おせち料理重箱の詰め方意味と由来基本は何段順番と入れ方

目の前の重箱に綺麗に詰められているおせち料理を見て米国人の友は「アメージング!」と感嘆の声をあげました。
なぜ重箱に入ってるの?何段が基本?詰め方入れ方どうするの?日本の伝統文化であるおせち料理の由来と意味を改めて知り、良い一年のスタートをきりましょう!

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おせち料理を重箱に詰める意味基本は何段?

デパ地下で見る近頃のおせち料理。
和洋中、変わり種から高級なものまで取り入れられ、すっかりお正月の楽しみのひとつとなりました。
重箱の蓋をあけるときのワクワク感は今も昔も変わりません。
重詰めのおせち料理が食卓に並ぶと、お正月気分も一気に盛り上がりますね。

お正月、当たり前のように食べているおせち料理。
ところでこのおせち料理、
なぜ重箱に入っているのかご存知ですか?

諸説ありますが、

「めでたさや幸せが重なるように」

という福が重なる願いがこめられている、というのが一般的。

実務レベルのお話では、

・たくさんの料理を用意するため、重箱に入れて重ね置きすることで保管スペースを節約した

・おせち料理は何日かに分けて食べるので、ホコリや虫が入らないように蓋が必要なため、蓋があって重ねられる重箱が活用された

などの説があります。

まー、コンパクトに重ね置きできる上、蓋があって保存しやすい、しかもソレを重ねることで福も重なるとなれば、重箱、使わない手はないです。

基本は四段。
正式な重詰めは四段重ですが、五段重という場合もあります。
一の重、二の重、三の重、与の重とあり、四は死を連想させ縁起が悪いということで、与の重と呼ばれます。

最近の傾向では大家族が減っているため、市場のマーケット的には三段重がメインのようです。

詰め方や内容は地域によっても様々ですが、代表的ものを。

・壱の重:【口取り・祝い肴】黒豆、数の子、田作りなど。
     ※地方によっては「口取り」は二の重に入れる。
      
・弐の重:【焼き物】ブリ、海老など海の幸の焼き物。
     ※地方によっては参の重に入れる。

・参の重:【煮物】レンコン、里芋、こんにゃくの煮物など、山の幸。
     ※地方によっては与の重に入れる。

・与の重:【酢の物・和えもの】紅白なますなど。

・五の重:「控えの重(空っぽ)」 

 

〈五の重が空っぽな理由〉

五の重が空っぽ。。。そのワケは、

・年神様から授かった福を詰める場所として空っぽにしておくという説。

・「今が最高」ではなく、「これから富が増える余地がある」ことを願って空っぽにするという説。

・詰め切れなかった料理やお雑煮の椀種などを入れておく「予備スペース」説。

・「まだまだ幸せを詰められますよ」と言う意味合いの「幸せ枠」説。

調べてみると五の重が空っぽの理由は諸説あるのですが、
いずれにしても何かのためのスペース(余地)のようです。
5段目が「控えの重」と呼ばれる由縁でしょうか。
日本人ならではの風情を感じる呼び名です。

ちなみに、
「おせち=重箱」というイメージが完全に出来上がったのは、昭和の戦後復興期、デパートがおせち販売をする際の戦略がキッカケだったとか。
今も昔も商売人の仕掛けから新しい伝統が拡散されているようです。

おせち料理の由来と意味

近頃ではデパートや老舗料亭のおせちを調達するおうちも増えてきたので、自分でおせち料理を作った事がないという方も多くなりましたが、もともとは各家庭が年神様のお供え物として年末に用意をするものでした。

平安時代、宮中で元旦や五節供などの大切な節日を祝うため、神様にお供えした食べものを「御節供」(おせちく)と呼びました。

これがのちに「おせち」と呼ばれるようになったと言われています。
ちなみに由来となった「御節供」、当時は現在のような豪華なご馳走ではなく、高盛りになったご飯だったと言われています。

元来、おせち料理はお正月だけのものではなかったのですが、江戸時代に入り庶民に広がると、お正月が節日の中で最もおめでたい日だったため、「おせち料理」といえば正月の料理をさすようになりました。

節日とは、
季節の変わり目に祝い事をする日のこと。

・一月一日(人日の節句)

・三月三日(桃の節句)

・五月五日(端午の節句)

・七月七日(七夕の節句)

・九月九日(重陽の節句)

節日の中でも奇数が重なる上記の5つは特に重要とされ、五節句と呼ばれています。
今も続いている主要な日本のお祝い事ですね。

昔はこの節日に食べる料理の事をお節料理と呼んでいました。

節日の中で最もおめでたい日、一月一日元旦。
庶民におせち料理が伝わると、おせち料理は元旦に年神様を迎え入れおもてなしをするために、大晦日からお供えするようになります。

元旦当日にはそのお供え物を下げ、年神様との繋がりや力をいただくという願いを込めておせち料理を食べる、といった習わしになっていきました。

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昔の人は、お正月の三が日は神様が自分の家に滞在していると思っていました。
なので、年神様が家にいる3日間は静かに過ごしていただくため、台所で騒がしくしないという心配りから、保存がきくお料理をたくさん作ったといわれています。

