セミはなぜ大きい声で鳴くの?
鳴き声がうるさく感じるのはどうして?
セミの大合唱が始まる理由は?
その疑問、解消します!
セミの鳴き声の騒音レベルの具体例、
地上に出てからセミが鳴き続ける意味、
オスとメスの体の違いも含めて、
わかりやすくお伝えします。
セミはなぜ大きな声で鳴くの?
夏の風物詩のひとつに
「ミーンミンミンミンミン」
「ジィージィージィー」
「ジーージリジリジリ」
といった、『セミの鳴き声』があります。
セミの鳴き声を思い出すだけで、暑い夏の風景がよみがえる人も多いといいます。
そもそもセミがなぜ鳴くのかというと、メスを呼び寄せるためです。
つまり、鳴き声を出しているのはオスのセミだけ。
セミの鳴き声は、腹全体を使って出します
オスは、お腹に「腹弁(ふくべん)」と呼ばれるものが2つ、対になってあります。
腹弁は、セミが鳴くための、発音器の一部です。
一方、メスには、この腹弁などの発音器がなく、代わりに、卵を産むための器官があります。
オスのセミは鳴き声で、メスのセミに自分のいる場所を知らせているのです。
セミをじーっと観察していると、鳴くと飛び立ってしまうものもあります。
かと思うと、じーっとひたすら同じ場所で鳴きまくっているセミもいます。
どうやら、自ら動いてメスを探すタイプと、鳴くことでメスを呼ぶタイプの2種類のセミがいるようです。
いずれにしても、あのセミのうるさい鳴き声は、オスがメスに自分の居場所を知らせるためのもの。
『ファーブル昆虫記』で有名なジャン・アンリ・ファーブル(フランス語: Jean-Henri Casimir Fabre、1823年12月21日 – 1915年10月11日)が、
「セミが大きな声で鳴くのはなぜか?」
と疑問を持ち、セミの近くで大砲を鳴らしたという話はよく知られているエピソードです。
ファーブルは鳴いているセミのすぐ近くで、役場から借り出したきたお祭り用の大砲を撃ったのですが、セミたちは大砲の爆音にもびくともせず、鳴き続けました。
このことから、ファーブルは、
「セミは耳が遠い」
と結論づけたのです。
ですが、現在では、セミたちが大砲の音に反応しなかったのは、彼らの音の聞こえる周波数の範囲から大砲の音が外れていたからで、セミの耳が遠いからというわけではないというのが定説になっています。
耳が遠いかどうかはともかく、ファーブルもセミの鳴き声が大きいことに疑問を持った話は、子ども心に彼を身近に感じられたエピソードでした。
というのも、セミには
「地中にいる時間が長いから、地上に出てくると寸暇を惜しむように鳴く」
っていうイメージがあったんですよね。
地上に出てきたセミは、1週間か2週間ほどの命といわれています。
なので、子どもの頃は、短い命のセミの鳴き声をうるさいと思うなんて、いけないような気がしていました。
大人になってわかったのは、
『“寸暇を惜しむように鳴く” のは、限られた命の中で、新しい生命を残す大切な仕事をするため』
だということ。
セミの鳴き声は、いわゆる「求愛行動」。
大きな声で上手に鳴くオスほどメスから人気があるため、オスは必死で鳴いてアピールをしているのです。
「オレはここだ!ここにいる!オレの声を聞いてくれ!!」
とメスにアピールすると、大きな鳴き声のオスにはメスが寄ってくるというわけです。
鳴き声を出さないオスには、メスは目もくれないのですから、セミの大きな鳴き声は、正に自然界の摂理といえます。
また、セミの鳴き声には天敵を威嚇して遠ざける意味や、仲間を呼び寄せてコミュニティを形成する意味もあるといわれています。
一匹のセミが鳴き始めると、次々とその数が増えていき、それがセミの大合唱となっていくのはこのためとされています。
セミの鳴き声を騒音レベルにすると何に相当する?
セミの声が夏の風物詩とはいっても、うるさくて眠れなかったりするとセミの鳴き声はただの騒音です。
「夏らしくっていいね」
なんて優雅にかまえてられませんよね。
最近のセミは夜中だろうと早朝だろうと鳴きますし、狭いベランダに飛び込んでくることだってあります。
騒音レベルを図る指標として「dB(デシベル)」というものがあります。
「0(ゼロ)db」は聞こえない音で、数値が高くなるにつれて、うるささの程度が上がっていきます。
環境省の騒音規則法では閑静な住宅街の場合、許容限度は約45~50db以下と定められています。
「音」としては、50dB以上はうるさく感じるからです。
60dbで普通の会話程度、
90dbで騒々しい工場や大声で独唱している状態、
100dbになると自動車のクラクションや鉄道のガード下、
140dbでジェットエンジンの近くにいるような騒音、と例えられています。
ちなみに、我が家の洗濯機は取説によると50db。
洗濯機に耳が集中してしまうとかなりうるさく感じます。
で、セミのお話です。
セミの鳴き声の騒音レベルは、種類によっても個体によっても異なります。
一般的にはセミの鳴き声の騒音レベルは70~80dbといわれています。
70dbという騒音の数値は、例えるなら、「騒々しい事務所」や「賑やかな街頭」にいるようなうるささ。
80dbは、「窓が開いている地下鉄の車内くらい」の騒音といわれています。
地下鉄車内は窓を締めていても、ゴーッという騒音でイヤホンで聞いている音楽などが聞こえなくなることががありますよね。
70~80dbはアブラゼミやミンミンゼミ、クマゼミは80~90dbくらいあるともいいます。
90dbというと、「機械の音がやかましい工場内並」の騒音です。
こうして数値で見ていくと、やっぱ、セミの鳴き声はうるさく感じて当たり前のものでした^^;
うちの祖母はよく、
「蝉しぐれは風情があっていいねぇ」
なんて言ってましたが、母曰く、
「耳が遠くなってくると風情に感じるのよ」
と。
なるほど、騒音と感じないタイプがいるのは、そのあたりもあるかもしれません。
セミはなぜ大きな声で鳴くの?鳴き声が騒音レベルに思える理由とは? まとめ
なぜセミが鳴くのかというと、メスを呼び寄せるためです。
なので、鳴き声を出しているのはオスのセミだけです。
「オレはここだ!ここにいる!オレの声を聞いてくれ!!」
とメスにアピールすると、大きな鳴き声のオスにはメスが寄ってくるというわけです。
一般的に、音としては、50dB以上はうるさく感じますが、セミの鳴き声の騒音レベルは70~80dbといわれています。
70dbという騒音の数値は、例えるなら、騒々しい事務所や賑やかな街頭にいるようなうるささ。
80dbは、窓が開いている地下鉄の車内くらいの騒音といわれています。
日本の夏は、あちこちからセミの声が聞こえてきます。
セミの鳴き声は求愛行動。
うるさく感じる時も、「頑張れよ」と思えるくらいの心の余裕を持ちたいものですね。
◇ セミの騒音対策はこちらをご参考に。
・セミの鳴き声がうるさい時の対処法!手軽にできる騒音対策と撃退方法