5月1日のメーデーの意味をわかりやすく教えて!
デモや集会をする由来は?
なぜ祝日にならないの?
その疑問、解消します!
日本のメーデーはどんなことをするのか、
国際的祝日になった歴史的背景、
日本が祝日にならない理由も含めて、
わかりやすくお伝えします。
5月1日のメーデーの意味をわかりやすく教えて!
待ちに待ったゴールデンウイーク。
帰省する人、遠出する人、近場で遊ぶ人とさまざまで、休みの長さも千差万別ですが、
「ここが休みだったらなぁ」
と思うのが5月1日のメーデーの日ではないでしょうか。
会社によっては休みにしているところもありますが、多くの企業は通常モード。
連休を取りたい場合は有給をあてるケースが多いですね。
「5月1日が祝日ならいいのに」
と、うらめしくさえ思える5月1日のメーデーとは、どんな日なのでしょう。
メーデーとは?
メーデーは5月1日に世界各地で行われる労働者の祭典のことです。
英語表記にすると「May Day」。
直訳すると「5月の日」となりますが、「労働の日」・「労働者の日」とも呼ばれています。
この場合は、英語で「labour Day(レイバー・デイ)」といいます。
メーデーの歴史は100年以上に及び、5月1日には世界中で労働の権利を主張した運動や集会が行われます。
元々のメーデーの由来は?
元々は、古代ローマから続く『五月祭』に由来する祭日をメーデーと呼んでいました。
五月祭とは、ヨーロッパ各地で5月1日に行われていた『豊穣の女神に供物を捧げ、夏の豊穣を祈るお祭り』のことです。
のちに、18世紀後半にイギリスから産業革命が始まります。
一気に技術革新がされたことで、労働者も権利を主張するようになり、雇用側と労働者側が就業体制や条件を巡って対立するようになります。
そこで、
「五月祭が行われてきた5月1日、せめてこの日は休戦しよう」
と双方で合意し、この日を祝日としたという歴史的な背景があるのです。
日本のメーデーはどんなことをするの?
日本のメーデーは全国で十万人以上が参加すると言われる大イベントです。
毎年、日本労働組合総連合会(連合)、非連合系の全国労働組合総連合(全労連)や全国労働組合連絡協議会(全労協)が労働者の権利を訴え、それぞれメーデーを開催しています。
メーデーでは、
- 労働者の地位や労働条件の向上
- 人権や労働基本権の確立
- 民主主義の発展
- 恒久平和の希求
などを、デモや集会を行なうことによって、社会に向けてメッセージを発信しています。
最近では、デモの中に反原発のプラカードもよく見かけます。
また、メーデーは、労働組合の組合員同士の貴重な交流の場でもあります。
各地のメーデー会場では、さまざまな組織や団体がブースを出展し、ステージショーや子ども向けの参加型イベントなども開催されています。
ゴールデンウイークということもあり、近年は家族みんなで楽しめるイベントが増えてきました。
メーデーの位置づけ自体が、「労働者の団結と主張の場」から「働くすべての仲間の祭典」と、時代の流れとともに変化しているようです。
労働者の日としての5月1日メーデーの由来とは?
メーデーの当日は、新聞やニュースなどで、
「メーデーの今日、各地で集会やデモが行われました」
といった報道を目にしたり、耳にしたりしますよね。
なので、前述した五月祭の『豊穣の女神に供物を捧げ、夏の豊穣を祈るお祭り』という元祖のメーデーよりも、
メディアで報道される集会やデモの様子から、『労働者の日』というイメージの方が圧倒的に強いかと思います。
その発端は、アメリカで行われたストライキにあります。
5月1日が労働者のメーデーになった起源とは?
1886年、当時のアメリカでは1日12時間~14時間労働が当たり前でした。
そこで、連日の長時間労働に反発した労働者たちは、8時間労働制を主張して大規模なストライキを行ったのです。
スローガンは、
『第一の8時間は労働のために、第二の8時間は休息のために、最後の8時間は俺たちの好きなことのために』
しかし、合意に至ること無く、その後も5月1日にストライキが行われていました。
3年後の1989年、社会主義運動の国際組織である『第二インターナショナル』が、5月1日を『労働運動の日』と設定します。
そして、翌年の1890年に、『第一回国際メーデー』が実施され、労働者の権利を主張する日として、世界各国に広まっていきました。
第二インターナショナルは解体されましたが、世界の各地で
『5月1日はメーデー=労働者の日』
という認識となり、国際的に祝日となったのです。
5月1日のメーデーが祝日じゃないのはなぜ?
