じゃがいもの芽には毒がある?
発芽したら食べられないの?
食中毒になる毒の部分の見分け方は?
毒の取り方は?
その疑問、解消します!
じゃがいもの危険な毒性の箇所、
下ごしらえの方法、
安全に食べるポイント、
毒性を防ぐ保存法も含めて、
わかりやすくお伝えします。
じゃがいもの芽には毒がある?
じゃがいもは日持ちがする根菜です。
なのでストックしているご家庭が多いのですが
「じゃがいもを保存していたら、芽が出てしまった!」
そんな経験ありませんか?
小学校の家庭科実習でポテトサラダを作った時、先生が、
「じゃがいもの芽には毒があって、食べると死んじゃうこともあるので気をつけて」
と言ったのが衝撃で、
「こんな美味しいじゃがいもに毒があるなんて、まさに『綺麗なバラにはトゲがある』ってことか」
と若干トンチンカンな解釈をした思い出があります。
ビタミンCやカリウム、マグネシウムなど栄養たっぷりじゃがいもですが、昔から、
「じゃがいもの芽には毒がある」
と言われているので、じゃがいもを扱う時は用心している人も多いと思います。
じゃがいもの毒とは?
天然毒素を持つ食品を食べると食中毒をおこすことがあります。
じゃがいもの芽には、ソラニンとチャコニン(カコニンとも呼ばれています)という天然毒素の一種が含まれています。
天然毒素というとピンと来ないかもですが、たとえば、フグの毒やきのこの毒も天然毒です。
動植物の中に含まれる毒成分を天然毒素(天然毒)といいます。
ソラニンやチャコニンはナス科の植物のじゃがいも、ツルナス、イヌホオズキなどに含まれる天然毒素です。
じゃがいもに毒がある理由は?
わたしたちが食べるじゃがいもは、地下の茎が肥大した「塊茎」です。
サトイモ科の植物の塊茎が『シュウ酸』を含んでいるなど、塊茎に有害な物質を含む植物は少なくありません。
じゃがいもに毒があるのは、自らが繁殖するために栄養をためた塊茎が、外敵に食べられないように、有害な物質も含むようになったという説があります。
じゃがいもの毒を食べたときの症状は?
ソラニンやチャコニンを多く含むジャガイモを食べると、
- 吐き気
- 下痢
- おう吐
- 腹痛
- 頭痛
- めまい
などの症状が出ることがあります。
フグ毒のように致命率が高い天然毒ではありませんが、大量に摂取すると危険です。
体調や体質によって症状の現れ方には差があるので、吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出たときは、急いでお医者さんにみてもらいましょう。
じゃがいもの毒がある部分の見分け方は?
天然毒素のソラニンやチャコニンはじゃがいもの芽や緑色になった皮の部分に多く含まれます。
まずは、じゃがいものどの部分に多く天然毒素が含まれているのか押さえておきましょう。
じゃがいもの毒のある部分はどこ?
