雛祭りでお雛様に飾る菱餅にはどんな意味があるの?
菱餅の形がひし形の由来は?
菱餅の色には意味があるの?
その疑問、解消します!
桃の節句に欠かせない菱餅のルーツ、
赤・白・緑の3色にこめられた願い、
菱餅をお供えする理由も含め、わかりやすくお伝えします。
お雛様に飾る菱餅にはどんな意味があるの?
桃の節句、3月3日はお雛様ですね。
ひな祭りで雛人形を飾る時に、欠かせないのが菱餅です。
独特なひし形の形と色合いの菱餅。
おこしで作られたものもありますが、菱餅はその名前の通り、お餅で作られるものです。
お雛様にはあらかじめ、プラスチックで出来た菱餅がセットでついているものもあるので、菱餅をお飾りだと思っている人もいるようですが、本来の菱餅はお餅で作る食べ物です。
雛飾りにお餅の菱餅を供えるのには、ちゃんとした意味があるんですよ。
雛人形と菱餅を飾る由来は?
日本で行われている行事には、元をたどれば中国から伝わったというものが多いのですが、ひな祭りも菱餅も、そのルーツは中国にあります。
中国の『上巳(じょうし/じょうみ)」の節』という厄払いの行事が現在のひな祭りの原点だと言われています。
この日は生命の始まりの場所とされる川で、1年の穢れを落とし、身を清める日でした。
その上巳の節の時には『餅の団子』を食べる風習があり、これがのちの菱餅の起源です。
この餅の団子には母子草(ハハコグサ)が入っていました。
母子草とは春の七草のひとつ御形(ゴギョウ)のこと。
母子草が入った餅の団子が日本に伝わると、その名前から、
『母と子をついて餅にするのは縁起が悪い』
とされたこともあり、母子草の代わりに『蓬(よもぎ)』が使われるようになりました。
蓬はとても香りの強い野草です。
昔から日本では、
『香りの強いものは邪気を祓う』
とされてきました。
お雛様には身代わり人形としての役割もあります。
雛人形と一緒に蓬入りの餅(菱餅)をお供えすることで、大切な我が子を災厄から守るという意味がこめられたのです。
◇ 雛人形が身代わり人形の意味を持つ由来について詳しくはこちら。
ひな祭り由来と起源に見る桃の節句との違い江戸時代の五節句
菱餅の形の由来は?
ひな祭りの菱餅は、ダイヤ形のひし形をしているのが一般的です。
ひし形は、戦国武将の武田信玄の家紋にひし形が使われるなど、古くから日本では重要な印として使われていました。
ちなみに、武田信玄の家紋に使われているひし形は、田んぼを表してしているとされています。
お金が生まれる前は、米はお金と同等の価値がありました。
税金もお米で納めていましたよね。
なので、田んぼは命と同じくらい重要だったのです。
昔からひし形は、日本人にとって、特別な形でした。
菱餅がひし形をしている理由には諸説あり、地域によっても伝わり方が違っています。
菱餅のひし形は心臓を表している?
ひし形は心臓を表しているという説があります。
菱餅に使われている蓬やクチナシの実は邪気を祓うとされているので、それらを使って無病息災・健康成就を願ったというものです。
菱餅のひし形は長寿を願ってる?
その昔、山で修行をしていた仙人が『菱の実』を食べて1000年生き続けたという話があります。
菱(ひし)とは水草の一つ。
その実は堅くて鋭いとげに覆われているため、この鋭いとげが魔除けになるとされてきました
このことから、ひし形は健康で長寿になる縁起物と考えられました。
また、四角を伸ばして長寿を祈願したという説もあります。
菱餅のひし形は子孫繁栄を願って?
前述の『菱』は、とても繁殖力の強い水草です。
そのことから、子孫繁栄を願って、『菱』をひし形になぞらえたという説です。
菱餅のひし形は宮中料理から?
平安時代、お正月に宮中で行われていた『歯固めの儀式』のときに食べられていた『菱葩餅(ひしはなびらもち)』から来ているというもの。
歯固めの儀式というのは、固いものを食べて歯を丈夫にし長寿を願う儀式のことです。
ひし形は大地を表している?
