芥川賞と直木賞の違いを
ひと目でわかる表にまとめました!
芥川賞と直木賞の特徴は?
比較して同じ点はある?
その疑問、解消します!
芥川賞と直木賞の由来、
純文学とエンターテインメント作品の違い、
受賞対象者のイメージも含めて、
わかりやすくお伝えします。
芥川賞と直木賞の違いとは?
文学賞の賞レースといえば芥川賞と直木賞。
それぞれの受賞作品が発表されるたび、
テレビやニュースでも取り上げられますね。
芥川賞と直木賞は年に2回、
同じ日に発表されます。
そのせいかどうか、
「芥川賞と直木賞の違いがイマイチよくわからない」
という人が多いのも事実。
「なんとなくわかってはいてもボンヤリしている」
という場合でも区別がつくように、
芥川賞と直木賞の違いを特徴で比較して
表にまとめてみました。
ひと目でわかりやすく見えるように、
芥川賞と直木賞で異なる部分を色分けしてあります。
芥川賞と直木賞の最も大きな違いは、
- 芥川賞:受賞作品の対象が純文学
- 直木賞:受賞作品の対象がエンターテイメント作品
というところです。
芥川賞と直木賞はともに
既発表作品が対象なので、
作家デビューの直後に作品が
賞を取ることはありますが、
デビューしていることが絶対条件なので
デビュー前の作家の作品が
受賞することはありません。
芥川賞については、
無名と言っていい人が受賞する場合もありますし、
文学通ならすでに知っていて当然、
というクラスの人が受賞する場合もあります。
受賞者の年齢を比較すると、
芥川賞のほうが若い印象があります。
直木賞については、
ある程度実績や知名度のある作家が
対象となっているイメージがあります。
※ 追記:2019年8月3日
日本文学振興会は7月24日、
芥川賞選考委員の作家、高樹のぶ子氏と
直木賞選考委員の作家、東野圭吾氏が
それぞれ退任すると発表しました。
両賞とも選考委員は8人ずつになります。
選考委員に定員はなく、
新任は現時点で未定です。
芥川賞とは?
芥川賞の正式名称は、
『芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)賞』
です。
芥川龍之介といえば、誰もが知る有名作家。
純文学の代表作家であり、
『羅生門』、『鼻』、『蜘蛛の糸』など
昔から国語の教科書に多くの作品が
取り上げられてきました。
普段は本に触れないという人でも
あごに手を添える芥川龍之介の
白黒写真は見覚えがあるのではないでしょうか。
その芥川龍之介の名前を記念して、
友人である文藝春秋の創業者、
菊池寛が制定したのが芥川龍之介賞です。
芥川龍之介賞は、1935年(昭和10年)
直木賞と同時に制定されました。
芥川龍之介が亡くなったのが1927年。
芥川賞は、芥川龍之介の没後に
直木三十五が亡くなり、
芥川龍之介と直木三十五の両氏が
菊池寛が作った雑誌「文藝春秋」に
貢献してくれたことを紀念して
直木賞とともに創設したのです。
芥川賞は公募で選ばれるのではなく、
新進作家によって、
雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、
純文学の中編・短編作品のなかから、
最も優秀な作品に贈られる賞です
優れた純文学に贈られるのが芥川賞です。
となると、純文学の定義が気になるところです。
純文学とは?
純な文学と書いて純文学、
わかりそうでわかりにくいですよね。
広辞苑を引くと、
2. 大衆文学に対して、純粋な芸術を指向する文芸作品、殊に小説。
とあります。
この場合は 2 ですね。
純文学をもう少しわかりやすくいうと、
『芸術表現としての文学』
といったところです。
読者の好みにおもねるのではなく、
作家個人のテーマを追求しています。
個人的には、
「文學界・新潮・文藝・群像・すばる」
の五大文芸誌や
早稲田文学などでデビューした作家を
『純文学作家』と呼んでいる印象があります。
直木賞とは?
直木賞の正式名称は、
『直木三十五(なおきさんじゅうご)賞』
です。
一風変わった名前の由来は本名にあります。
直木三十五の本名は植村宗一。
植村の「植」を二つに分けて「直木」。
「三十五」は年齢を表しています。
31歳のときに「三十一」とし、
ひとつ年をとるごとに「三十二」、
「三十三」と変えていったのですが、
「三十四」は使わず、
さいごは「三十五」に落ち着いたとか。
その直木三十五の名前を記念して、
友人である文藝春秋の創業者、
菊池寛が制定したのが直木三十五賞です。
超メジャーな芥川龍之介に比べると
マイナー感のある直木三十五ですが、
賞の名前の「直木賞」は有名ですね。
直木三十五は 1891年(明治24年)生まれ。
学業優秀で早稲田大学に進学しますが
学費が払えず中退となり、
出版事業や映画制作などを手がけては、
ことごとく失敗して
莫大な借金を負ってしまいます。
のちに、代表作『南国太平記』で
一躍人気作家になるものの、
1934年(昭和9年)に43歳で生涯を終えます。
直木賞は直木三十五の死後、
1935年(昭和10年)に
友人で文藝春秋の社長だった菊池寛によって、
芥川賞と同時に創設されました。
直木三十五賞も芥川龍之介賞と同様に、
公募で選ばれるのではなく、
新進・中堅作家によって発刊された、
エンターテインメント作品の単行本
(長編小説もしくは短編集)のなかから、
最も優秀な作品に贈られます。
優れたエンターテインメント作品に贈られるのが直木賞です。
年に2回の直木賞受賞作品は
上半期7月中旬の受賞作が
「オール讀物」9月号に
下半期の翌年1月中旬の受賞作が
「オール讀物」3月号に
一部掲載されます。
「オール讀物」は株式会社文藝春秋が
発行する文芸誌で、
娯楽小説、つまりエンターテインメントを
扱う雑誌です。
直木賞の対象となるのが
エンターテインメント小説。
ここでエンターテインメント小説と
純文学の違いもおさえておきたいところです。
エンターテインメント小説とは?
エンターテインメント小説をざっくりいうと、
『純文学以外の小説』
です。
大衆文学という言い方もしますが、
純文学が芸術性に重きを置いているのに対して、
エンターテインメントの作品は
「娯楽性」に重きを置いています。
直木賞は大衆文学が基本なので
時代小説もサスペンスもSFも全部OKですが
芥川賞では時代ものや刑事ものなどはありません。
といっても、文芸畑から出発した人が
大衆ものに移行することも多くあり、
「この人、直木賞で受賞なのか」
ということもよくあります。
本が売れるのはエンターテインメントの作品で、
娯楽小説というだけに
ドラマ化や映画化がされるのも
エンターテインメントの作品です。
芥川賞と直木賞の違いとは?異なる特徴を比較して表にまとめました! まとめ
芥川賞と直木賞の違いは
【芥川賞】
・雑誌(同人誌を含む)に発表された
・新進作家
・純文学
・中・短編
【直木賞】
・単行本
・新進・中堅作家
・エンターテインメント作品
・長編もしくは短編集
ということになります。
芥川賞と直木賞は
芥川龍之介と直木三十五の友人であった
文藝春秋の創業者・菊池寛によって
1935年(昭和10年)に制定されました。
芥川賞と直木賞の発表は
読書好きには楽しみなイベントです。
賞の違いがわかると、より興味が湧いてきますね。