ナメクジとカタツムリとエスカルゴの違いは?
殻の有る無しでどう違うの?
野生を食べるのは危険?
その疑問、解消します!
ナメクジとカタツムリとエスカルゴの関係と特徴、
進化の理由と過程、
具体的な寄生虫の事例と危険性も含めて、
わかりやすくお伝えします。
ナメクジとカタツムリとエスカルゴ
今朝方、濡れたアジサイの葉の上に
ちょこんと乗っているカタツムリを見つけて、
あまりの可愛らしさにしばらく見入ってしまいました。
カタツムリは梅雨の時期の風物詩ですね。
カタツムリを見るといつも思い出すのが
叔母の家のナメクジ事件です。
転勤族だった叔母の家(社宅)で
ある夏、巨大ナメクジが大量発生。
前の入居者からも
「ナメクジ、出ますよ」
とは聞いていたものの、
家の中に侵入してくるナメクジに度肝を抜かれ、
ついにはナメクジ駆除の業者を呼ぶ騒ぎになりました。
ヌルヌルした外見もさることながら、
キッチンや廊下には
ナメクジが歩いた跡の粘液が残っており、
虫系に強いわたしでもちょっと鳥肌が^^;
カタツムリは可愛くて、
ナメクジはキモい。
殻があれば可愛くて
殻がないから気持ち悪いというのは、
ちょっとかわいそうですが、
実は、ナメクジは、カタツムリが進化して貝殻が無くなったものです。
カタツムリは、水生の巻貝が進化して
陸上で生活するようになったもの。
巻貝が陸上で生活するうちに更に進化して、
殻を失ったものがナメクジなのです。
わたしたちがナメクジと呼んでいる生物は
複数の種類のカタツムリが起源と考えられています。
そして、ワインと相性抜群の
エスカルゴ料理に使われる「エスカルゴ」は
フランス語でカタツムリを意味する言葉です。
『リンゴマイマイ』や『アフリカマイマイ』というカタツムリの一種で、
食用として衛生管理されたものです。
エスカルゴ料理は身を殻から取り出し
内臓を除去したカタツムリを加熱して、
パセリとニンニクのみじん切りを練りこんだ、
エスカルゴバターを絡めて食べるのが一般的な食べ方です。
エスカルゴは欧米で広く食されていますが、
有名なのはフランスです。
特にブルゴーニュなどの、
ワイン産地のエスカルゴは有名です。
なぜかというと、
ブドウの葉で飼育したリンゴマイマイが
最高に美味とされているからで、
冬眠に入ったリンゴマイマイが
最もおいしいと言われています。
カタツムリとナメクジの違いは?
カタツムリもナメクジも陸生の貝類です。
カタツムリは陸に棲む巻貝の通称で、
数億年前に海から陸地へ引っ越して来たと言われています。
ナメクジは、カタツムリが進化して貝殻が無くなったもの。
カタツムリとナメクジの違いは
殻があるかないかだけです。
カタツムリとナメクジは、
共に軟体動物の腹足類というグループの仲間。
陸に棲む貝類のうち、
殻がないものを「ナメクジ」、
殻をもつもののうち、
触角の先に目がある有肺類のものを「カタツムリ」
と、一般的に呼ばれています。
カタツムリ
カタツムリは、蝸牛(かぎゅう)、
マイマイ、マイマイツブリ、デンデンムシなどといわれます。
「♪でんでん むしむし かたつむり
お前のめだまは どこにある?
つのだせやりだせ あたまだせ」
童謡の『かたつむり(でんでんむし)』、
子どもの頃に口ずさんだ方も多いと思います。
デンデンムシは「デデムシ(出出虫)」で、
「出ろ出ろ」という意味です。
カタツムリはピンチになると、
ひゅっと殻の中に身を隠してしまいます。
カタツムリの殻は敵の攻撃や、
暑さや寒さからも守ってくれる、
便利なシェルターの役目を持っています。
また、殻はカタツムリの寝室でもあり、
お休み中は乾燥を防ぐため
入り口にフタも付いています。
このフタ蓋は「エピフラム」と呼ばれる粘膜で、
カタツムリの足から分泌された粘液で
塗り固めて作られています。
外気の乾燥が激しいときや長く休眠するときは、
体を殻の奥に縮めて2重、3重に膜を張ります。
葉っぱの裏や枝にいるカタツムリが
休眠中でも落ちないのは、
このエピフラムで密着しているからです。
加えて、
カタツムリの殻の表面には非常に細かい溝が刻まれていて、
この溝に常に水がたまっている状態になっています。
殻に薄い水分の膜をまとうことによって、
殻についた汚れは浮き、
雨が降る度に洗い流されるので、
汚れが着きにくくなっています。
ちなみに、
この構造に目を付けた研究者が、
トイレや建造物の外壁に応用し、
空気中の水分を利用する、
汚れにくいタイルや外壁材を開発しました。
さて、
天然の汚れ防止機構がついて、
シェルターの役目を持つ便利なカタツムリの殻には
デメリットもあります。
体に殻があると
殻に栄養をいきわたらせる必要がありますし、
殻が邪魔するので狭いところを通ることができません。
そこで一部のカタツムリは殻を外すという進化を遂げ、
ナメクジになったのです。
ナメクジ
ナメクジは、蛞蝓(なめくじ、かつゆ)、
ナメクジラともナメクジリともいわれています。
ナメクジはカタツムリが殻から脱け出したわけではなく、
カタツムリが進化していくうちに
殻を退化させたものです。
巻き貝が進化の過程で殻をなくすことを
「ナメクジ化」
と呼びます。
殻がなければ、
狭い隙間にも入り込める上、
敵から身を守る隠れ場所も豊富にあります。
おまけに殻のための栄養補給も不要となれば、
重荷(殻)を背負っていない分、
移動も楽ちん、自由自在です。
その結果、
ナメクジの活動範囲は広くなり、
畑や庭を越えて
家の中まで足をのばすようになったわけです。
ナメクジは殻がないので身軽な反面、
体が丸出しの裸状態です。
そのため、敵の攻撃や
乾燥にさらされやすいという弱点もあります。
進化の上では
ナメクジのほうがより陸上に適応した分、
カタツムリよりも高等ということになります。
カタツムリやナメクジを食べることはできる?
