お彼岸にお墓参りをするのはなぜ?
お彼岸とは、いったいどんな日なの?
その意味や由来、歴史からあなたの疑問を解消します!
「暑さ寒さも彼岸まで」
季節の節目にある春分の日と秋分の日は、あの世とこの世が最も近くなります。
あなたはどんな思いを馳せますか?
お彼岸とは?お彼岸の意味を教えて!
お彼岸は年に2回のお墓参りイベント、
渋滞を覚悟で一日かけてお彼岸にお墓参りに出かける人も多いと思います。
私の周りでも、お彼岸渋滞にはゲンナリだけど、親がお彼岸の期間に行きたがるからという理由で、この時期にお墓参りをする人が少なくありません。
仏教行事でありながら、お彼岸にお墓参りをする習慣は日本独自のものと聞いて驚いたことがあります。
現代に残る仏教行事のほとんどが中国やインドを起源にするものです。
ところが珍しい事に、お墓参りをするというお彼岸行事は、中国にもインドにもないんですよね。
そもそもお彼岸とは、いったい何なのでしょうか?
そもそもお彼岸とは?
お彼岸のシーズンは年に2回あります。
「春分の日」(3月21日頃)と「秋分の日」(9月23日頃)を中心にして、ぞれぞれに7日間。
POINT!
ちなみに、春分の日と秋分の日は国民の祝日ですが、日付は固定されていません。
両方とも春分・秋分の瞬間=太陽の黄経が0゜、180゜となる時刻を含む日として、天文学的な予報にしたがって『官報』により定められます。
つまり、『官報』に記事が掲載されるまでは、「春分の日」「秋分の日」の日付は正式には”未定”ということになります。
■ お彼岸はいつからいつまで?
お彼岸の期間は、3月の「春分の日」と9月の「秋分の日」の前後3日間を合わせた7日間です。
それぞれの初日を「彼岸入り」、
終日を「彼岸明け」、
春分の日・秋分の日を「中日(なかび・ちゅうにち)」
といいます。
■ 彼岸の意味
お彼岸は、「彼方の岸(かなたのきし)」と書きます。
彼方とは遠く隔たった場所。
彼方の岸は、はるか向こうの岸ということ。
仏様が住んでいるあちらの世界のことを指しています。
意味合いとしては、生と死の海を渡って行きつく悟りの世界のこと。
「あの世」という言い方もします。
インドではサンスクリット語で「パーラミータ」と呼ばれていました。
仏教の世界では、彼岸は亡くなったご先祖さまが住む世界、理想の地ということになります。
■ 彼岸と此岸
彼岸とは逆に、今、現在私たちが生きているこちらの世界のことは「此岸(しがん)」と言います。
彼岸(ひがん)はあの世:清浄な(迷いがない)悟りの世界。
お彼岸の始まりと歴史
日本独自といわれているお彼岸の法要は、浄土思想と結びついたという説が主流です。
浄土思想というのは、苦しみや迷いが全くない世界(極楽浄土)は遙か遠くの西方にあると信じている思想です。
当時も今も春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
その、西に沈んでいく太陽に対して彼岸の思いを馳せ、礼拝し、自らをも極楽浄土に旅立てるよう祈ったことからお彼岸が始まりました。
一説にはこの仏教の思想と、太陽信仰が結びついたものが発祥とも言われています。
はるか昔の日本人は、太陽に対して祈りを捧げる信仰がありました。
お日様に祈る「日の祈願」が「日願(ひがん)」となり、西に極楽浄土である「彼岸」があるという仏教思想と結びついたというものです。
お彼岸の歴史
日本で最初にお彼岸の行事を行ったのは、仏教を日本に広めた聖徳太子だったという説があります。
やがて平安時代になると、お彼岸の法要は朝廷の年中行事となり、源氏物語にも彼岸の記述があります。
当時は春彼岸も秋彼岸も今のような形式ではなく、不特定だったようです。
現代のように、春の彼岸と秋の彼岸がお彼岸の中日から前後3日間となったのか定かではありません。
お彼岸の季節は、一年の中でも過ごしやすい時期。
このことから、この一週間は、ご先祖様のいらっしゃる彼岸に意識を向け、仏教の修行に励もう、という日本独自の行事に変化していったようです。
お彼岸にお墓参りをするのはなぜ?
外国文化を日本風にアレンジして生活の中に取り入れるのが得意な日本人が、独自に習慣化したお彼岸のお墓参り。
お彼岸では、お盆の時のような特に決まった行事や飾りつけをすることはありませんが、一般的には中日の前後にお墓まいりに行きます。
家族揃ってお墓参りに行くというのが多いと思います。
なぜ、お彼岸の期間中にお墓参りにいくのでしょうか?
お彼岸にお墓参りをする理由
前述のように、
仏様、亡くなった方が行く場所である
彼岸は西にあるとされています。
私たちのいる現世、つまり此岸(しがん)は東にあるとされています。
まず、春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
西には彼岸、東に此岸です。
太陽が真東から真西に沈む春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じとなります。
この昼と夜の長さがほぼ同じであり、
太陽が真東から真西に沈むこの日こそ、
あの世(彼岸)とこの世(此岸)が最も近くなり、最も通じやすくなると考えられているからです。
そのため、お彼岸の時期はお墓参りでお墓に向かいご先祖様を供養し、故人を偲び、自分もやがては同じ場所(彼岸)へ行けるように祈る風習が続いているのです。
まとめ
あの世の彼岸は西にあって、この世の此岸は東にあるとされています。
お彼岸の時期である「春分の日」と「秋分の日」は、太陽が真東から真西に沈むので、彼岸と此岸が最も近い日。
お彼岸のお墓参りは、ご先祖様の供養や、亡き人に心の中で話しかけたりすることで、心が安らぐ場所にもなりますよ。