台風のニュースで耳にするヘクトパスカルとは?
何の用語?
どんな意味があるの?
ミリバールとの違いは?
その疑問、解消します!
ヘクトパスカルの由来、
数値の大きさと台風の関係、
過去に被害が大きかった台風の中心気圧も含めて、
わかりやすくお伝えします。
台風のヘクトパスカルとは?
天気予報の台風情報などで、
「台風18号の中心気圧は905ヘクトパスカル、沖縄県久米島地方を暴風域に巻き込みながら~」
といったアナウンスの中に出てくる「ヘクトパスカル」。
ヘクトパスカルは天気以外では耳にしないですよね。
ヘクトパスカルは、何かの単位だということはなんとなくわかっていても、いったいどんなものなのか、イマイチ理解されていない天気用語のひとつです。
ヘクトパスカルとは?
「ヘクトパスカル(英:hectopascal・記号:hPa )」とは「気圧の単位」です。
台風の気圧の単位は、かって日本では、「ミリバール(mbar)」が使われていました。
1992年(平成4年)12月1日、日本は国際標準に合わせて、台風の気圧の単位をミリバールからヘクトパスカルに移行して今に至っています。
ヘクトパスカルはミリバールと同じ意味で、表示だけが変わったものです。
1ミリバール=1ヘクトパスカル で、同じ意味となります。
ミリバールを知っている世代としては、ああそうなのか、となりますが、若い世代はヘクトパスカルしか知らない人がほとんどです。
昭和時代には馴染みのあるミリバール、ある意味、年齢がバレてしまうのでご注意を(笑)
ヘクトパスカルの言葉の由来は?
ヘクトパスカルの「ヘクト」は、k(キロ)やM(メガ)と同じように、単位の頭につける記号で、100倍という意味です。
広さを表す単位「アール(a)」の頭に「ヘクト(h)」がついた、面積を表す「ha(ヘクタール)」という単位と同じです。
つまり、1hPaは1Paの100倍ということです。
そして、ヘクトパスカルの「パスカル」は、フランスの哲学者で科学者のブレーズ・パスカル(1623年~1663年)から取られたものです。
パスカルの名言といえば、このブレーズ
「人間は考える葦である」
これは有名ですね。
パスカルの「パンセ」の中の言葉。「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」として、人間の、自然の中における存在としてのか弱さと、思考する存在としての偉大さを言い表したもの。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
なのでパスカルといえば、哲学者というイメージが強いかもですが、彼はとても優れた自然科学者であり、多くの功績を残しています。
彼は哲学だけでなく数学や物理学など、なんでもできるマルチな学者でした。
パスカルは、大気圧の存在を初めて実証的な方法で示したことや、圧力の伝わり方に関する「パスカルの原理」を発見したことでも知られています。
パスカルの原理は、中学高校で教わるので、覚えている人も多いかと思います。
『密閉された容器の中の各部にかかる流体の圧力はどこでも等しい』
計算式は忘れましたが、先生が、
「たとえば、密閉された容器の中身が『車のオイル』だったとして。自動車のブレーキの原理になっているのがまさにこのパスカルの原理。だから圧力考えたパスカル偉い!パスカルのおかげで僕らは車に乗れるんだ!!」
と教えてくれたんですよね。
ということで、「パスカルの原理」と聞くと、まず車のオイルが浮かんできます(笑)。
17世紀の時代に、このような気圧や圧力の概念を確立することに貢献したパスカルの偉業を称え、圧力の単位としてパスカル(Pa)が、1971年に国際単位系で正式に採用されました。
ヘクトパスカル(hPa)を表記する時の記号の真ん中にある「P」が大文字なのも、パスカルの名前に由来しているからです。
台風のヘクトパスカルの意味は?
ヘクトパスカルは、台風のニュースでは中心気圧を表すのに使われます。
よく台風のニュースで、
「中心気圧は900ヘクトパスカル」
「中心気圧は950ヘクトパスカル」
などといっていますよね。
これは台風の中心付近の気圧を表していて、この数字が低いほど台風の勢いが強くなるということです。
どういうことかというと、空気は重力の関係上、気圧の高い(高気圧)ところから低気圧へ向かうという気流の流れがあります。
その高低さが大きい程、勢いを増すんですね。
気圧が低いところに空気の吸込口があるといったイメージをするとわかりやすいかもです。
空気の吸込口が気圧の低い中心部にあると、そこに周りから大気が勢いよく流れ込みますよね。
これが風の強さになります。
なので、中心気圧の数字が低ければ低いほど、台風の風の勢いは強くなり、台風自体の勢力がパワーアップするのです。
日本周辺の平均気圧は約1013ヘクトパスカル(hPa)です。
台風の中心気圧は、発生当初は1000ヘクトパスカルや990ヘクトパスカルですが、それから徐々に発達するのが一般的です。
最初は1000ヘクトパスカルくらいだったものが、940ヘクトパスカルや930ヘクトパスカルまで発達し、中には910ヘクトパスカルや900ヘクトパスカルくらいまで強くなるものもあります。
ですが、台風の性質として、北上して日本に近づいたり、上陸する頃には中心気圧が上がり、勢力は弱まる傾向にあります。
ヘクトパスカルの数値が低い過去の台風は?
台風の強さは「ヘクトパスカル」だけで決まるわけではありませんが、
「ヘクトパスカルの数字が低いほど台風の勢いが強い」
という性質から、過去のデータを表にしてみました。
被害が大きかった台風のヘクトパスカルは?
1959年の伊勢湾台風は死者5,000人という最大の風水害被害を引き起こしたことで有名です。
伊勢湾台風は929ヘクトパスカル。
その二年後、1961年の第二室戸台風は925ヘクトパスカルで、中心気圧でいうと伊勢湾台風を上回っていますが、死者総数は200人でした。
これは、第二室戸台風の場合は強風の直接被害が大部分で、伊勢湾台風は高潮による人的被害が多かったことが大きな要因です。
加えて、第二室戸台風は、最大の風水害被害出た伊勢湾台風の二年後ということもあり、多くの市民が過去の教訓から迅速な避難行動をとることができたことも、被害をおさえられた要因となっています。
台風のヘクトパスカルとはどんな意味?数値が低いほうがヤバイ理由 まとめ
ヘクトパスカル(hPa)とは「気圧の単位」です。
1992年(平成4年)12月1日、日本は国際標準に合わせて、台風の気圧の単位をミリバールからヘクトパスカルに移行して今に至っています。
1mbar(ミリバール) = 1hPa(ヘクトパスカル)
同じ意味となります。
ヘクトパスカルの「ヘクト」は100倍という意味で、「パスカル」は、フランスの哲学者で科学者のブレーズ・パスカルから取られたものです。
ヘクトパスカルは、台風のニュースでは中心気圧を表すのに使われます。
台風の強さは「ヘクトパスカル」だけで決まるわけではありませんが、中心気圧の数字が低ければ低いほど、台風の風の勢いは強くなり、台風自体の勢力がパワーアップします。
伊勢湾台風など、被害が大きかった台風の過去の歴史を振り返ると、その時々の教訓が、次の災害の時に生かされていることがわかります。
自然災害はいつ起こるかわかりません。
日頃から防災準備をしておくことが、とても重要になりますね。
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