コンプライアンスってどんな意味?
なぜ問題になるの?
違反の事例は?
例えばどういう使い方をする?
その疑問、解消します!
コンプライアンスが重要視されている理由や背景、
働く上で知っておきたい使い方や具体的な例文も含めて、わかりやすくお伝えします。
コンプライアンスってどんな意味?
コンプライアンス、よく耳にする言葉ですよね、
「我社のコンプライアンスが・・・」
「コンプライアンス重視の政策で・・・」
何となくはわかっているけど、コンプライアンスが自分では使えない言葉になっていることもあるかと思います。
コンプライアンスとは?
コンプライアンス【compliance】とは英語で、
「命令・要求に従うこと」
という意味です。
日本では、「法令遵守」という言葉が相当します。
遵守というのは、「規則・法律などに従い、守る」という意味です。
法令は「法律と命令」という意味を持つ言葉なので、「法令遵守」という言葉は、法律を特に守るということを強調しています。
ビジネスにおけるコンプライアンスとは?
最近ではコンプライアンスを、
「企業が法律や企業倫理を遵守すること」
という意味で使われることが多いですね。
この場合、「ビジネスコンプライアンス」とも言います。
ニュースで、企業の不祥事の話題の時など、企業幹部やコメンテーターの発言でコンプライアンスという言葉を聞くことがよくありますね。
世間で言うコンプライアンスは、法律を守るという意味だけでなく、「企業のルールや、社会倫理を守る」といった意味合いを含んで使われるのが一般的です。
我が国の法律にはさまざまなものがありますが、法律を守るのはあたりまえのこと。
「法の抜け穴をくぐり、合法であればいい」
ということではなく、
「法律を守った上で、なおかつ社会的なモラルやルールに従って企業として活動していく」
というのが、ビジネスシーンでいうところのコンプライアンスとなります。
医療や介護のコンプライアンスとは?
コンプライアンスは医療業界や介護の現場でも使われています。
この場合のコンプライアンスは「服薬遵守(ふくやくじゅんしゅ)」または「服薬コンプライアンス」とも呼ばれます。
たとえば、患者が医者の指示通りに薬を服用していることを、
「コンプライアンスが良い」
と言ったり、逆に患者が薬の飲み忘れが多いなど、患者側が定められた服用方法を守らないことを、
「ノンコンプライアンス」
という言い方をします。
ビジネスで使う場合と医療で使う場合は意味合いが違うので、注意が必要ですね。
なぜコンプライアンスが問題になるの?
コンプライアンスという言葉を頻繁に耳にするようになったのには、誰もが知るような大企業で起こった不祥事や、その隠ぺいなどが相次いで起こったことが背景にあります。
中でもアメリカのエンロン事件は、世界的な企業不祥事となり、世界経済に多大な悪影響を与えました。
エンロン事件というのは、2001年、アメリカにおいて世界最大手のエネルギー販売会社だったエンロン社が、当時史上最大額(総額160億ドル)の負債を抱えて倒産した事件です。
巨額の不正経理・不正取引による粉飾決算が明るみに出て破綻に追い込まれたのですが、この事件ののち、他の有力企業の不正会計の発覚が相次ぎ、証券市場の公正性をも脅かす事態となりました。
これを契機に、企業における法令遵守の体制構築に注目が集まるようになっていったのです。
日本でも2000年以降、企業の不祥事が相次いだことから、コンプライアンスが重要視されるようになりました。
コンプライアンスをわかりやすく言うと、
「人としての道徳を守りましょう」
ということです。
要は、
「悪いことをしない」
というだけの話なんですが、これがなかなか守られないので、コンプライアンスがどうだとか、コンプライアンスがなってない、と、騒がれたりするわけです。
インターネットやSNSの発達によって、最近では会社・企業の不祥事に対して、ますます社会の目が厳しくなってきています。
従業員が1万人いる会社でも、たったひとりの起こした不祥事で経営がつまずいてしまうという可能性だってあります。
ニュースやワイドショーで話題になるような、
「小遣いほしさで会社の顧客リストを売った」
「架空請求を繰り返して帳簿をごまかし、遊興費にあてた」
といった不祥事を聞いて、そこの商品を喜んで買う人はいませんよね。
