避難準備や避難勧告や避難指示って何のこと?
避難命令との違いは?
発令されたら避難しなきゃいけないの?
その疑問、解消します!
緊急性や危険度の違い、
実際に避難勧告や避難指示が出たら、どのような行動をすれば良いのかも含めて、わかりやすくお伝えします。
避難準備と避難勧告と避難指示と避難命令とは?
大雨による水害や土砂災害、地震や津波などの自然災害や、大規模な火災などが起きた時に、避難勧告や避難指示、避難命令などの言葉をよく耳にします。
「避難勧告」や「避難指示」は、災害時に、被害が発生する恐れのある地域に対して各自治体ごとに発令されるものです。
気象庁が危険性の段階に応じて、「注意報」「警報」「特別警報」を発令するのに対して、「避難勧告」や「避難指示」は、『災害対策基本法』に基づいて、地方自治体の長である市区町村長の判断で出されます。
◇「注意報」「警報」「特別警報」について詳しくはこちら。
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「避難勧告」や「避難指示」はどんな時に出るの?
『災害対策基本法』では、「避難勧告」や「避難指示」が出されるときを、
「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するために特に必要があると認められるとき」
と規定しています。
災害が発生する可能性が高まった場合に、国の「避難勧告等に関するガイドライン」を基に、各市区町村長が状況に合わせて、
- 「避難準備・高齢者等避難開始」
- 「避難勧告」
- 「避難指示(緊急)」
の3つを発令します。
「避難準備・高齢者等避難開始」は、以前は「避難準備」という名称でした。
ですが、2016年(平成28年)の台風第10号による水害で高齢者の被災が相次いだことから、高齢者等が避難を開始する段階であるということを明確にするために「避難準備・高齢者等避難開始」と名称変更されました。
危険性の度合いに応じて
「避難準備・高齢者等避難開始」<「避難勧告」<「避難指示(緊急)」
となります。
最も危険なのは「避難指示(緊急)」となりますが、必ずしも、この順番で発令されるとは限らないので、注意してくださいね。
また、「避難準備・高齢者等避難開始」・「避難勧告」・「避難指示(緊急)」が発令されていなくても、身の危険を感じる場合は避難を開始することが大切です。
ただ、上記の3つに法的な強制力はありません。
『災害対策基本法』に基づき決められたものですが、避難しなかったり、市区町村職員などの指示に従わなかったからといって罰則があるわけではありません。
避難命令とは?
災害時などに「避難命令」という言葉をよく見聞きしますが、実は災害対策基本法に「避難命令」といった言葉は存在しません。
法律的には「避難準備・高齢者等避難開始」・「避難勧告」・「避難指示(緊急)」という定義しかないのです。
日本には「避難命令」という制度はなく、警戒区域への立入りに罰則がある「警戒区域指定」が、実質的に「命令」に相当します。
ニュースや新聞などでも、必ず避難指示や避難勧告といった言葉を使用しています。
「避難準備・高齢者等避難開始」とは?
「避難準備・高齢者等避難開始」は、「避難準備・高齢者等避難開始」・「避難勧告」・「避難指示(緊急)」の3つの中で最も緊急性の低いものです。
「避難準備・高齢者等避難開始」は、避難勧告や避難指示(緊急)を発令することが予想される場合に発令されます。
避難準備は文字通り、避難に向けた準備をしておく必要がある場合に出されるというわけです。
避難に時間を要する人(ご高齢の方、障害のある方、乳幼児等)と、その介護者や支援者は避難を開始します。
その他の人は、避難の準備を整えます。
上述のように、以前は「避難準備情報」の名称でしたが、2016年の台風第10号による被害などによりその緊急性などをもっと分かりやすくするために、その名称が「避難準備・高齢者等避難開始」に変更された経緯があります。
高齢者にかかわらず、速やかに避難ができないと思われる場合は、この時点で避難を開始することが勧められています。
「避難勧告」とは?
避難準備・高齢者等避難開始とは違い、全ての住人に避難を促すのが「避難勧告」になります。
「避難勧告」は、災害による被害が予想され、人的被害が発生する可能性が高まった場合に発令されます。
上記の「避難準備・高齢者等避難開始」が『準備』であるのに対して、「勧告(勧めること)」なので、全住民に避難場所(公民館や小中学校など)への避難を勧めていることになります。
なので、避難勧告が発令されたら、速やかに避難場所へ避難をします。
避難場所へ向かうことで、かえって命に危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所への避難や、自宅内のより安全な場所に避難をします。
「避難指示(緊急)」とは?
「避難指示(緊急)」は、「避難準備・高齢者等避難開始」・「避難勧告」・「避難指示(緊急)」の3つの中で最も緊急性や危険度の高いものです。
「避難指示(緊急)」は、災害が発生するなど状況がさらに悪化し、人的被害の危険性が非常に高まった場合に発令されます。
まだ避難していない人は、緊急に避難場所へ避難をします。
避難勧告と同様、避難場所へ向かうことで、かえって命に危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所への避難や、自宅内のより安全な場所に避難をします。
大雨などで、避難場所まで移動するのが危険と思われる場合は無理をせずに、近くのより安全と思われる建物に移動します。
高い建物で最上階が浸水しないような建物、川沿いでない建物、高台にある建物などに移動しましょう。
外出すら危険と思われる場合は、建物内のより安全と思われる部屋に移動します。
上層階の部屋や、山側からできるだけ離れた部屋などに移動しましょう。
避難準備と避難勧告と避難指示と避難命令の違いは?一番危険なのは?まとめ
災害が発生する可能性が高まった場合に、国の「避難勧告等に関するガイドライン」を基に、各市区町村長が状況に合わせて発令するのが、「避難準備・高齢者等避難開始」・「避難勧告」・「避難指示(緊急)」です。
緊急性や危険度の低い順に並べると、
- 「避難準備・高齢者等避難開始」
- 「避難勧告」
- 「避難指示(緊急)」
となり、
「避難準備・高齢者等避難開始」<「避難勧告」<「避難指示(緊急)」
ということですが、必ずしも弱い方から段階的に発令されるものではありません。
状況の急変により、「避難準備・高齢者等避難開始」から、最も緊急性や危険度の高い「避難指示(緊急)」へと変わる場合もあります。
なので、その時々の状況に応じて、的確な判断が必要になります。
あくまでも、発令する判断は市区町村長。
災害対応にはテレビやラジオの気象情報や、自治体のWebサイト、防災行政無線、メールサービス、インターネットやSNSなどを利用して、積極的に避難関連の情報収集をすることが大切です。
身の危険を感じる場合や、避難に時間がかかると思うのであれば、避難勧告や避難指示が出ていなくても、自らの判断で早めに避難することも重要です。