十三参りとはどんな行事?
何をお参りするの?
年齢の由来は?
参拝をする時期は?
十三参りを執り行うお寺は?
その疑問、解消します!
十三参りをするときの年齢の数え方、
13歳で行なう理由と儀式にこめられた意味、
代表的な寺院も含め、わかりやすくお伝えします。
十三参りとはどんな行事?
桜の便りが聞かれる頃になると、「十三詣り(じゅうさんまいり)」のシーズンが始まります。
十三参りは主に関西で行われている子どものお祝い行事ですが、最近は関東でも行なう人が増えてきました。
十三参りとは?
日本には節目ごとに子どもの成長を願う風習があります。
最も有名なのは「七五三」ですね。
七五三は、男女によって違いはありますが、子どもが3歳・5歳・7歳のときに行なう行事。
十三参りは、生まれた年の干支が初めて巡ってくる年、つまり、数え年の13歳に行なう子どもの行事です。
つまり、満○才ではなく、たとえば、寅年生まれなら、生まれてから最初の寅年の時に行なうということです。
なので、学年に関係ありません。
1月生まれでも12月生まれでも、その年に自分の干支が巡ってくる人は11歳でも12歳でも学年に関係なく十三参りをする対象の年齢です。
十三参りは「知恵参り」や「知恵もらい」とも言います。
十三参りでは、半紙に好きな漢字一文字を書き、ご祈祷していただきます。
お寺にお参りする場合は、写経という仏教の経典を書き写したものを奉納する作法がありますが、十三参りでは子どもに漢字一文字を書かせて、これを『一字写経』として奉納します。
◇ 十三参りで奉納する漢字についてはこちらをどうぞ。
・十三参りで奉納する漢字一文字は何が良い?字の選び方とおすすめ23選!
十三参りは七五三のように男女の区別はありません。
数え年の13歳は男女ともに厄年とされているため「厄除け」をする行事でもあります。
十三参りは、数え年で13歳になった少年少女が、『虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)』にお参りをすることで、知恵と福徳を授かるための儀式です。
■ 虚空蔵菩薩とは?
「虚空蔵菩薩」というのは、広大な宇宙のような無限の知恵と慈悲を持った菩薩様のことです。
『虚空蔵』とは無限に広がる宝庫を意味します。
虚空蔵菩薩は、宇宙のように広い蔵から智慧(ちえ)や財宝を無限に引き出し、人々を救ってくれると考えられています。
ちなみに「○○菩薩」という仏様は、悟りを開くために修行中という設定になっています。
悟りに至ると「○○如来(にょらい)」と呼ばれるようになります。
なので、虚空蔵菩薩は修行中の身分ということになりますね。
虚空蔵菩薩は、
- 無限の叡智(えいち):深く優れた知恵
- 無限の慈悲(じひ):人々を憐れみ、苦しみを取り除く
を持つ菩薩様。
虚空蔵菩薩の功徳(くどく:神仏のめぐみ。御利益)は、知恵や暗記力だけではなく、あらゆる財宝を得られる功徳や所願成就の功徳があるとされています。
そのため、虚空蔵菩薩古くから長く信仰を得ています。
十三参りの由来は?
虚空菩薩様から知恵と福徳を授かる十三参りの由来は、空海(くうかい)の逸話にちなんでいます。
空海は平安時代初期の僧で真言宗の開祖です。
亡くなったあとは「弘法大師(こうぼうだいし)」という諡号(しごう:貴人・僧侶などに、その死後、生前の行いを尊んで贈る名)がつきました。
空海が19歳の時に、「虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)」という修行を行いました。
虚空蔵求聞持法というのは、100日をかけて、虚空菩薩の真言を100万回唱えるという厳しい修行です。
この厳しい修行を無地やりとげた空海は、飛躍的に記憶力が増したと伝えられています。
十三参りで虚空蔵菩薩をお参りするようになったのは、この逸話が由来だと言われています。
なぜ13歳でお参りするの?
