桜餅は関東と関西で呼び方が違う?
和菓子の長命寺と道明寺の違いとは?
桜餅の葉っぱははがすのがマナー?
その疑問、解消します!
長命寺と道明寺の由来、
桜餅に使う材料や製法の違い、
食感と味の違い、
桜餅の葉の食べ方も含めて、
わかりやすくお伝えします。
桜餅は関東と関西で呼び方が違う?
春の定番スイーツといえば、桜餅。
桜餅、見た目も可愛くて、おいしいですよね。
春を感じさせる桜色の美しい桜餅は、ひな祭りやお花見シーズンには欠かせない和菓子です。
お雛さまを飾ると桜餅が食べたくなり、ソメイヨシノを見かけると桜餅を食べたくなるほど、子供の頃から桜餅が大好き。
淡いピンクの餅を、香り豊かな桜の葉で包んだ桜餅は、見ているだけで癒やされます(笑)。
実はこの桜餅、「桜餅」と聞いた時に、人によって思い浮かべる桜餅が違うんです。
子供の頃、実家のすぐそばに和菓子屋さんがありました。
そこで売られている桜餅は、桜の葉は使われているものの、家で母が作ってくれる桜餅とは全く違うもの。
その和菓子屋さんでは、母が作ってくれる桜餅は、『道明寺(どうみょうじ)』という名前で販売されていました。
実家では「桜餅」と呼んでいましたが、それは『道明寺』という名前で店頭に並ぶこともあるというのを、知ったキッカケです。
和菓子屋さんの桜餅も、母が作ってくれる桜餅も、どちらも美味しいんですが、本来、呼び方からして違うものなんでした。
呼び方の違いは?
桜餅には、『長命寺(ちょうめいじ)』と呼ばれるものと、『道明寺(どうみょうじ)』と呼ばれるものがあります。
「桜餅」という括りの中に、
- 長命寺
- 道明寺
という2種類の呼び方があるわけです。
主に、関東甲信越地方で桜餅といえば長命寺。
関西で桜餅といえば道明寺なのです。
長命寺と道明寺の違いとは?
関東と関西では、うどんの味も違えば、マクドナルトの略称も違う、くず餅も違って、電力の周波数も違いますが、桜餅も違いました。
一般的に、
- 『長命寺』は、関東風・江戸風の桜餅
- 『道明寺』は、関西風・上方風の桜餅
という違いがあります。
関東では、桜餅と道明寺という呼び方で区別されていますが、関西では、長命寺とか道明寺といった区別がそもそもありません。
関西で販売されている桜餅はすべて道明寺タイプなので、区別する必要がないのです。
道明寺は、別名、「京風桜餅」とも言われています。
桜餅の長命寺とは?
桜餅の関東風と言われる長命寺、皮の材料には小麦粉が使われています。
実家の近くの和菓子屋さんで売られていた桜餅は長命寺でした。
■ なぜ長命寺と呼ぶの?
なぜ「長命寺」と呼ばれているかについては諸説ありますが、代表的なものをご紹介しますね。
長命寺(ちょうめいじ)というお寺に由来するものです。
江戸時代、東京の隅田川沿いにある長命寺では、川沿いの桜の木から落ちる葉の掃除に日々頭を悩ませていました。
そこで、長命寺の門番をしていた山本新六が、舞い落ちる桜の葉を塩漬けにし、それにお餅を包んだのが始まりと言われています。
その餅を長命寺の前で販売したところ、隅田川にやってくるお花見客にとても好評で、『長命寺』という名前がつきました。
山本新六はその後店を構え、その店の「山本や」は、今も桜餅一筋でのれんを守り続けています。
桜餅の道明寺とは?
道明寺と呼ばれている理由は、『道明寺粉(どうみょうじこ)』という材料を生地に使用しているからです。
道明寺粉とは、もち米を一度蒸して、乾燥させて粗く砕いた物。
これを蒸して色付けしたもので餡を包んで作ります。
粘り気のあるお米の食感が残るつぶつぶとした皮が特徴です。
■ なぜ道明寺と呼ぶの?
