原油価格の1バレルってなんのこと?
石油1バレルっていくら?
1バレルは何リットル?
1ガロンとは?
その疑問、解消します!
原油1リットルを日本円に換算する時の計算式、
バレルの名前の由来、
アメリカとイギリスの違いも含めて、
わかりやすくお伝えします。
原油や石油の1バレルは何リットル?
ガソリン代がじわじわと高くなっていますよね。
生活に車が欠かせない暮らしをしている家計には大いに痛いところです。
ガソリン価格の背景には、ガソリンの大元、原油価格の上昇があるんですが、この原油価格のニュースでよく出てくるのが「バレル」という言葉。
テレビやラジオで
「昨年10月には1バレル○○ドル台だったNY原油は、8月現在、1バレル○○ドルを超す水準にまで上昇」
といったニュースを聞いたり、
新聞などで目にすることもあるかと思います。
1バレルの量は?
ふだんガソリンや灯油などはリッター単位で購入しているので、バレルというとピンと来ないですよね。
1バレルは約159リットル。
正確には、158.987294928リットルです。
バレルは、アメリカやイギリスなどで使われているヤード・ポンド法による体積の単位です。
ヤード・ポンド法というのはイギリス固有の単位系で、アメリカやイギリスの旧植民地などで用いられている単位です。
現在、国際的には原油や石油製品はバレル単位で量ることになっています。
原油の取引単位は、
が基本です(ここでの米はアメリカを意味しています)。
約159リットルというと、よく見かける灯油用のポリタンク(18リットル)で換算すると約9個分にあたります。
2024年6月時点のNYMEX(ナイメックス:ニューヨーク・マーカンタイル取引所)では、原油先物相場は1バレルが77ドル前後。
1ドル:155円
とすると、
77×155=11935
約159リットルの原油が77ドル、つまり約1万2千円くらいで取引されているというわけです。
2020年3月には1バレルが30ドルを割り込みました。
当時の為替レートは1ドル105円前後。
1ドル:105円
として、
1バレルが30ドルとすると
30×105=3150
約159リットルの原油が約3150円くらいで取引されていた、ということになります。
日本人にとっては
「1リットルいくら」
という表現の方がわかりやすいですよね。
ですが、アメリカではヤード・ポンド法が主流なのでしょうがないところです。
石油の単位バレルの意味と由来は?
上述のように、現在、国際的には原油や石油製品の計量、売買はバレルで取引きされ、バレル単位で量ることになっています。
米バレル=158.9873リットル
約159リットルといっても、それはそれで細かい数字ですよね。
そもそもこのバレルという単位は、何が元になっているのでしょう。
なぜ原油の単位はバレルで表わすの?
バレル(barrel)とは、英語で「樽」という意味です。
たとえば、
「A barrel of beer」
といえば、
「一樽のビール」
という意味です。
原油や石油の単位が「樽」というのは、「?」となりますが、それには原油の運搬方法の歴史が由来します。
■ バレルの由来
バレル(barrel:樽)の由来にはこんな歴史があります。
今から150年ほど前のこと。
19世紀にアメリカのペンシルバニア州で石油の採取に成功し、油田が開発され、石油産業が生まれた時期です。
当時、石油の輸送はシェリー酒の空樽に原油を詰めて運搬していました。
シェリー酒の空樽は50ガロン。
1ガロンは、「米ガロン=約3.8リットル」です。
輸送のため、シェリー酒の空樽に原油をびっちり詰めても、運んでいるうちに中身がもれたり揮発したりして、目的地に着く頃には目減りし、最終的には1樽で42ガロンになっていました。
そのため、42ガロンをリットル計算にしたものが、1バレルの数量になり、それが現代まで続いているというわけです。
これには諸説あって、42ガロンの鰊樽に石油を詰めて運んだため、42ガロンで計算するという説もあります。
いずれにしろ、石油は長年樽に入れて運ばれていたため、その名残で今も原油の計量と価格設定の単位にバレルが使われているのです。
バレルは小数点以下4桁という細かい数字ですが、石油業が起こった時から使われている伝統的な単位なので、なかなか変えられないようです。
バレルの定義は他にもある?
