桃の節句のつるし雛とはどんなもの?
なぜ吊るすの?
つるし雛の由来は?
つるし雛の飾りはどんな意味がある?
その疑問、解消します!
つるし飾りの小さな手作り細工にこめられた思い、
ひとつひとつの飾りが宿す願いや縁起も含めて、わかりやすくお伝えします。
桃の節句のつるし雛とはどんな飾り?
女の子の節句、桃の節句に飾られる「つるし雛(つるしひな)」って可愛いですよね。
つるし雛というのは、布で作られたさまざまなモチーフが飾りになって連なっている、名前の通りの吊るして飾るお雛様です。
つるし雛は「つり雛」や「つるし飾り」とも呼ばれます。
お雛様や動物など、いろんな種類の小さなお人形たちを千羽鶴のように吊るすという、とってもユニークな造りになっています。
3月3日の桃の節句が近付いてくると、百貨店や大型店などで、天井からつるし雛を飾ったりして、ひな祭りの雰囲気を盛り上げているところもありますね。
つるし雛は赤ちゃんや小さな子供が喜びそうな、はっきりした色合いの鮮やかな飾りが特徴です。
布で作られた小さなお人形たちがゆらゆら揺れるのは見ていてあきないもの。
眺めているだけで、ほっこりした気分になってきます。
つるし雛には、
「初節句でまだ座ってお雛様を見ることができない赤ちゃんにも、お雛様を吊るして眺めてもらい楽しんでもらおう」
といった親心が込められているとも言われています。
つるし雛を桃の節句のシーズンに雛人形と一緒に飾って、ひな祭りを華やかに演出したり、赤ちゃんのお部屋に飾ったり、棚や机の上に置くだけでも、日本ならではの和の可愛らしさが楽しめます。
つるし雛には、いろんなサイズや形があるので、飾り方・楽しみ方は様々です。
最近は、つるし雛は省スペースな上にリーズナブルということもあってとても人気が出ていています。
すでに雛人形があるおうちが、二人目の女の子用にと、その子の初節句の時につるし雛を購入するケースも増えています。
こちらは、家の中の好きなところに飾れるスタンド付きのつるし雛です。
【つるし飾】【ひな人形】つるし雛 ひなももつるし雛(小):スタンド付【吊るし雛】【雛人形】
雛人形に比べるとつるし雛は値段が手頃なため、祖父母からのプレゼントや、きょうだい、知人からなどの贈り物としても人気です。
つるし雛の由来は?
つるし雛(つるし飾り)が始まったのは、江戸時代と言われています。
江戸時代にはすでに、女の子の身代わりで災厄を引き受けてくれるという意味も持つ雛人形の風習はありました。
ひな祭りは京都で生まれた「ひいな遊び」が江戸に広まって定着したもの。
ですが、当時、江戸の裕福ではない一般庶民の家庭では、ひな人形は高価で手に入れることができまないものでした。
現代でも、ものによっては一段飾りでも高価なものがありますね。
雛人形は、女の子の健やかな成長と幸せを願うもの。
庶民の家でも、我が子の幸せを願う気持ちは、裕福な家の親と一緒です。
そこで、母親や祖母が、娘や孫娘のために着物の布を使って手作りの小さな人形を作りました。
お母さん・おばあちゃんのみならず、親戚の人や近所の周りにいる人も小さなお人形を作って持ち寄ったといいます。
子どもの幸せを周りのみんなが願う、優しい心のこもったお雛さまですね。
それらを集めて、つるして飾るようになったのが、つるし雛(つるし飾り)の始まりです。
周り中の愛情と優しい思いが込められているので、人形一つ一つが『お守り』の力を持つと言われています。
つるし雛は子ども守ってくれるお守りとして、とても大切に扱われてきたといいます。
つるし雛の飾りにはどんな意味があるの?