道明寺と呼ばれるようになったのも、お寺が由来しています。
道明寺に使われる道明寺粉の歴史は古く、戦国時代に遡ります。
当時、大阪の『道明寺(どうみょうじ)』というお寺では、武士たちの保存食を作っていました。
その作っていた保存食「干飯(ほしい)」が、道明寺粉の元になっています。
干飯とは炊いた飯を干して乾燥させた保存食・携帯用の食料です。
干飯は長期保存できることから武士の携帯食として用いられ、水やお湯でふやかすなどして食べられていたものです。
この干飯を挽いて粉にしたものを、次第に「道明寺粉」と呼ぶようになり、それを使った餅が道明寺と呼ばれるようになったと言われています。
道明寺は今も大阪府藤井寺市にあります。
和菓子の道明寺と長命寺の味の違いは?
長命寺と道明寺では、材料が違うので、おのずと味も食感も違ってきます。
長命寺の味や食感は?
長命寺は、小麦粉に水を混ぜて薄く焼いた皮で餡をくるんだもの。
皮(生地)を二つ折りにしたり丸めたりしたものの中に餡(あん)が入っています。
皮の質感は、おまんじゅうの皮やクレープの皮といった感じで、しっとりしています。
長命寺のあんはこしあんが使われていることが多く、サラッと口の中にあんこがとけこんでいくので、口当たりが良いです。
道明寺の味や食感は?
俵型の道明寺は、粒あんが使われていることが多いようです。
道明寺粉のつぶつぶ感と、粒あんの歯ごたえが楽しめます。
塩漬けされた桜の葉から滲み出た塩気と一緒に食べると、ほどよい甘辛が楽しめます。
桜餅の葉っぱははがす?
見た目や味に違いのある長命寺と道明寺ですが、共通しているのが餅を包んでいる「塩漬けの桜の葉」。
塩漬けの桜の葉で包むことで、香り付けやお餅の乾燥を防ぐ目的があるとも言われています。
桜餅の食べ方ではよく、
「葉を食べる?食べない?」
で意見が分かれるところですが、桜餅の食べ方に決まりごとはありません。
正式な食べ方やマナーなどはないので、桜の葉を食べる食べないは、個人の好みでOK。
お店によっては、香りだけ楽しんで、葉ははがして、餅の部分だけを食べることを推奨している和菓子店もあるようです。
気になる場合は、購入先で尋ねてみるのもよいかもですね。
長命寺は桜の葉をはがしやすいのですが、道明寺はお餅と葉っぱがしっかりくっついているので、はがれにくいという特徴があります。
わたしは、長命寺も道明寺も葉を食べます。
長命寺の場合は一緒に食べるのではなく、はがしたあとに葉だけ食べて、お茶を飲むのが至福の時。
道明寺はそのまま一緒にいただいています。
あんことお餅の甘さに、塩漬けされた桜の葉からしみでた塩味が加わって、甘じょっぱい味わいがたまりません^^。
桜餅は関東と関西で呼び方が違う?和菓子の長命寺と道明寺の違いは?まとめ
「桜餅」には『長命寺』と『道明寺』という2種類があり、大きな違いは皮(生地)の材料です。
関東では、桜餅と道明寺という呼び方で区別されていますが、関西では、長命寺とか道明寺といった区別がそもそもありません。
関西で販売されている桜餅はすべて道明寺タイプなので、区別する必要がないのです。
桜餅の食べ方には決まり事があるわけではないので、桜餅についている塩漬けされた桜の葉っぱを食べる・食べないはお好みでOK。
最近は地域を問わず、道明寺も長命寺も手に入りやすくなっています。
桜餅のシーズンは、長命寺と道明寺の両方を用意して、違いを味わってみるのも楽しいですね。
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