暑さ寒さも彼岸までとはどういう意味?
どんな状況の時に使う言葉?
正しい使い方がわかる例文はある?
その疑問、解消します!
彼岸の意味と期間、
ことわざ本来の意味から転化した使い方、
会話で使う時と時候の挨拶の例文も含めて、
わかりやすくお伝えします。
暑さ寒さも彼岸までとはどういう意味?
「暑さ寒さも彼岸まで(あつささむさもひがんまで)」
季節の変わり目に耳にしたり、時候の挨拶などにもよく使われる言葉ですね。
広辞苑を引くと、
となっています。
ちょっとわかりにくいですね^^
簡単に言うと、
「厳しい暑さや寒さも、お彼岸の頃には和らぎ過ごしやすくなる」
という意味です。
「暑さ寒さも彼岸まで」は、お彼岸にあたる春分の日や秋分の日を境に、それまでの暑さや寒さが和らいで過ごしやすくなるという、日本のことわざ(慣用句)です。
日本人の季節に対する感覚を表現しているのが「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉です。
彼岸とは?
彼岸(ひがん)というのは「雑節」のひとつです。
雑節というのは、昔の人が二十四節気(にじゅうしせっき:一年間を24等分したもの)や五節句(ごせっく:季節の節目の行事)の他に、季節の変化の目安とした特定の日の総称のことです。
雑節は、『立春』や『啓蟄』『春分』『秋分』といった二十四節気を補完するものとして言いならわされてきたもので、『節分』や『土用』なども雑節となっています。
彼岸は「お彼岸」という言い方もしますね。
お彼岸には、春のお彼岸(春彼岸)と、秋のお彼岸(秋彼岸)があります。
春のお彼岸は「春分の日」で、秋のお彼岸は「秋分の日」です。
春分の日と秋分の日は毎年異なります。
- 春分の日:3月21日頃
- 秋分の日:9月23日頃
「春分の日」と「秋分の日」は、いずれも昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。
お彼岸の期間は、「春分の日」「秋分の日」を中日として前後3日間、計7日間となります。
【春のお彼岸】
春分の日が3月21日の場合
3月18日:彼岸入り
3月21日:彼岸の中日(=春分の日)
3月24日:彼岸明け
【秋のお彼岸】
秋分の日が9月23日の場合
9月20日:彼岸入り
9月23日:彼岸の中日(=秋分の日)
9月26日:彼岸明け
春のお彼岸と秋のお彼岸には、お墓参りに行く風習があります。
◇ お墓参りに行く理由についてはこちらをご参考に。
・お彼岸にお墓参りの意味はなぜ?お彼岸の由来と始まりから見る歴史
暑さ寒さも彼岸までと言うのはなぜ?
「暑さ寒さも彼岸まで」
という慣用句を具体的に言うと、
「暑さは秋分の日(9月23日前後)ぐらいまでには和らぎますよ、寒さは春分の日(3月21前後)ぐらいまでには和らぎますよ」
という意味の言葉になります。
前述のように、春分と秋分は二十四節気のひとつで、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
春は春分の日(=彼岸の中日)を境に日が長くなっていき、太陽の出番がどんどん長くなっていきます。
秋は秋分の日(=彼岸の中日)を境に日が短くなっていき、秋の夜長に向かいます。
太陽の出番が短くなることで、暑さが和らいでいくのです。
春はこの逆で、太陽の出番が長くなるため、暑さが増していくわけです。
ですが、昼と夜の長さが同じになるからといって、春分と秋分の気候が同じになるわけではありません。
夏の暑さの名残りから、気温は春分より秋分のほうが10度以上高くなりますが、春分と秋分は厳しい暑さや寒さの目安がつく頃 なので、「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるようになりました。
また、浄土信仰における彼岸には、阿弥陀仏の極楽浄土の意味があります。
ここから、暑さや寒さを現世のつらいことや大変なことに重ねて、
「悩みや苦しみも、お彼岸の頃には峠を超えて消えてゆくだろう」
という、仏教的なお話として言われてきた部分もあるようです。
期待や願望をこめての、
「辛い状態もいつかは去っていく」
といった意味合いですね。
この場合は、
「暑さ寒さも彼岸までと言うじゃない、もうちょっと頑張ろう!」
「暑さ寒さも彼岸までなんだから、諦めないで」
というように使われます。
一般的には、季節感を表す言葉として使われることのほうが主流です。
暑さ寒さも彼岸までの使い方と例文
「暑さ寒さも彼岸まで」は春と秋に使われる言葉で、
「春と秋のお彼岸を過ぎると、徐々に過ごしやすい季節になりますよ」
ということを表しています。
この言葉は、
「寒い日や暑い日が、いつになったら過ごしやすくなるのか」
という時の目安や、
「寒い日や暑い日が、ようやく落ち着いてきた」
という場面の状況で使われます。
たとえば、秋分の日が近い頃。
9月は暦の上では秋ですが、残暑が厳しい日もありますよね。
そんなときに使われるのが、この言葉です。
「いつまでこの暑さが続くの?うんざりするわ」
「暑さ寒さも彼岸まで、っていうじゃない。あと少しよ」
といった感じで、暑さをしのぐ目安として使われます。
春分の日がある3月なら、
「全然あったかくならないねー」
「暑さ寒さも彼岸までって言うけどね」
とか、
「今日はあたたかくて気持ちの良い日ですね」
「暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので、陽ざしが春めいてますね」
など、挨拶代わりに使うこともあります。
時候の挨拶として、手紙でもよく使われます。
「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、ようやく春の気配を感じられるようになってきました」
「暑さ寒さも彼岸までと申します。桜が春を運んでくれました」
「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、ここ数日の寒さには参りました」
「暑さ寒さも彼岸までとはいいますが、お彼岸の大雪には驚きました」
「昔から、暑さ寒さも彼岸までといいますが、今年はまだ残暑が続きそうです」
「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、朝夕はめっきりしのぎやすくなってきました」
「暑さ寒さも彼岸までの言葉通り、残暑もおさまり涼しくなりました」
「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、昔の人はよく言ったものです」
などなど。
こうして例文を見ると、あらためて「暑さ寒さも彼岸まで」は、春と秋の季節を表現する言葉として使われていることがわかりますね。
暑さ寒さも彼岸までとはどういう意味?使い方や例文を教えて! まとめ
「暑さ寒さも彼岸まで」は、
「お彼岸にあたる春分の日や秋分の日を境に、それまでの暑さや寒さが和らいで過ごしやすくなる」
という、日本のことわざ(慣用句)です。
「辛い状態もいつかは去っていく」
という意味合いで使われることもあります。
「暑さ寒さも彼岸まで」は春と秋に使われる言葉で、
「寒い日や暑い日が、いつになったら過ごしやすくなるのか」
という時の目安や、
「寒い日や暑い日が、ようやく落ち着いてきた」
という場面の状況で使われます。
季節の移ろいの目安として、その時々の状況に合わせて「肯定」でも「否定」でも使われます。
こうした季節の言葉でさまざまな状態を表現できるのは、美しい四季がある日本ならではですね。
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