先述したように、原油の国際的な取引単位は、
米バレル=158.9873リットル
です。
アメリカとイギリスでは、1バレルの量が違うので、「米バレル」といった表記をします。
さらに、アメリカでは何を量っているかによっても、1バレルの量が異なります。
そのため、アメリカの石油用の1バレルを、「42米液量ガロン(約159リットル)」といった表記をすることもあります。
それ以外に、石油以外の液量を量るときには一般液量バレルというものがあります。
この場合の1バレルは31.5米液量ガロン(約119リットル)。
ちょっとややこしいですね。
他にも、穀物や野菜を量る際には標準乾量バレルという、105乾量クォート(約116リットル)で1単位になる計量単位があります。
さらに、小麦粉や肉などの質量を量る際には、また違うバレルの定義があります。
ちなみにイギリスでの1バレルは、36英ガロンで、リットルに換算すると約163リットルになります。
石油の単位バレルとガロンの違いは?
「1バレルが42ガロン」
「42ガロンは約159リットル」
「1バレル = 42ガロン = 約159リットル」
と聞くと、今度は「ガロン(gallon)」が気になってきます。
これまで、米ガロン、英ガロンという単位が出てきましたが、ガロンもバレルと同じヤード・ポンド法です。
バレルとガロンの違いは、
- バレル:液体などの量(体積)を表わす単位
- ガロン:液体などを入れる容器の量(容積)を表わす単位
となります。
ガロンもバレル同様、アメリカと英国では異なります。
- 英ガロン=4.54609リットル → 1.20095米ガロン
- 米ガロン=3.78541リットル → 0.833英ガロン
イギリスでは、10ポンド(約4.5リットル)の水の体積が1英ガロンです。
アメリカでは、米国液量ガロンという液体用のガロンと、米国乾量ガロンという穀物用の2種類のガロンが存在します。
- 米国液量ガロン:約3.8リットル
- 米国乾量ガロン:約4.4リットル
同じアメリカ国内で、米国液量ガロンと米国乾量ガロンが併用されているのは非常にややこしいですよね。
ガロンのルーツをたどると、イギリスでも、もともとは計るものによってガロンの定義は違っていたようです。
元来、イギリスにはワインガロン・ビールガロン・穀物ガロンという3種類のガロンがありました。
のちに、ガロンを定義付けする時に、アメリカではワインガロンを採用し、イギリスではビールガロンを採用したことが、米ガロンと英ガロンの違いになったと言われています。
アメリカのガソリンスタンドでは、リッターではなく米ガロン(米国液量ガロン)あたりの料金表示が一般的です。
当たり前ですが、ガソリンはドル価格で表示されているので、ガロンを慣れ親しんだリットルあたり円価格に換算する場合、3.8で割って為替をかけることになります。
アメリカでは原油の取引には液量バレル、ガソリンの販売には米ガロン、となっているので、メートル法のリットルやキロリットル表示に慣れている日本人にとってはわかりにくいですよね。
石油や原油の1バレルとは何リットル?単位の意味とガロンとの違い まとめ
バレル(barrel)はヤード・ポンド法による体積の単位で、語源は「樽」に由来しています。
元々はアメリカの油田で、石油の輸送に樽を使っていて、その容量が42ガロンであったことから、
「42ガロン = 1バレル = 約159リットル」
が単位になったと言われています。
「1ガロン(gallon) = 約3.78リットル」
です。
ガロンはアメリカとイギリスで違うので、米ガロン、英ガロンと表記されます。
ヤード・ポンド法は国や用途によって量が変わります。
メートル法に慣れている身としては、メートル法で世界の単位が統一されないかと願うばかりですが、石油を採掘できない国の一国民の意見は届かないだろうなぁ。。。