たったひとりの個人が行った悪い行為で、会社の信用が地に堕ちて存続が難しくなることもあるのです。
今の時代、企業の一従業員の不祥事を聞いて、その会社の商品の不買運動が起こったりする可能性もゼロじゃないんですね。
そういった危険性を経営陣が感じているからこそ、社員に「コンプライアンス」を徹底させるよう取り組んでいるのです。
企業のイメージ戦略としてのコンプライアンス
経済が自由化やグローバル化していく中、企業は法令遵守できちんと経営を行うことが求められています。
コンプライアンスをしっかりと運用できている企業は、「優秀な企業」「信頼できる企業」とみなされます。
法律や社会的倫理を守る企業は安心できる企業ということです。
不正がない企業ということは、社内教育も徹底され、働く環境が整っている企業ともいえます。
そうなると取引相手も安心できますね。
働く環境が整っていて、従業員には道徳的な教育がきちんとなされているイメージに加えて、社会的に健全でクリーンな企業であるというアピールにはコンプライアンスは欠かせないものです。
コンプライアンス体制がきちんと構築されている企業は、消費者や取引先から高い信頼を得ることになります。
そうなると、企業の業績向上やブランド価値の向上、株価の安定など、企業全体の質や価値の向上にも繋がるわけです。
コンプライアンス違反の事例
企業がコンプライアンスを重要視する一方で、たくさんのコンプライアンス違反の事例が報道されています。
コンプライアンス違反というのは、言うまでもありませんが、法律に反した行動や社会的な道徳や倫理に反した行動をすることです。
企業のコンプライアンス違反の代表的なものとしては、以下のようなものがあります。
- 粉飾決算などの不正会計
- 脱税
- インサイダー
- 横領
- 談合
- 産地や性能の偽装
- リコール隠し
- 贈収賄
- 個人情報の流出
最近では、ゼネコン大手4社によるリニア新幹線の談合や神戸製鋼の性能データの改ざんなどが世間を騒がせました。
従業員に対してのコンプライアンス違反もあります。
- サービス残業
- 賃金不払い
- 過労死
- 社内告発のもみ消し
- パワハラ
- セクハラ
コンプライアンスの使い方と例文
一般的にコンプライアンスという言葉が使われるのは、『企業の倫理』を話題にする時です。
社内会議や経営者のスピーチでは、
「我が社も、コンプライアンスへの取り組みを強化すべきです」
「新入社員のコンプライアンス教育を徹底して下さい」
といった使い方をします。
経営者や企業の営業担当者が、
「小さい会社ですが、コンプライアンスは徹底していると自負しています」
というような使い方をしたなら、世間や取引先に自社のアピールをしているんですね。
マスコミが企業の不祥事を取り上げて、非難する場合もあります。
「グループ企業との不透明な取引はコンプライアンス上問題となる」
また、経営コンサルタントがクライアントとのカウンセリングで、
「杓子定規なコンプライアンス対策は社員に混乱を生むことがあります」
といったように、問題を指摘する場面でも使われます。
注意!
コンプライアンスとは「法令遵守」という意味なので、「コンプライアンスの遵守」とか「コンプライアンスを守る」という使い方は、「遵守」や「守る」が重複する間違った使い方です。
コンプライアンスの意味を教えて!今さら聞けない使い方と違反の事例 まとめ
コンプライアンスの意味は「法令遵守」。
昔と違って、企業は利益を追求するだけの組織ではなく、社会を構成する重要な役割も求められています。
それには、まずは不祥事を起こさないような土台作りが必要になってきているのです。
一度不祥事が起きると、それが会社の中のごく一部の人間やたったひとりの行為だったとしても、非難されるのはその人間が所属している会社の社長です。
会社の社長といえば会社そのもの、会社に対する信用がなくなれば、ひいては会社から顧客が離れてしまい、会社を経営していくこと自体が難しくなります。
そのため、会社側は従業員の不祥事を未然に防げるよう、コンプライアンスについてどのように取り組むか、また従業員にコンプライアンスについてどう取り組んでもらうかを考えているのです。
組織としても、個人としても、
「悪いことはしない」
コンプライアンスで重要なことは、ただ、これだけのことなのです。