見ざる言わざる聞かざるの三猿は日本発祥?日光三匹の猿の意味と由来

「見ざる言わざる聞かざる」、三匹の猿が自分の目・耳・口を両手で塞ぐポーズは日本発祥?三猿の意味と由来、意外な起源を解説。古来から伝わる賢く生きるための知恵を猿に置き換えた表現は、古今東西の大人の処世術。この深い教えには孔子の論語が影響しています。

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「見ざる言わざる聞かざる」三猿は日本発祥じゃない?

「見ざる・言わざる・聞かざる」

猿が自分の目・耳・口を両手で塞ぐポーズ、見たことあると思います。

「余計なことは見ない、聞かない、言わない」

っていうことだよ、
と子供の頃に親から教えてもらったことがあります。
 
日光東照宮の三猿20170427
 
日光東照宮の三猿(さんざる、さんえん)は有名ですよね。

わたしは長いこと、三猿というのは日本オリジナルのものだと思っていました。

だいたい、
「見ざる・言わざる・聞かざる」というコンセプトに、語呂合わせで「猿」をくっつけて、

見ざる → 見猿 ってことで、

「見猿・聞か猿・言わ猿」

このオヤジギャグ的なダジャレは、どう考えても日本。
世界にもあるなど考えたこともありませんでした。

日光東照宮の三猿の彫刻を見るたびに、

「ゴロ合わせの逸品だなー」

と思っていました。

ところが、ある時。

友人が、『猿が目・耳・口を塞ぐポーズの三猿』はインドでフツーにあったし、昔から世界中にあり日本固有のものではない、と教えてくれて非常に驚きました。

ってことは、

「見猿・聞か猿・言わ猿」は偶然のダジャレってこと?

日光東照宮の社殿群は平成11年12月「世界文化遺産」に登録されています。

偶然のダジャレが世界文化遺産に含まれているってことなんでしょうか。
 

見ざる言わざる聞かざるの意味とは

三猿の「見ざる・言わざる・聞かざる」の起源で有力なのは、漢語の、

「不見・不聞(不問)・不言」

を訳した天台宗の教えというものです。
これを僧たちが、

「見ざる・言わざる・聞かざる」

として8世紀頃に日本に伝えたのがキッカケという説です。

 
漢語の「不見・不聞(不問)・不言」は、
孔子の『論語』の一節、

「非礼勿視 非礼勿聴 非礼勿言 非礼勿動」

から来ています。

「礼にあらざれば視るなかれ、
 礼にあらざれば聴くなかれ、
 礼にあらざれば言うなかれ、
 礼にあらざればおこなうなかれ」
 
 
礼っていうのは礼節、すなわち礼儀と節度(作法)のこと。

わかりやすく言うと、

「礼儀作法にそむくものは見てはいけない、
 礼儀作法にそむくものは聴いてはいけない、
 礼儀作法にそむくものは言ってはいけない、
 礼儀作法にそむく行為をしてはいけない」
 
礼儀作法をわきまえない言動を戒めているんですね。


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〈「見ざる言わざる聞かざる」の意味〉

現代風にザックリ言うと

「見ざる・言わざる・聞かざる」

という言葉の意味は、

「余計なことは見ない、言わない、聞かない」

ということ。

 
小さな子供に対しては、

「子供の時分には悪い事を見ない、言わない、聞かない」

という大人からの教えであり、また、

「子供の頃は、悪いことを見たり聞いたり話したりしないで、素直にまっすぐ成長してほしい」

という願いもこめられているようにもとれます。

大人に対しては、

「自分に不都合になることは見ない、言わない、聞かない」

「邪悪なことは見ない、言わない、聞かない」

「人の欠点を見ない、言わない、聞かない」

という賢い大人の処世術としてもとれますね。

もっと言えば

「余計なことに首を突っ込むな」

という教えにも。

総じて、

■ 「口は災いのもと」

■ 「君子危うきに近寄らず」

というような意味がとれて、
さまざまな解釈ができる奥が深い言葉ともいえます。

〈「見ざる言わざる聞かざる」を英語で言うと?〉

東照宮の三猿は向かって右から

「見ざる・言わざる・聞かざる」

の順番ですが、海外では

「見ざる・聞かざる・言わざる」

の順番の方がポピュラーのようです。

英語表記にすると、

■ “see no evil, hear no evil, speak no evil”

または、

■ “hear no evil, see no evil, speak no evil”

evil は、 「邪悪」とか「悪」、「不正」「不道徳」といった意味です。

三猿は

■ “the three wise monkeys”

となります。

3匹の賢いサルたち、って感じですね。
 

三匹のサル三猿の由来や起源はどこから?

調べてみると、3匹の猿の偶像や三悪を断つという概念は世界の各地で見られます。

3匹の猿というモチーフ自体は、古代エジプトからありました。

それがシルクロードを経由して中国に伝わり、日本にも伝わってきたと見られています。

三猿は日本以外にも次のような国々において確認されているようです。

 
・中国
・タイ
・インド
・イギリス
・フランス
・ドイツ
・イタリア
・スペイン
・スイス
・オランダ
・アフリカ諸国

 
インドのマハトマ・ガンディーは

「悪を見るな、悪を聞くな、悪を言うな」

と教えたとされており、3匹の猿の像を身につけていたとか。

一方、米国の中には教会の日曜学校などで、三猿を用いて説諭するところもあるようです。

ところで、日光東照宮のレリーフは江戸初期の左甚五郎作と伝えられています。

これが明治時代になると海外にも紹介されて、世界的に最も有名な三猿のひとつとなったわけです。

日本人の中には私のように、日本が三猿発祥の地と思い込んでいる人は少なくないかもしれませんね。

それぞれの文化や宗教によって意味するところは違っていますが、実際は、「見ざる・言わざる・聞かざる」」によく似た表現は昔から世界各地にあって、三猿と同様の像も古くから存在しているのでした。

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まとめ

三猿というモチーフ自体が世界的に存在しているもの。

日本語の語呂合わせから、三猿発祥の地は日本だと思われがちですが三匹の猿は世界の各地で見られます。

その中で、日光の東照宮が世界的に有名な三猿のひとつというわけです。

「見ざる・聞かざる・言わざる」

からどんな教訓を得るかは、自分次第。

余計なことは見ない、聞かない、言わない。

大人として、賢く暮らしていきたいものです。

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