バターとマーガリンの違いは?
バターとはどういうもの?
マーガリンとはどういうもの?
何がどう違うの?
その疑問、解消します!
マーガリンとファットスプレッドの違い、
それぞれの特徴となる由来と歴史、
自家製バターの作り方も含めて、わかりやすくお伝えします。
バターとマーガリンの違いは?
見た目もよく似たバターとマーガリン。
「うちはバターしか使わない」
「パンに塗りやすいからマーガリン」
など、バター派の人もいれば、マーガリン派の人もいますよね。
バターとマーガリンは見た目が似ている上、パンに塗ったり料理に使ったりと、キッチンで使う目的も一緒です。
スーパーなどに行くと、マーガリンよりもバターの方が値段が高いので、マーガリン派の中には、
「マーガリンは安くて美味しい」
といった理由でマーガリンを使っている人も多くいます。
似た者同士に思えるバターとマーガリン、この2つはいったい何がどう違うのでしょうか。
バターとマーガリンはどういう違いがあるの?
多くの場合バターもマーガリンも同じ用途に使うことができますが、名前が違うように、両者は異なったものです。
■ 原材料の違い
バターとマーガリンの一番の違いは、「乳脂肪」を使ってるか、「油脂」を使っているか、の違いです。
バターは牛乳から作られますが、 マーガリンは植物性油脂を主な原料として作られます。
- バター:80%以上が動物性脂肪(乳脂肪)で出来ている
- マーガリン:80%が植物性脂肪(オリーブ油、ごま油等)などの油脂で出来ている
どちらも脂肪分が80%以上と、ほぼ脂肪分なのですが、原材料が大きく異なります。
■ 風味や形状の違い
独特の香り、優れた風味のバターは、料理やお菓子作りに欠かせないものです。
風味がさらに良い発酵バターや、お菓子作りには塩が入っていない無塩タイプなど、バリエーションがあります。
一方、マーガリン類にはあっさりした味わいがあり、サンドイッチなど他の食材と合わせるのに便利です。
柔らかくなめらかなマーガリンは、パンに塗ったり、生地に練りこみやすいといった特徴があります。
■ 値段の違い
バターのほうがマーガリンよりも高価です。
バターとマーガリンのカロリーに違いは?
バターとマーガリンのカロリーは、どちらもほとんど変わりません。
バターは80%以上が乳脂肪分、マーガリンは80%以上が油脂で出来ているので、どちらも、大さじ1のカロリーは約90kcal程度です。
バターとはどういうもの?
バターは牛乳から作られる乳製品。
バターは牛乳を原料として作られた自然食品です。
具体的には、生の牛乳に含まれる脂肪分を抽出して、固めたものがバターとなります。
もっと詳しく言うと、バターは牛乳から分離したクリームの乳脂肪分を撹拌して、塊状に集合させて作ったもの。
バターは、
2. クリームをかき混ぜる
3. 練り上げて成形
という流れで作られます。
そのため、乳脂肪以外の脂肪分(植物性油脂など)は含みません。
現在バターとして販売されているものは、
『乳脂肪分が80.0%以上、水分が17.0%以下』
と、法律(JAS規格)で決められています。
バターの由来と歴史
バターの歴史は古く、紀元前2000年前のインドの経典に登場しています。
当時は、医薬品や化粧品として使用されていました。
食用になったのは紀元前60年頃からと言われています。
日本には江戸時代に薬用として伝来し、明治以降に食用として広まりました。
バターの栄養は?
バターには、良質な乳脂肪と豊富な脂溶性ビタミンが含まれています。
乳脂肪は消化がよく、赤ちゃんの離乳食や胃腸の弱い人、お年寄りにも適しています。
成長に欠かせないビタミンAは肌や粘膜を健康に保ち、細菌に対する抵抗力を強め、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、ビタミンEは老化を防ぐ効果があるとされています。
バターの種類は?