カタツムリの一種であるエスカルゴが食べられて、
「カタツムリとナメクジの違いは殻があるかないかだけ」
となると、
「カタツムリやナメクジも食べることができるの?」
という疑問が湧いてきますよね。
結論から言うと、
寄生虫の懸念があるので食べない方が良いです。
エスカルゴのような食用のカタツムリは
専用の施設で飼育され、
育成に使用されるエサも清浄なものが使用されています。
綺麗なエサを与えることで
「カタツムリの体内に有害物質を溜めない」
という安全確保もされています。
ですが、野生のカタツムリやナメクジには
多くの寄生虫が存在しています。
オーストラリアでは
「ふざけてナメクジを生で食べた男性が、
寄生虫が原因で昏睡状態に陥り
重い障害を負ったのちに亡くなった」
というニュースが2018年にありました。
原因はナメクジの寄生虫、
『広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)』。
もともとネズミを宿主とする寄生虫ですが、
幼虫期はカタツムリやナメクジに寄生しているため、
調理が不十分なカタツムリやナメクジを食べることで、
人間にも感染します。
以下、家庭医学館の解説から引用です。
[症状] 頭痛、嘔吐(おうと)、めまいにはじまり、好酸球性髄膜脳炎(こうさんきゅうせいずいまくのうえん)をおこします。寄生数が多いときには、死亡することもあります。
[検査と診断] 髄液(ずいえき)をとって虫体が検出されれば診断がつきます。実際には検出がむずかしいため、血清反応(けっせいはんのう)の結果で診断されます。
[治療] チアベンダゾールが効くこともありますが、あまり期待できません。副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンが点滴されたり、髄液をとって脳圧を下げる方法も行なわれます。
[予防] 生(なま)や加熱不十分なカタツムリを食べないこと、生野菜を食べるときは十分に流水で洗うことです。
日本でも地方によっては
カタツムリやナメクジを食べる習慣もありますが、
寄生虫のことを考えれば食べないほうが安全です。
また、カタツムリやナメクジを触った場合は、
触った手から口などの粘膜に寄生虫がつかないよう、
石鹸等できちんと手洗いすることが大切です。
わたしが子どもの頃は
平気でカタツムリを触って遊んでいましたが、
仲良しの同級生の家では
「絶対さわっちゃダメ!」
と言われていました。
同級生のおうちのほうが正しくて^^;、
今、ネットで「カタツムリ 触らない」などと検索すると
カタツムリが危険だという情報がたくさんあります。
特に、お子さんのいるおうちは気をつけてくださいね。
海外でカタツムリが提供されたときも、
本当に信頼できるエスカルゴ以外は
避けることをおすすめします。
ナメクジとカタツムリとエスカルゴの違いは?野生を食べるのは危険? まとめ
カタツムリは、水生の巻貝が進化して
陸上で生活するようになったもの。
ナメクジは、カタツムリが進化して
貝殻が無くなったものです。
エスカルゴはフランス語でカタツムリを意味する言葉で
食用として衛生管理されたものです。
カタツムリとナメクジの違いは
殻があるかないかだけです。
殻を持つことにメリット&デメリットはありますが、
進化の上ではナメクジのほうが高等となります。
野生のカタツムリやナメクジには
多くの寄生虫が存在しているので
食べるのは危険です。
食用のエスカルゴ以外は口にしないのが安全です。
ちなみに、
リンゴマイマイなどの大型カタツムリやナメクジの一部では
『恋矢(れんし)』と呼ばれる石灰質のヤリを体に刺し合い、
その刺激が、交尾のキッカケになるとか。
恋矢は生殖器にできる器官で、
使用後は抜け落ち、
抜け落ちたあとはまた新たに作られるそうです。
恋矢とは、なんともロマンチックな名前ですね^^