ひし形の形は大地を表しているという説があります。
菱餅の3色、緑は芽吹く若草・白は雪・赤(桃色)は桃の花を表して、それらをまとめて大地というわけです。
菱餅の色の意味は?
菱餅は子供の成長、子孫繁栄、長寿、厄除けなどの意味があり、菱形のお餅が3色や5色で重ねられています。
一般的には、雛飾りに並ぶ菱餅には、赤(桃色)・白・緑の3色が使われています。
元々は桃の節句はおめでたい行事ということで、菱餅は赤と白の2色、つまり紅白のお餅をお供えして食べていました。
1600年代、江戸時代になると、色々な縁起を取り入れられて3色・5色にするなど、アレンジされるようになります。
- 3色は赤(桃色)・白・緑
- 5色は白・緑・赤(桃色)・黄色・オレンジ
の順になっています。
菱餅の赤い色の意味は?
赤は昔から魔除けや厄を払う色とされてきました。
色付けにはクチナシを使っています。
クチナシには解毒作用・防腐作用があり、疲労回復があることも知られているため、赤には健康を願う意味もあるとされています。
また、『桃の花』をイメージしているともいいます。
菱餅の白い色の意味は?
白は『清浄』・『純白の雪』を表現しているとされています。
何色にも染まらない清純さも表しているといわれます。
昔は菱餅と言えば菱餅の名前の由来にもなっている『菱の実』が入っていました。
前述のように、菱の実には長寿や子孫繁栄の意味がこめられています。
ちなみに、菱の実には血圧を下げる効果があるといわれています。
実際の健康効果も期待できたわけですね。
菱餅の緑色の意味は?
緑色には蓬が使われています。
緑色は、『新芽』・『新緑』・『若草』を表しているとされ草が生い茂る大地を表しています。
前述のように、蓬はにおいが強いことから、邪気を祓ったり魔除けの意味があります。
また、蓬は古くから使われている薬草のひとつでもあり、解熱剤・解毒剤としても知られています。
菱餅の黄色の意味は?
黄色い色が『月』を表しているといわれています。
菱餅のオレンジ色の意味は?
オレンジは『太陽』を表しているといわれています。
3色の順番から菱餅に観る情景
菱餅は、赤(桃色)・白・緑の3色を使うことで、春の情景をあらわしていると言われています。
- 一番上の桃色は「桃の花」
- 真ん中の白は「雪の純白」
- 一番下の緑は「草が生い茂る大地」
下から、『緑・白・赤』の順番で、
「雪の下には新芽(蓬)が芽吹き、桃の花が咲いている」
下から『白・緑・赤』の順番で、
「雪の中から新芽(蓬)が芽吹き、桃の花が咲いている」
といったイメージです。
いずれにしても、桃の節句だけに、赤(桃色)が春を伝えて、大地の目覚めを感じさせてくれる色合いです。
桃の節句はまだ寒い季節ですが、
「雪の下には春を訪れを告げる草が息づいていて、雪が残る大地には桃の花が咲き始める」
という意味合いがあります。
まさに春らしい3色ですね。
雛祭りのお雛様に飾る菱餅はどんな意味があるのか形の由来と色の意味 まとめ
菱餅は中国から伝わった食べ物で、子供の成長、子孫繁栄、長寿、厄除けなどの意味があります。
お雛様には身代わり人形としての役割もあることから、雛人形と一緒に蓬入りの菱餅をお供えすることで、大切な我が子を災厄から守るという意味がこめられたのです。
ひな祭りの菱餅は、ダイヤ形のひし形をしているのが一般的。
菱餅がひし形の形をしている由来には、大地の形を表しているとか、心臓を表しているなど、諸説あります。
菱餅は、赤(桃色)・白・緑の3色を使うことで、春の情景をあらわしていると言われています。
日本の節句には、昔から行事食であるお祝い料理があります。
桃の節句であるひな祭りに用意される料理も、どれも縁起物とされており、使われる食材や色、形に意味があります。
菱餅は女の子の成長を願うだけでなく、子孫繁栄や長寿を願う縁起物。
菱餅は、娘の幸せを願う親心がたくさん込められている、とっても優しいお餅なんですね。