情けは人の為ならずの意味を教えて!
多くの人が知っているのに間違った意味で覚えている理由、
正しい使い方の例文をご紹介。
約半数の人がその解釈を誤解しているデータ、
情けは人の為ならずを使ったオリジナルの15の例文も含めて、わかりやすくお伝えします。
情けは人の為ならずの意味を教えて!
「情けは人の為ならず」は日本のことわざのひとつです。
多くの人が知っていて、普段の暮らしの中でも耳にすることわざのひとつですが、かなりの確率で間違われた使い方をされていることわざでもあります。
【質問:「情けは人の為ならず」として正しいものを選びなさい】
1. 人に情けをかけると、結局はその人の為にはならない
2. 情けは人の為だけではなく自分の為にもよくない
3. 人に情けをかけると、結果として自分の為になる
ちょっと考えてみてくださいね。
↓
↓
↓
正解は、3の「人に情けをかけると、結果として自分の為になる」です。
「情けは人の為ならず」ということわざは、
『情けは人のためではなく、いずれは巡って恩恵が自分に返ってくるのであるから、誰にでも親切にした方が良い』
という教えです。
誰かに親切にすると、その相手は良い思いをします。
でも、それだけではなく、そのことが原因で、結果として自分も良い思いができる。
なので、「人に情けをかけるのは、人のためではなく自分のためでもあるんだよ」といった意味合いです。
「情けをかけてはならない」という意味で間違えられている事が多いんですが、それでは全く逆の意味になってしまいます。
そもそも「情け」ってどういう意味?
まずは、「情け」の意味を理解することが大事です。
情けとは、一言で言えば人情。
人間味のある心や他人をいたわる心のことをいいます。
つまり、人間としてのあたたかい心づかい、思いやりの気持ち。
わかりやすく言うと、『親切』です。
「情けは人の為ならず」
情けを親切に置き換えると、
「親切は人の為ならず」
この「人の為ならず」の古めかしい言い方が、ことわざの意味の誤解を生む原因になっているんですね。
特に、最近の若い人たちは「情けをかけることは、その人のためにならないから、よくないことだ」と解釈しているようです。
ただ、そう解釈するのも仕方のない側面があります。
というのは、「情けは人の為ならず」は、その後に続く文が省略された形だからなのです。
情けは人の為ならずの全文とは?
「情けは人の為ならず」の省略のない全文は、
「情けは人の為ならず、巡り巡って己が為」
です。
「人の為ならず」の部分は、「人の為ではなく◯◯の為である」と続く打ち消しの言葉です。
こうして全文を見ると、先述の「情けは人の為ならず」の教えの意味、
『情けは人のためではなく、いずれは巡って恩恵が自分に返ってくるのであるから、誰にでも親切にした方が良い』
というのがわかりやすくなりますよね。
「情けは人の為ならず」
の「為ならず」という言葉が『否定』の意味の「ならない」と解釈して終了してしまい、ことわざの意味を間違って捉える原因になっていると考えられます。
「情けは人の為ならず」の意味を尋ねた文化庁が行った平成22年度の「国語に関する世論調査」のデータによると、
(イ) 人に情けを掛けて助けてやることは,結局はその人のためにならない・・・・・・・・・ 45.7%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.0%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.9%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.6%
となっています。
実に、約半数近くの人が、「情けは人の為ならず」の正しい解釈をしていないことになるんですね。
ということは、この「情けは人の為ならず」という言葉を使ったとしても、半分の人には真意が伝わらないってことになるので注意が必要です。
確かにわたしの周りでも、間違った意味で覚えてしまっている人が多いんですよね。
『他人にいたずらに手を貸してしまうのは、その人の成長の為にならない。だから、下手に親切にしたり助け舟を出すようなことはしない方が良い』
といったような誤った解釈が、割と広く浸透してしまっているのです。
ことわざ本来の意味を知ると、間違った解釈の方の意味は、上から目線でちょっと世知辛いというか、冷たい感じがしませんか?
「情けは人の為ならず」
は、簡単にいうと、
「人に優しく」
っていうまっとうな教えです。
それを、
「親切は人の為にならない(人に情けはかけるな)」
とするのは、人と人とのつながりや、人の優しさを否定するような意味合いにもなってしまいます。
『誰かに親切にすることや、相手を思いやることは、自分自身のためでもある』
という本来の意味が大切にされる世の中になるといいなぁと思っています。
情けは人の為ならずの使い方と例文15
「情けは人の為ならず」
この言葉は、
『他の人には情けをかけておくもの。そうすれば巡り巡ってその情けが自分に戻ってくる』
といった意味合いを伝える時に使います。
どんな使い方をするのか、15の例文をあげてみますね。
いずれもわたしのオリジナル例文です。
「新人を積極的にフォローしていきましょう。情けは人の為ならずです」
「情けは人の為ならずが座右の銘、お手伝いしますよ」
「コンビニのお釣りは募金してるよ。情けは人の為ならずって言うしね」
「情けは人の為ならず、あなたみたいな親切な人はきっと報われるわ」
「泊まる所がないなら泊めてあげましょうよ。情けは人の為ならずよ」
「どうぞお気になさらないで。情けは人の為ならずです」
「情けは人の為ならず。人には親切にしなくちゃいけないよ」
「そんなに恐縮しないでください。ちょっと手伝っただけです。情けは人の為ならずって言うじゃないですか」
「君が賭けに負けた分、今回はチャラにするよ。情けは人の為ならずってとこかな」
「君が助かったのは、普段から君が情けは人の為ならずの行いをしてきたからだ」
「見て見ぬふりはできない。情けは人の為ならずだ」
「情けは人の為ならずなんだから、みんなで助けてあげましょうよ」
「どんな時も部下の相談には親身になろう。情けは人の為ならず、だよ」
「観戦後は掃除をして帰るのがマナーだし、情けは人の為ならずってことにもなるよ」
情けは人の為ならずの意味をわかりやすく!例文で見る正しい使い方のまとめ
「情けは人の為ならず」ということわざは、
『情けは人のためではなく、いずれは巡って恩恵が自分に返ってくるのであるから、誰にでも親切にした方が良い』
という教えです。
「人に情けをかけるのは、人のためではなく自分のためでもあるんだよ」といった意味合いです。
人にした親切は、巡り巡って自分に良い結果として帰ってくる。
これこそが、「情けは人の為ならず」の本来の意味です。
日本には古くから「恩送り」という考え方があります。
誰かから受けた恩を、自分は別の人に送る。そしてその送られた人がさらに別の人に渡し、そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくということです。
英語にも「Pay it forward(ペイ・イット・フォーワード)」という表現があって、これをテーマにした『ペイ・フォワード[可能の王国]』という映画がヒットしました。
「情けは人の為ならず」を見聞きするたびに、恩送りという言葉も思い出します。
「人の為ではなく、結局は自分の為なのだ」と思うと、人への親切や協力、お手伝い、募金、どんな形であれ、「誰かを助ける」という行為がしやすくなるのではと思います。
「情けは人の為ならず」、大切にしたい言葉ですね。