数えの13歳といえば、11歳から12歳。
ちょうど中学校に上がる時期と重なる年頃なので、知恵を授かるお参りは正にうってつけですね。
ですが、十三参りは就学のシステムもない時代から続いてきています。
13歳でお参りする由来には、定説というものはなく諸説あります。
代表的なものをご紹介しますね。
■ 厄年だから
前述のように、十三参りは、生まれた年の干支が初めて巡ってくる年、つまり、数え年の13歳に行なう子どもの行事です。
数え年の13歳は、生まれた十二支を再び迎える初めての「年男・年女」となります。
この13歳を厄年とする風習は、平安時代の「色葉字類抄」や鎌倉時代の「捨芥抄」にそのような記載があります。
今は厄年といえば、男25歳と42歳、女19歳と33歳が一般的ですが、昔は人生最初の厄年を男女ともに年男・年女となる13歳としていました。
そのため、厄払いをするためにお参りをしていたという説です。
■ 元服だから
鎌倉時代以降、武家社会においては『元服』という儀式が一般化しました。
元服の儀式は、12~16歳の男子が、子供の髪型を改め大人の髪を結い、大人の衣装を着て、冠や烏帽子を被り氏神へ詣出るというもの。
この元服の儀式が江戸時代に入ると簡略化が進み、『半元服』を行ってから、『本元服』を行なうということが広まりました。
この半元服を行なうのが、数えの13歳でした。
では、女子はどうだったのかというと、当時数えの13歳には、『髪上げの儀式』が行われていました。
髪上げの儀式は平安時代から行われていたもので、それまで長く伸ばして垂れ下げていた髪の毛を結い上げる儀式です。
これは、幼少期の髪型を大人の髪型へと変える儀式です。
男の子は元服、女の子は髪上げの儀式をすることで、13歳は少年少女から大人への仲間入りをする年齢とされたのです。
■ 清和天皇由来
京都嵐山にある法輪寺によると、平安時代、幼くして天皇の地位についた清和天皇が数え年13歳になった時、成人の証として「勅願法要」を法輪寺において催したことが、十三参りを行うきっかけになったといいます。
十三参りの参拝時期は?
数えの13歳で行われる十三参りは、本来旧暦の3月13日に行われていました。
なぜ3月13日かというと、この日が虚空蔵菩薩の縁日だからです。
虚空菩薩は13番めに生まれた菩薩(一番めは釈迦如来)なので、13日が虚空菩薩の縁日です。
縁日というのは神や仏に縁が深い日のことで、より多くのご利益を授かることが出来る日とされています。
旧暦の3月13日は新暦で言うと、4月の13日頃ですね。
現在は4月13日にお参りができるとは限らないので、4月13日を挟んで前後の1ヶ月である3月13日から4月13日でお参りするようになりました。
十三参りを行っているお寺は?
十三参りの行事や御祈祷は、虚空蔵菩薩を祀っている寺院で執り行われています。
一般的には虚空蔵菩薩をお祀りしているお寺で行いますが、虚空蔵菩薩はお祀りしていないけれど、十三参りのご祈祷をしているお寺や神社もあります。
近くに祀っているお寺がない場合は、近所の寺社に直接問い合わせてみるといいですね。
十三参りが行われる主な寺院と日程
十三参りが行われる時期は、3月13日から4月13日だけでなく、1年中行っているお寺や、秋にも十三参りの期間があるお寺もあります。
主なお寺をご紹介しますね。
■ 京都「法輪寺」
春の十三まいり:3月13日~5月13日
秋の十三まいり:10月1日~11月30日
住所:京都府京都市西京区嵐山虚空蔵山町
TEL:075-862-0013
■ 大阪「太平寺」
十三まいり新暦祭:3月13日あたり
十三まいり旧暦祭:4月13日あたり
※御祈祷は、3・4月の新暦祭・旧暦祭以外の日であれば年中受け付ける(但し事前予約が必要)
住所:大阪府大阪市天王寺区夕陽丘町1-1
TEL:06-6779-9133
■ 東京「浅草寺」
十三参り加持:4月13日を中心とした毎日
※御祈祷は、随時受け付ける。
住所:東京都台東区浅草2-3-1
TEL:03-3842-0181
■ 茨城「虚空蔵堂」
学年祭、十三詣り:3月25日~4月7日
住所:茨城県那珂郡東海村村松8
TEL:029-282-2022
■ 福島「福満虚空蔵菩薩圓臧寺」
十三講まいり:4月13日~5月13日
※御祈祷は、一年を通じて受け付ける
住所:福島県鹿沼軍柳津町大字柳津下平乙234
TEL:0241-42-2114
十三参りとはどんな由来の行事?参拝時期はいつ?お参りできるお寺は?まとめ
十三参りは、数え年で13歳になった少年少女が、『虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)』にお参りをすることで、知恵と福徳を授かるための儀式です。
また、厄を祓う意味もあります。
十三参りは関西を中心に行われてきましたが、最近では関東でも徐々に盛んになりつつあります。
十三参りを行なう11歳から12歳は、中学校への進学を控えた時期でもあります。
そのため、十三参りで知恵や幸せを授かり、厄除けをするというのは、時期的にもピッタリな儀式といえますね。
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