ひなあられは関東と関西で違う?
桃の節句のお雛様にひなあられを飾る由来は?
関東風と関西風どっちが元祖?
その疑問、解消します!
見た目も味も違うひなあられ、
色にこめられた意味、
雛人形にひなあられをお供えする理由も含めて、わかりやすくお伝えします。
ひなあられは関東と関西で違う?
桃の節供のお雛様に供えるひなあられ。
最近はお店に買いに行くと、チョコレートコーティングしたものや、ピーナッツを使ったものなど、さまざまなバリエーションのものが売られていますよね。
わたしが子供の頃は、ひなあられといえばパステルカラーのポン菓子でした。
砂糖で甘く味つけされている小さな粒を、親にばれないようにつまんだり、妹とピンク色を取り合いしたりしたものです。
高校生の時、雛祭りの時期に東京に遊びに来た大阪のいとこが、我が家の雛人形に飾ってあるひなあられを見て、
「これ、食べ物?」
と聞いてきました。
ひなあられだよと言うわたしに、いとこは、
「ひなあられっていうのは、しょっぱいものでしょ。揚げ菓子、小さいあられだよ」
と言い切るのです。
ひなあられがあられ?
いとこの話で、初めて関西と関東でひなあられの種類が違うことを知り、とても驚いたことを覚えています。
関東のひなあられ
関東風のひなあられは、『お米』を乾燥させてはじかせた『ポン菓子』といわれるものです。
ポン菓子というのは、お米などの穀物でつくる駄菓子こと。
爆米(波瀬)、ドン菓子(ドンがし)とも呼ばれます。
ポン菓子はお米などの穀物に圧力をかけた後に、一気に開放することによって膨らませて作ります。
関東のひなあられは、このポン菓子に砂糖で味付けをした甘くサクサクとした歯触りの、江戸時代から伝わる庶民の味です。
■ 関東のひなあられの由来
なぜポン菓子がひなあられになったのかについては諸説あります。
広く知られているところでは、
「ふだんから保存食として常備していた干し飯を炙って作ったのがはじまり」
という説があります。
干し飯というのは、お釜に残ったご飯粒などを干したものです。
また、
「江戸時代に流行った爆米(はぜ)を『ひなあられと』名付けた」
という説もあります。
爆米は、もち米を煎(い)ってはぜさせたお菓子の一種です。
江戸時代、年賀の客に出したり、蓬莱台(ほうらいだい)の下に敷いたりしたものでしたが、桃の節句の雛菓子にも使いました。
関西のひなあられ
関西風のひなあられは、『お餅』を小さく切って揚げたものに、醤油や塩、青のりなどで味付けしたものです。
直径1センチ程度の大きさがある、いわゆる、お餅から作るあられです。
関西のひなあられがお餅から作られるのは、雛祭りに欠かせない菱餅を砕いて炒ったのが始まりといわれています。
桃の節句お雛様にひなあられを飾る由来は?
関東と関西で違うひなあられですが、そもそもどうして雛祭りにひなあられを飾るようになったのでしょう。
ひなあられの始まりにも諸説ありますが、有力なのは、その昔、野外で雛遊びをする時の携帯食だったという説があります。
平安時代、宮中貴族の女の子たちには、雛人形を持って野辺や川辺などに出掛けて、お雛様に春の景色をみせてあげる『雛の国見せ』という風習がありました。
その雛の国見せの時に、ご馳走のお弁当と一緒に持っていったのがひなあられだったと言います。
◇ 雛祭りのルーツについて詳しくはこちら。
ひな祭り由来と起源に見る桃の節句との違い江戸時代の五節句
貴族の行事だった雛祭りは、長い年月の中で、時代の変遷とともに形を変えていった中で、雛人形と共に残ったもののひとつが、ひなあられなんですね。
ひなあられと菱餅の色の関係
この時代のひなあられが、どういったものだったのか資料は残っていませんが、菱餅を砕いたものだったといわれています。
関東風のひなあられの場合、赤(桃色)・白・緑の3色が使われるのが一般的です。
これは菱餅の色と同じですね。
この3色には、それぞれに春の情景を表す意味と願いがこめられているとされています。
- 「赤」・・・桃の花/魔よけ
- 「白」・・・雪の純白/清浄
- 「緑」・・・草が生い茂る大地/健康や長寿
◇ 菱餅の色について詳しくはこちら。
雛祭りのお雛様に飾る菱餅はどんな意味があるのか形の由来と色の意味
この他にも、
- 赤は生命のエネルギー
- 白は大地のエネルギー
- 緑は木々のエネルギー
とも言われています。
ひなあられを食べることで、
「春の自然のエネルギーをいただき、この1年間を健康に過ごす」
といった思いが感じられますね。
ひなあられは関東風と関西風どっちが元祖?
関東風のひなあられはお米から作られたポン菓子で甘い。
関西風のひなあられはお餅から作られたあられでしょっばい。
これだけ違うと、どっちが元祖なのか気になるところです。
広辞苑でひなあられを調べると、
となっています。
広辞苑や辞書などでは、『ひなあられ=米菓子』という関東風を主に採用しています。
そもそも桃の節句を含む五節句は、江戸幕府によって定められたものです。
なので、主流が関東風になっても不思議ではありません。
ですが、雛祭りのルーツが平安時代の宮中貴族にあったことを考えると、関西風が元祖と考えるほうが自然です。
ひな祭り、ひなあられの「ひな」とは宮中の言葉で「小さいもの」を意味します。
また、ひなあられを作る時に、桃の節句に欠かせない菱餅を使ってあられにしたことも、理にかなっていますよね。
他にも、ひなあられを発案したのは、京菓子司(きょうかしつかさ)だったという説もあります。
京菓子司というのは、宮中御用達のお菓子職人です。
こういったことから考えると、ひなあられは京都が発祥の地、関西風が元祖だと考えるのが妥当かもしれませんね。
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今どきのひなあられ
甘い関東風、しょっぱい関西風、といっても、最近はひなあられ自体さまざまなアレンジバージョンが売られています。
前述のように素材にピーナッツが使われたものや、大豆を使ったものもありますし、関西風のあられにもイチゴチョコをコーティングしたものやマヨネーズ味などもあります。
都内のお店でも関東風と関西風の両方を扱っているところが増えてきました。
SNSなどで情報が拡散されるようになった今、関東と関西の違いはなくなっていくかもです。
ひなあられは関東と関西で違うのか桃の節句お雛様に飾る由来と元祖 まとめ
関東風のひなあられはお米から作られたポン菓子で甘い。
関西風のひなあられはお餅から作られたあられでしょっばい。
関東風のひなあられの場合、菱餅に使われるのと同じ、赤(桃色)・白・緑の3色が使われるのが一般的です。
雛祭りのルーツが平安時代の宮中貴族にあったことを考えると、関西風がひなあられの元祖と考えるほうが自然です。
自分にとっては慣れた食べ物でも、住んでいる地域が変わればぜんぜん違うものになるって不思議な気がします。
今年のひな祭りは、家族とひなあられの食べ比べをしてみるのも、楽しいかもしれませんね。