年)に、当時の文部省(現在の文部科学省)の指示で高等師範学校が4月始まりになります。

1886年(明治19年)といえば、4月始まりの国の『会計年度』が始まった年ですね。

国の歳入歳出をまとめ、各種予算を編成して、執行していく、

言ってみれば、政府活動としての1年という期間を制定したわけです。

これによって、学校も国の会計年度の始まりの4月に合わせないとお金の処理が不便になると考え、

政府は学校の入学時期を4月に変更することを奨励し始めます。

1888年(明治21年)には全国の師範学校が、

1900年(明治33年)には全国の小学校が、

4月入学という規則を決めることとなりました。

そうして、中学、高校や大学まで含めての、

いわゆる『学校』が4月入学になったという次第です。

◇ 学校の4月始まり・9月始まりについて詳しくはこちら。
日本の学校が4月始まりになった理由は?海外の新学期は何月か一覧で!

年と年度の違いは? 新年度や新学期が4月始まりなのはなぜ?理由は? まとめ

「年」とは1月1日から12月31日までの1年間、暦年のことを指しています。

「年度」というのは、事務や会計などの便宜上、特定の目的のために決められた1年間の区切り方を指します。

1886年(明治19年)から始まった国の会計年度が「4月1日~翌年3月31日」になっているのは、

『米の収穫時期に合わせたもの』

というのが通説ですが、

当時の覇権国であったイギリスの会計年度に倣ったとも考えられています。

日本ではなぜ4月が新年度・新学期となったかについては、

その理由は明治時代の「会計年度」が始まりです。

日本人にとって学校の新年度は4月が当たり前ですが、

先進国の多くが9月入学となっています。

「日本でも世界水準にあわせて学校年度を変えよう」

といった議論も以前からありますが、

年度を変えるにあたって絡んでくる法律があまりに膨大な上、

国の「会計年度」が元になっているだけに、

事実上、学校年度を変えるのは不可能と言われています。

桜の時期の年度替わりは、日本ならではの文化でもありますね。

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