つるし雛には、
「衣食住に困らないように」
との願いを込めて飾られる意味合いもあります。
なので、飾られる人形細工もさまざま。
飾りに使われるモチーフには動物や花、野菜、遊び道具など、多岐にわたった種類があります。
そして、それぞれに異なる意味やいわれがあります。
つるし雛のお飾りは、100種類以上あるともいわれます。
主なお飾りとその意味をいくつかご紹介していきますね。
いずれも、我が子の健康と幸せを願う気持ちがたっぷりとこめられたものです。
おくるみ人形
「可愛い我が子に愛情をかけて大切に育てていく」
おくるみは、可愛い赤ちゃんを暖かくくるむことから、いつまでも大切に守られる女の子に育ちますように、という願いが込められています。
犬
「子宝・安産・健康」
犬のお産が軽いことにあやかったものです。
また、子守り・厄除けにあやかれるともいわれます。
鶴
「長寿・健康」
鶴の千年生きるという言い伝えから、長寿や健康を願って飾ります。
また、美しい鶴の姿を見ると心が豊かになるといわれます。
亀
「長寿・健康」
鶴は千年、亀は万年、と言われるように、亀も鶴と同様に長寿と健康の祈りが込められた縁起物。
亀はたゆまず努力し目的を達成するともされています。
そのことから、小さな努力を重ねて幸せな人生につながるようにとの願いもこめられています。
鯛
「めでたい」
語呂合わせで縁起を担ぐものですね。
赤い鯛には、おめでたいことが沢山あるようにとの願いがこめられています。
赤い色には、魔除け・厄除けの意味があります。
猿
「災厄が去る」
『猿=去る』
の語呂合わせです。
病や災いが去っていくようにとの願いがこめられています。
ふくろう
「不苦労」
にかけています。
ふくろうには苦労をしなくて済むという意味があります。
西洋では、ふくろうは『知恵』のシンボルです。
うぐいす
「良い知らせ」
うぐいすは春を知らせる鳥とされ、それが転じて、良い知らせを持ってくる縁起の良い鳥と言われています。
うぐいすの美しい鳴き声は、聞くものに幸運をもたらすとされています。
うさぎ
「芯のある優しい人になるように」
うさぎは優しく素直で言い争いをしないので、しっかりした心優しい女性になれるといわれます。
うさぎの赤い目には、厄除けと病気を退治できる霊力があるといわれています。
唐辛子
「悪い虫がつかないように」
唐辛子はもともとは、虫よけとして雛人形と一緒に保管されていたものです。
それが後々、可愛い我が子に悪い虫がつかないようにという願いがこめられるようになりました。
松
「神さまの依りどころ」
昔から松は神さまの依りどころとされてきました。
植物の中では最も縁起の良い植物です。
また、樹齢が長いことから、長寿の象徴とされています。
竹・竹の子
「たくましい生命力」
竹の成長の早さ、まっすぐに育つところから、強い生命力を連想させる縁起物です。
採っても採っても後から何度でも生えてくることから、「子孫繁栄」の意味もあります。
梅
「凛とした美しい生き方ができるように」
梅は、厳寒に耐え、春を知らせるように真っ先に花を咲かせます。
美しくかぐわしい梅の花のように、凛とした芯の強い美しい女性になりますようにとの願いが込められています。
菊
「延命長寿・安泰・厄除け」
菊は、日本の皇室の象徴であり、格調高くおめでたい花です。
長寿の薬草として使われたことから、長寿や厄除けの縁起物とされます。
桃の花と桃
桃の花は、
「桃の花のように可愛いく育つように」
桃は
「無病息災・長寿」
の願いがこめられています。
巾着
「幸せな人生・お金に困らないように」
巾着に将来の夢をいっぱい詰めて、幸せな人生が歩めますように。
巾着にお金が溜まり、お金に困ることがないように、という意味があるとも言われます。
俵ねずみ
「金運」
ねずみは、七福神の一柱・大黒様の使いといわれます。
俵は五穀豊穣を表し、食べ物に困らないとされています。
打ち出の小槌(こづち)
「金運・願望成就」
打ち出の小槌は、大黒様が持っている七宝の1つ。
小槌を振れば欲しいものが手に入り、望みが叶うといわれる宝物です。
桃の節句のつるし雛とはどんなものか由来と意味にこめられた親の願い まとめ
つるし雛(つるし飾り)というのは、布で作られたさまざまなモチーフが飾りになって連なっている、名前の通りの吊るして飾るお雛様です。
つるし雛には、
「初節句でまだ座ってお雛様を見ることができない赤ちゃんにも、お雛様を天井から吊るして楽しんでもらおう」
といった親心が込められているとも言われています。
つるし雛は江戸時代、庶民が着物の布で、我が子や孫に手作りのお人形やお飾りを作ったのが始まりです。
周り中の愛情と優しい思いが込められているので、人形一つ一つが『お守り』の力を持つと言われています。
つるし雛のお飾りは、100種類以上あるとも言いますが、いずれも、我が子の健康と幸せを願う気持ちがたっぷりとこめられたものです。
嵐山や祇園のちりめん細工のお店に行くと、「つり雛」という名でたくさん売られています。
どれもが縁起物で可愛い造りのつるし雛(つるし飾り)。
一つ一つにこめられた意味からも、雛人形の代わりとして、充分な役目を果たしてくれますね。