ひな祭りにちらし寿司を食べるのはなぜ?
桃の節句の定番になった由来やいわれは?
使う具材に意味はある?
その疑問、解消します!
女の子の節句とちらし寿司の関係、
ひとつひとつの材料にこめられた親の願い、
具材の縁起も含めて、わかりやすくお伝えします。
ひな祭りにちらし寿司を食べるのはなぜ?
3月3日は桃の節句。
春の訪れを告げるひな祭りは、女の子の節句なので、数ある節句の中でもとりわけ華やかな行事です。
桃の節句のご馳走といえばちらし寿司。
パッと目立って、テーブルの主役にもなる存在感のちらし寿司は、ひな祭りに欠かせないご馳走です。
ちらし寿司に組み合わせる汁物としては、はまぐりのお吸い物が定番。
平安時代からはまぐりは夫婦和合の象徴とされてきました。
このことから、はまぐりのお吸い物には、
「生涯、ひとりの人と添い遂げられるように」
といった願いがこめられています。
ちらし寿司にも、はまぐりのように何か、ひな祭りならではのいわれがあるのでしょうか?
ひな祭りのちらし寿司の由来は?
■ ちらし寿司の字の由来は?
ちらし寿司の『ちらし』は、酢飯にたくさんの具材を散らして入れたことから由来しています。
ちらし寿司の『寿司』とは、読んで字のごとくで、「寿(ことぶき)を司(つかさど)る」という意味があるように、縁起ものでした。
たくさんの具材を『散らす』から『ちらし寿司』ですが、『散らし寿司』と漢字を使わないのは字面的に縁起がよろしくないからです。
よく、大学の合格発表などで、合格すると「さくら咲く」、不合格なら「さくら散る」と表現しますよね。
人が亡くなったときなどは、「花と散る」という言い方もします。
『散る』というのは、「落ち飛ぶ」とか「消えてなくなる」「終わり」といったような意味もあるので、『散らし寿司』とすると縁起悪い言葉になってしまうのです。
■ ひな祭りにちらし寿司を食べるようになったいわれは?
ひな祭りにちらし寿司を食べるようになったいわれには諸説あります。
はっきりとした明確なものはありませんが、とても古い時代から、ちらし寿司の原型ともいえるものは食べられてきました。
はるか昔は、節句のお祓いのために、海や山へ行って食事をするという風習がありました。
なぜ野外で食事をするのかというと、自然の力を身体に取り込もうとしたのです。
食事で山のものも海のものも取り入れて、自然の恵みに感謝して食べることで、大自然のパワーが身体に宿ると考えられていたんですね。
そのため、海の幸・山の幸をいろいろ用意して寿司飯に混ぜて食べていたようです。
今に伝わるちらし寿司は、そのなごりかもしれませんね。
また、江戸時代に一汁一菜が命じられたときに、食材をご飯に混ぜることで、いろいろな食材を食べられるように考えられたという説もあります。
他にも、たくさんの具を混ぜることから、成長しても食べるものに困らないように、と言う願いがこめられているという説もあります。
いずれにしても、ひな祭りが女の子の成長を祝う行事として広がるにつれ、見た目も華やかで縁起のいい具材を多く使うちらし寿司が、お祝いの席には欠かせないものとなったようです。
ひな祭りに食べるちらし寿司の具材の意味は?
日本の古くから伝わる伝統行事には、縁起の良い食べ物を行事食として食べるならわしが多く見られます。
たとえば、お正月に食べるおせち。
黒豆は、「マメに働く」といったように、一つ一つのおせち料理の具材には、さまざまな願いがこめられています。
それと同じように、ちらし寿司に使われる具材にも、それぞれに意味がこめられています。
鮮やかで美しいちらし寿司には『赤・黄・緑』の3色がバランスよく入っていることも大切ですが、具材にこめる親の願いも押さえておきたいですね。
海老
お正月のおせち料理にもある海老は、縁起物の代表具材です。
海老は背すじが曲がっていることから長寿を連想させるので、
「いつまでも健康でありますように」
という意味が込められています。
また、海老の赤い色が魔除けになると言う意味もあります。
他にも、海老は脱皮を繰り返して大きくなることから、「出世する」といった意味合いもあります。
れんこん
穴が開いているれんこんは、
「先の見通しがよくなる」
という意味を持ちます。
将来の安定・安心につながります。
れんこんもおせち料理に使われる縁起物の食材ですね。
豆
枝豆の緑色が入っていると、卵の黄色やデンブのピンクにもマッチングして彩りが良くなりますね。
昔は健康や丈夫という事を『マメ』という風に表現していた為、「健康=マメ=豆」となり縁起食材となっています。
豆はそのまま、
「マメに働く」
「マメな性格になる」
といった願いがこめられています。
『まめまめしい』という言葉があります。
これは漢字で書くと「忠実忠実しい」となります。
誠実に骨惜しみせず、よく働く様子を表す言葉ですが、近頃は、「まめまめしい人」というより、「まめな人」という言い方のほうが主流ですね。
ちらし寿司に使う豆は豆類ならOK。
なので、枝豆に限らず、インゲンやエンドウ・絹さやなども多く使われます。
でんぶ
でんぶのピンク色は色が桃の花に似ています。
桃の花の桃色は生命を表すとも言われています。
菜の花
菜の花は芽を出すものなので『芽を出す=成長』ということから縁起食材の意味合いがあります。
また、旬の菜の花で春らしい季節感を表す意味もあります。
色合いの鮮やかな緑色は、春の木々の芽吹き。
緑色は、どの食材の色とも合う色です。
卵
春が旬の卵は、「生命」の意味あいがあります。
錦糸玉子は彩りとしても、ちらし寿司に欠かせないものです。
ひな祭りにちらし寿司を食べるのはなぜか由来と使う具材の意味とは?まとめ
ひなまつりの定番のごちそう、ちらし寿司をたべることに、はっきりした由来があるわけではありません。
ですが、ちらし寿司に使われている具材には、可愛い娘を思う親の願いがさまざまにこめられています。
色とりどりの華やかなちらし寿司ですが、見た目を良くするためだけにいろいろな具材を入れているわけではないのです。
長寿や健康、娘の成長といった、ひな祭りにピッタリな意味を持つ縁起食材が、ちらし寿司にはふんだんに使われています。
昔の人ならではの風情ある由来を知ると、よりいっそう意味をもってひな祭りを楽しめるかもです。
桃の節句のちらし寿司の具材の意味を子どもに教えると、ちゃんと大事にされているということが伝わるひな祭りにもなりますね。