成分や製法の違いによって、バターの種類は分けられており、それぞれ香りや味わいも異なります。
発酵バターと非発酵バター、それぞれに有塩、食塩不使用タイプがあります。
■ 成分による分類
- 有塩バター(加塩バター)
- 食塩不使用バター
有塩バターは風味をよくし、保存性を高めるために、製造中に食塩を加えています。
食塩の含有率は1.5%くらいです。
食塩不使用バターは、主に製菓用や調理用に使われます。
食塩が入っていないので、かつては無塩バターといっていましたが、栄養表示の法律改正(平成8年)により、食塩不使用バターとなりました。
■ 製法による分類
- 非発酵バター
- 発酵バター
非発酵バターは、乳酸発酵させないクリームが原料で、クセのないバターです。
日本ではこのタイプが主流です。
発酵バターは、原料のクリームを乳酸菌によって発酵させて作ったもので、特有の芳香があります。
ヨーロッパではこのバターがほとんどです。
生クリームで手作りバターを作るには
よく、牧場などで、しぼりたての牛乳をシェイクしてバターにする体験コーナーがありますが、生の牛乳に含まれる脂肪分を抽出して作るバターは家でも簡単に作れます。
わたしはよく生クリームから手作りバターを作ります。
原理は至って簡単。
牛乳の脂肪分をシェイクする(振る)ことで、脂肪の球同士がぶつかり合い、球の表面の膜が破れ、その球同士がくっついて、ある程度の大きさの塊になるという性質を利用します。
作り方も超簡単です。
前述のように、バターは生クリームから乳脂肪分を抽出するというシンプルな方法で出来るので、材料さえあれば、誰でもすぐに家で簡単に作れます。
用意するのは、無添加の生クリームとスプーンだけ。
スーパーに売っている無添加の生クリームを買ってきて、パッケージごと10分以上、シェイク(振り混ぜる)します。
途中で音が急にしなくなるので、そうなったら、手のひらに打ち付けるように振っていきます。
ある程度振ると、パッケージの中でたくさんの塊ができています。
それをスプーンなどで練り込むとバターの出来上がり。
生クリームを買う時に、乳化剤などの添加物が入っているものだと、自家製バターは作ることができません。
バターは生の牛乳からのみ作られる自然食品なのです。
マーガリンとはどういうもの?
マーガリンは油脂を原料に、バターに似せて作られた加工食品です。
マーガリンは、バターほど歴史が古くありません。
マーガリンが生まれたのは、1869年のフランスです。
当時、フランスは隣国プロシアとの戦争中で、バター不足が深刻化していました。
そこで、国王ナポレオン3世の命令で、バターの代用品を懸賞で募集することになります。
その時に選ばれたのが、化学者のメージュ・ムーリェが考案した、牛脂と牛乳を混ぜて冷やし固めたもので、これが、マーガリンの元になりました。
マーガリンという名前は、ギリシャ語で「真珠」を意味する「Margarite」に由来します。
最初は、牛脂に牛乳などを加えて固めただけのものでしたが、後に、植物油を固形化する技術が開発され、今のマーガリンとなっていきます。
今のマーガリンは、食用油脂等の原料と、水や食塩、乳成分などを練り合わせた加工食品です。
原料となる食用油脂はコーン油、大豆油、紅花油などの植物油脂が主体となっています。
使われている植物油脂は種類もいろいろで、それぞれの特性により使い分けたり、いくつかの種類を混ぜ合わせたりして作られています。
マーガリンに使われる油脂によって、その風味や成分も変わり、体に機能する脂肪酸の組合せも変えられます。
ソフトタイプのマーガリンは、冷蔵庫から取り出して、すぐにパンに塗れるのも、持ち味のひとつと言えますね。
また、バターより価格が安いのも、マーガリンが好まれる理由になっています
現在マーガリンとして販売されているものは、JAS規格で油脂含有率が、80.0%以上と決められています。
マーガリンとファットスプレッド
マーガリンと呼ばれる商品のパッケージをよくみると、「ファットスプレッド」と記されているものがあります。
マーガリン類は日本農林規格(JAS規格)によって規定されており、油脂含有率の違いにより「マーガリン」と「ファットスプレッド」に分けられています。
ファットスプレッドは、油脂含有率が80%未満のマーガリンをいいます。
マーガリンに比べると、ファットスプレッドのほうが油脂含有率が低いため、より軽い味わいが特長になります。
ファットスプレッドにはイチゴやチョコレートなどの風味原料を加えることもできます。
マーガリンのトランス脂肪酸とは
植物性脂肪から作られるマーガリンは、動物性脂肪であるバターよりも健康によいというようなイメージが持たれた時期がありました。
ですが、昨今、マーガリンに含まれる「トランス脂肪酸」に、心臓疾患などの健康被害を与える可能性があると指摘されています。
トランス脂肪酸の健康被害については、アメリカでは規制の流れになっています。
海外の多くの国では、一定量以上のトランス脂肪酸を含む場合は、食品にその旨を明記しなければいけない法律がありますが、日本ではまだ表示が義務化されていません。
トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは、トランス脂肪酸の摂取量が多い欧米人を対象としたものであり、日本人の場合にも同じ影響があるのかどうかは明らかではないことが背景にあるからです。
メーカーによってはトランス脂肪酸の低減工程を行っており、それを明示している商品もあります。
バターとマーガリンの違いは?何がどう違うのか特徴をわかりやすく!まとめ
バターは牛乳を原料に作られた乳脂肪分が80%以上の乳製品です。
マーガリンは食用油脂を原料に作られた油脂含有率が80%以上の加工品です。
バターは自然食品、マーガリンは工業製品とも言えます。
材料が違うように、それぞれ、味や風味、使いやすさも異なります。
どちらが良い、どちらが悪いということではなく、用途に応じた使い分けができるといいですね。