シビリアンコントロールってどんな意味?
簡単に言うとどういうこと?
文民統制はなぜ必要なの?
問題点とは?
その疑問、解消します!
シビリアンコントロール体制にする理由、
文民統制のメリット・デメリット、
憲法改憲の影響も含めて、わかりやすくお伝えします。
シビリアンコントロールの意味を簡単に教えて!
現在の日本はシビリアンコントロール下にあります。
シビリアンコントロール。
新聞やテレビなどのニュースや報道でよく聞く言葉ですね。
以前、わたしが高校受験の塾で採点のバイトをしていたとき、
「シビリアンコントロールを簡潔に述べよ」
という問題に、
「凍土のシベリアにおいて、快適な生活ができるよう工夫すること」
と記入されたムリクリ答案を、今でもよく思い出します^^
最近は憲法改正の議論のたびに、シビリアンコントロールが話題になります。
学校では中学校の公民あたりで初めて習う言葉ですが、大人になってもイマイチよくわからない人も多いんじゃないでしょうか。
責任ある有権者として、国の政策をしっかり理解するために、シビリアンコントロールをちゃんと理解しておくことは大切なこと。
基本の考え方がわかると、子どもに聞かれてもサクッと答えられるようになりますよ。
シビリアンコントロールとは?
シビリアンコントロールは、国際的な民主主義の原則の一つです。
英語で『civilian control of the military』
日本語では、『文民統制』と訳されています。
「シビリアン(civilian)」とは「文民」のこと。
「文民」というのは「軍人ではない人」のことです。
広辞苑でシビリアンコントロールを引くと、以下のように記述されています。
軍隊の指揮権が文民によって統制されること。
また、政治の軍事に対する優位を定めた制度。
軍部の政治への介入や独走を抑止するためのもの。
文民統制。
国によって、シビリアンコントロールの意味合いは多少異なりますが、シビリアンコントロールを簡単に言うと、
『軍人ではなく、国民が選んだ政府が軍隊を統制する』
という意味です。
つまり、
「国民が選んだ政治家が軍隊を指揮・監督する」
ということです。
シビリアンコントロールはなぜ必要なの?
英語のシビリアンコントロール(civilian control of the military)には、“ the military ” と「軍隊」という言葉が入っていますが、日本語に訳された文民統制には、軍隊という文字は入っていません。
このあたりが、シビリアンコントロールと聞いても、イマイチわかりにくい点かもしれません。
軍隊には、それを誇示することで、外国からの侵略を「防ぐ」という働きがあります。
防ぐ、つまり、「守ることができる」軍隊は、同時に「攻めることが出来る」軍隊でもあります。
こうしたことから、先進国の軍隊は、シビリアンコントロールという決まりごとの中で運営されています。
アメリカ映画など見ていると、大統領が陸海空軍に指示をする場面がありますよね。
アメリカは、国民から選ばれた大統領がアメリカ軍の最高指揮官です。
日本の場合、自衛隊が軍隊にあたるかどうかの議論はさておき、自衛隊もシビリアンコントロールの決まりで運営されています。
日本では、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣です。
これもシビリアンコントロールのひとつです。
内閣総理大臣は、国会で過半数を得た政党、あるいは与党連立政権の代表者が就任するわけですから、言ってみれば、内閣総理大臣は、わたしたち国民の代表です。
大統領も内閣総理大臣も現職の軍人ではなく、国民から選ばれた人(=文民)だという意味で、文民統制と言われています。
文民統制はなぜ必要なの?
文民統制、シビリアンコントロールとは文民が軍隊を制御することですが、逆に言うと、軍隊は常に議会での決定を通さなければ動いてはいけないことを示します。
戦前、明治憲法には「天皇は陸海軍を統帥す」と定められていました。
軍隊を指揮するのは政治家ではなく、天皇ということです。
ですが、実際、天皇が直接軍隊を指揮するわけではないので、おのずと軍部が指揮をするようになりました。
この統帥権の解釈を巡って、政治家と軍部が対立しましたが、結局のところ軍部が押し切りました。
つまり、議会の決定を待たずに、軍部が独断で軍隊を動かせるようになってしまったのです。
そうして、過去、歴史上においては、軍隊が勝手に戦争を起こしたり、政治家の命令を超えて行動するといった暴走がしばしば起こりました。
この反省から生まれたのが文民統制、シビリアンコントロールです。
前述のように、シビリアンコントロールは、国民が選んだ政治家が軍隊を指揮・監督するという意味。
自衛隊は、軍人ではない総理大臣や防衛大臣が管理し、予算や出動命令などに関して、国会のチェックを受ける仕組みとなっています。
軍が暴走しないように、軍人ではない政治家が軍隊を統制しようというのがシビリアンコントロールの考え方です。
なので、軍人がトップに立つ国は、現代では嫌われます。
いつ何時、過去の日本のように軍部が暴走しないか、予測がつかないからです。
民政と軍事を一手に握っている軍事政権と呼ばれるような国々、たとえば、
日本の近隣では、北朝鮮や中国がその典型です。
シビリアンコントロールは、民主主義と法の支配の観点からも重要な概念になるのです。
シビリアンコントロールの問題点とは?
日本のシビリアンコントロール(文民統制)をわかりやすく言うと、
「先の大戦では軍部が力をつけ、軍人の論理で戦争に突っ走った。その反省から、自衛隊の統制は選挙に拠って選出された議員が行う」
ということです。
文民統制は、軍隊を持たない(とされる)日本にとっては、敏感にならざるを得ない用語です。
一般的に、第二次世界大戦で戦線がいたずらに拡大したのは、シビリアンコントロールが機能しなかったためと考えられています。
その一方、シビリアンコントロールが効きすぎて、歴史的な悲劇を生んだ国もあります。
それは、第二次世界大戦の時のドイツです。
当時のドイツの軍部は、ヒトラーの主張するポーランド侵攻やロシア侵攻に反対していました。
ですが、ヒトラーはシビリアンコントロールを主張し、戦争を拡大させたのです。
ヒトラーといえば「独裁者」の典型といったイメージですが、ヒトラーは民主主義によって正式な手続きのもとで選ばれた、正式な国家の首長でもあります。
このように、統制する側の文民である政治家の胸先三寸で戦争が実行されてしまうこともあるのです。
我が国も、そうならない可能性はゼロではないということです。
憲法が改正され、憲法9条に「文民統制」が明記されたなら・・・
もちろん、日本は議会制民主主義なので、総理大臣が、
「戦争始めるぞ!」
と言ったからといって、即、戦争ということにはなりません。
ですが、衆議院で過半数を取っている総理大臣の所属する党が賛成したら、自衛隊が戦闘地域に行く可能性もなくはないですよね。
シビリアンコントロールの意味を簡単に教えて!なぜ必要?問題点は?まとめ
シビリアンコントロール(文民統制)は、軍人ではない人が軍の指揮権を持つことです。
国民が選んだ政治家が軍隊を指揮・監督するという意味です。
第二次世界大戦後、日本は軍部が暴走し、戦争を拡大させた反省から、軍人ではなく、わたしたち国民が選んだ政府が軍隊を統制するようになったのです。
軍人がトップに立つ国は軍事政権と呼ばれ、過去の日本のように軍部が暴走しないか、予測がつかないので嫌われます。
日本では、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣です。
シビリアンコントロール下においても、統制する側の文民である政治家の胸先三寸で戦争が実行されてしまう可能性もあります。
文民統制を憲法9条に加えるべきという改憲論がありますが、そうすることが良いのか悪いのか、わたしたちも自分の頭でしっかり考えることが大切ですね。