また、かまどの神様に休んでいただくため、とか、神聖な火を使うのを慎むためと、ともいわれています。

他方、年末年始、多忙な女性が少しでも休めるようにという配慮があったとも。

今のように冷蔵庫がなかった時代、さまざまな思いがこめられたおせち料理のいわれと成り立ちですね。

おせち料理の意味と重箱の詰め方と入れ方

栄養バランス・保存性のよさから、まさに先人の知恵の結晶とも言えるおせち料理。
おせち料理には、たくさんの料理がありますが、重箱に詰めるときは、段ごとに詰める内容が決まっています。

ハレの日の料理だけあって、その「詰め方」にも縁起を担いで様々な意味が込められています。

基本を踏まえておくと、重詰めのときだけではなく、皿盛りにする場合にも参考にできますので、一般的な例をご紹介しますね。
ちなみに、各段に詰める料理の種類や個数は奇数(=吉数)が縁起が良いとされていますよ。

 

〈おせち料理はどの重に何を詰めたらいいの?〉

■壱の重【口取り・祝い肴】

重ねた時に1番上になる壱の重。
正月にふさわしい祝い肴を詰める。
※地方によっては「口取り」は二の重に入れる。

とりわけ、
数の子・田作り・黒豆の「三つ肴」は、正月には欠かせないもの。

関西では、黒豆ではなくたたきごぼうを加えた、数の子・田作り・たたきごぼうが三つ肴。

【数の子】子宝に恵まれ、子孫繁栄。ニシンの子なので「二親健在」にも通じる。
     
【田作り】イワシが畑の肥料だったことから「田作り」「五万米」(ごまめ)と呼ばれる豊作祈願の料理。小さくても尾頭付き。

【黒豆】まめに(勤勉に)働き、まめに(丈夫で元気に)暮らせるように。

【たたきごぼう】ごぼうのように根を深く張り代々続く。たたいて身を開き開運を願う。

【紅白かまぼこ】半円形は日の出(年神様)を表す。おめでたい紅白で、紅は魔除けの意味があり、白は清浄を表す。

【伊達巻】昔の伊達者(シャレ者)たちの着物に似ていたので伊達巻と呼ばれるようになったといわれる。「伊達」とは華やかという意味がある。巻き物が書物や掛軸に通じることから知識や文化の発達を願う。

【昆布巻】「喜ぶ」にかけて

【栗きんとん】栗は「勝ち栗」と呼ばれる縁起もの。「金団」と書き、黄金色で縁起がよく蓄財につながる

【ちょろぎ】「長老喜」「千世呂木」と書き、長寿を願う

【錦玉子】黄身と白身の2色が金と銀にたとえられる。2色を錦と語呂合わせしているとも。

■弐の重【焼き物】

縁起のいい海の幸が中心。

【ぶり】ぶりは大きさによって名前が変わる出世魚。ぶりで立身出世を願う。 
【鯛】「めでたい」にかけて。姿もよく味もよい鯛は、江戸時代から「人は武士、柱は檜(ひ)の木、魚は鯛」といわれ、めでたい魚として祝膳には欠かせないもの。
 
【海老】腰が曲がるまで長生きできるように。

■参の重【煮物】 

山の幸を中心に、家族が仲良く結ばれるよう煮しめる。

【れんこん】穴があいていることから、将来の見通しがきくように。

【里芋】子芋がたくさんつくことから、子孫繁栄。

【八つ頭】頭となって出世をするように、子芋がたくさんつくので子孫繁栄。

【くわい】大きな芽が出て「めでたい」、子球がたくさんつくので子孫繁栄。

【ごぼう】根を深く張り代々続く。

■与の重【酢の物・和えもの】

忌み数字の「四」は使わず、「与の重」とする。
日持ちのする酢の物などを詰める。
三段重の場合は、酢の物も焼き物などと一緒に、彩りよく詰めるとよい。

【紅白なます】紅白でめでたく、祝いの水引にも通じる。根菜のように根を張るように。

【菊花かぶ】菊は邪気を祓いと不老長寿の象徴。

【小肌粟漬け】小肌はコノシロという魚の成魚になる前の名前。出世魚で縁起がよい。クチナシで黄色く染めた粟で、五穀豊穣を願う。

・五の重【控えの重】
年神様から授かった福を詰める場所として空っぽにしておく。
もしくは、家族の好物や予備の料理などを入れる。

なぜこのような決まりになったのかは調べきれませんでしたが、壱の重から与の重にかけては、メイン料理→副菜という流れになっている印象です。

まとめ

中華おせち、イタリアンおせちやフレンチおせちなどの「洋風おせち」なるものが販売されていたりと、おせちもとても多彩になりました。
けれども、食材の一つ一つ、重箱にまで幸せの願いを込めた昔ながらのおせち料理を改めて見直してみると日本人の魂に触れる思いがします。
先人の知恵と心を大切にしながら爽やかなお正月を迎えたいものです。

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