じゃがいもは、かなり古くから食べられていた馴染み深い植物ですが、ソラニンやチャコニンなどの自然毒が特に多く含まれる部分があります。
■ じゃがいもの芽と周囲
一般的によく知られているのが、前述の芽の部分ですね。
じゃがいもの芽とその芽の周りには天然毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれています。
■ じゃがいもの皮
収穫後に日光や電球の光に当たって、緑色に変色した皮のところには、ソラニンやチャコニンが発生します。
皮が緑色に変色したものは、見ればすぐわかりますね。
じゃがいもの光合成によって緑色になるんですが、緑色になってしまった皮には正常なじゃがいもの10倍近い量の毒素が含まれていると言われています。
■ 家庭菜園のじゃがいもに注意
じゃがいもは地中に横に伸びる地下茎を持ち、その先端に塊茎をつけます。
塊茎が、わたしたちが普段食べているじゃがいもです。
手軽に栽培できるので家庭菜園でも人気ですが、家庭菜園のじゃがいもには注意が必要です。
未熟で小さいジャガイモには、ソラニンやチャコニンを多く含んでいることがあるのため、食べる時は十分に熟したものを収穫しましょう。
自分たちで育てたじゃがいもの場合、じゃがいもが地上に出るのを防ぐためにしっかりと土を盛る『土寄せ』という作業が甘かったりします。
土寄せがきちんと行われていないと、土の中の浅い所で実ったじゃがいもには、日光が届いてしまい、毒性の強いじゃがいもになってしまうのです。
環境によっては前述の光合成が行われ、変色が起こっていることもあります。
皮が緑色に変色していなくても、大きさから、食べて大丈夫か判断できない時は、食べないようにします。
じゃがいもの毒の取り方
じゃがいもの天然毒による食中毒を防ぐには、毒性の強い部分を取り除くのが正解です。
ソラニンやチャコニンは、加熱では分解されません。
170℃以上の油で揚げると減ると言われていますが、毎回の調理が揚げ物というわけにはいきませんよね。
ソラニンやチャコニンを減らすのに有効なのが、じゃがいもを水にさらすという下処理です。
ソラニンとチャコニンは、水に弱い性質があるので、さらすことである一定量の毒素が水に排出されます。
ちょっとした一手間で天然毒が排出されるので、『じゃがいもは水に晒す』ということをおすすめします。
じゃがいもの芽の取り除き方
芽が出たじゃがいもでも、ちゃんと食べる事ができます。
■ 発芽したじゃがいもの芽の取り除き方
芽の周囲を大きくえぐるように取り除くのがポイントです。
包丁ではなく、じゃがいもの方を回すようにすると上手くできます。
1.
大きめの芽が出てしまったものは、あらかじめ伸びた芽を手でポキッと取る。
2.
芽があった所を、包丁の持ち手付近にある、直角になっている刃の部分を使ってえぐり取る。
3.
周辺も毒性が強いので、余分に取るつもりで広く包丁を入れる。
4.
包丁の角を芽の外周の一部に入れたら、芽の周りを一周させるようにしてえぐる。
じゃがいもの皮の処理は?
じゃがいもの皮は、全体的に毒性が強い場合が多いので、皮は剥いて食べるのが安心です。
皮はピーラーで薄く剥くよりも、包丁で厚めに剥くのが理想です。
前述の毒性の強い緑色の皮の場合は、剥くというより削ぐような感覚で、かなり厚く剥きます。
こうすれば緑色に変色したじゃがいもも、ちゃんと食べられますよ。
じゃがいもの中身が紫色?!
「じゃがいもを割ってみたら、中がところどころ紫色!」
こんな経験ありませんか?
紫色になった部分は毒ではありませんので安心してください。
じゃがいもの芽には紫色の部分もあるので、一瞬、毒なのではと思っちゃうかもですが、違います。
じゃがいもの中が紫色に変色しているのは、じゃがいもに含まれるポリフェノールの一種、アントシアニンの影響なので、食べても問題ありません。
毒性を防ぐ保存法は?
じゃがいもの芽の成長や皮の変色には、光合成(日光や電灯の灯り)が大きく関係しています。
明るい居場所で長期保存をすると芽はぐんぐんと伸び、皮は緑に変色してしまいます。
自宅で保存する場合は、日の当たらない冷暗所で保存します。
ちなみに冷蔵庫でじゃがいもを保存するのはNG。
じゃがいもに含まれるでんぷん質が糖に変化し、その糖がさらに発がん性のある化学物質に変化してしまう可能性があると言われています。
じゃがいもの芽は毒?食中毒になる危険部分の見分け方と取り方とは?まとめ
食中毒は恐ろしいですが、じゃがいもは正しい調理法で調理すれば毒にあたることはありません。
じゃがいもに芽が出ても、皮が緑色に変色していても、食べられなくなるわけではありません。
毒性の強い部分を取り除けば大丈夫です。
じゃがいもの芽の成長や皮の変色には、光合成(日光や電灯の灯り)が大きく関係しています。
自宅で保存する場合は、日の当たらない冷暗所で保存します。
じゃがいもは食べ切れる分だけ購入して、美味しく食べられるうちにいただくのがベストですね。