メーデーは世界的には5月1日ですが、日本では5月1日の他に、集まりやすい4月下旬の土日や4月29日(昭和の日)に集会を行う団体もあります。
日本では、メーデーが祝日ではないので、働く人が集まりやすい日に開催日を設定しているんですね。
5月1日にデモをする人たちもいますが、休みの日ではないため、少数派です。
海外では5月1日のメーデーは祝日?
国際的に見ると、メーデーを祝日とする国のほうが主流です。
メーデーは国連などの国際機関が定める「国際デー」のひとつ。
そのため、世界の80以上の国で5月1日を労働者のための祝日としています。
それほど、労働者の権利を重要視しているということですね。
祝日としていない主な国は、OECD加盟国では、日本をはじめ、イギリス、オランダ、スイス、デンマーク、トルコ、韓国。
なぜ、日本は祝日にならないのでしょう。
5月1日が祝日だと、ゴールデンウイーク的にも嬉しくなる人が多いのではとも思うのですが、お休みにならないのには大きな理由が2つあります。
5月1日のメーデーが休みにならない理由その1
■ 金融や市場の懸念
「せっかくゴールデンウイークの真っ只中、5月1日は休みにしたっていいじゃないか!」
と思っちゃいますが、だからこそ困る人達がいます。
それは金融界や経済界に携わる市場の人達。
4月29日の昭和の日から始まって、5月5日のこどもの日まで、基本一週間のあいだ、祝日や休日が続くのがゴールデンウイークです。
振替休日や、週末の土日が重ならなければ、4月30日・5月1日・5月2日は平日です。
ですが、もし5月1日を祝日とするなら。
4月30日と5月2日も国民の休日になってしまうのです。
どういうことかというと、祝日法という法律で、『祝日に挟まれた平日は休日にする』という決まりがあるのです。
4月29日は昭和の日、5月1日をメーデーで祝日にすると、挟まれている4月30日は休日。
5月1日がメーデーで祝日だとすると、5月2日は、5月3日の憲法記念日に挟まれます。
5月1日を祝日にすると、4月29日の昭和の日から始まって、5月5日のこどもの日まで全てがお休みになっちゃいますよね。
こうなると8連休や9連休も普通に生まれます。
金融機関も休み、役所も休みとなると、一般市民に不都合が生まれる可能性が高くなります。
一方、金融や市場が長期の休みになると、その間に何か問題が起きないかとか、莫大な機会損失が生まれるといった懸念があります。
株取引や為替の問題です。
日本の市場だけが長期に休むことになってしまうと、世界の動きについていけず、多額の損失が発生することは容易に想像できます。
日本の場合、ゴールデンウイークという特殊要因があるため、諸外国のようにメーデーを祝日にしようとする動きには、なかなか至りにくいわけですね。
◇ 祝日について詳しくはこちらをどうぞ。
・祝日と祭日の違いとは?ひと目でわかる国民の祝日の意味を一覧で!
5月1日のメーデーが休みにならない理由その2
■ 勤労感謝の日があるじゃないか
メーデーを「労働者の日」という観点で捉えると、日本には既に「勤労感謝の日」があるので、これ以上の祝日は必要ないという意見があります。
確かに同じような意味合いもありますね。
1989年、昭和天皇が崩御されたのに伴い、昭和天皇の誕生日である4月29日が「みどりの日」と定められました。
その後、2007年から「みどりの日」が4月29日から5月4日に移動して、5月3日から5月5日は3連休になりました。
ゴールデンウイーク中に3連休と言う形が確立され、メーデーが「勤労感謝の日」と趣旨が類似しているのに、わざわざ祝日にする意味があるのか、という意見があるのです。
◇ みどりの日について詳しくはこちら。
・4月29日の昭和の日とは何する日?みどりの日が移動した理由はなぜ?
5月1日メーデーの意味と由来を簡単に教えて!なぜ祝日にならないの?まとめ
メーデーはヨーロッパの五月祭にちなみ、労使間で休戦する日でしたが、それが転じて、労働者が権利を主張する日となりました。
昔は労働者と雇用者では、雇用者側が圧倒的に強かったことから、5月1日は労働者が権利を訴える日として世界各地に広まりました。
世界では祝日とされているのに、日本では祝日とならない理由は、日本ならではのゴールデンウイークという特殊要因にあります。
昔は、メーデーの日は街なかでのデモ行進をよく見かけて、5月1日を意識していなくても「今日はメーデーなんだな」とわかりましたが、最近は5月1日近辺の日にちで行なうことも多くなっています。
祝日になることもちょっと期待したいですが、わたしたちがより良く働ける環境のためにも、5月1日が労働者の権利を訴える日だということが、より広まるといいですね。