すす払いとはどんな意味?時期はいつ?大掃除との違いは?

すす払いとはどんな意味?

何をするの?

時期はいつ?

すす払いを行う理由は?

大掃除とはどう違うの?

その疑問、解消します!

すす払いが行われるようになった由来、

正月事始めとの関係、

伝統的なすす払いの日の成り立ちも含めて、

わかりやすくお伝えします。

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すす払いとはどんな意味?

すす払いは、12月に屋内外の「すす(煤)」や塵(ちり)をはらって、大掃除することを言います。

「煤掃き(すすはき)」ともいいます。

「すす」と言っても、今どきはピンとこないかもですね。

すすは物が燃えた時に発生する燃えカス(燃えて焦げたカス・粉)です。

その燃えカスとホコリがくっついたものもすすと呼びます。

エアコンやストーブがなかった昔は、室内の暖房は火を使って、いろりで薪や炭を燃やしていました。

炊事でも一年中薪や炭を使います。

照明用のロウソク、油からもすすが出ます。

暖房用の火鉢や台所のかまどの他にも、夏の虫除けには蚊遣り(かやり)の中で青葉や木片を燃やしたりもします。

そうなると、家の天井にはすすがたまる一方。

電気やガスが普及する前までは、どの家でも天井にすすがたまっていました。

たまったすすを、お正月前に掃除するということから、すす払いが行われるようになりました。

このすす払いが今の大掃除の由来になっています。

すす払いの歴史は古く、

上述の「煤掃き」という言葉が、927年(延長5)にまとめられた『延喜式』にあります。

『延喜式』は、平安時代中期に律令の施行細則をまとめた法典のこと。

はるか昔の平安の時代から、すすを掃除することが決めごととしてあったなんて、ちょっと驚きです。

江戸時代には、12月13日を「すす払いの日」として、正月の「事始め(ことはじめ)」と呼ばれ、お正月の準備を始める日でもありました。

現代では一般的に、年末の大掃除という意味で使われているすす払いですが、

本来のすす払いは、もともと宗教的な行事でした。

お正月には、歳神様という神様が各家を訪れるとされてきました。

歳神様は、家々に1年の実りと幸せをもたらすために、高い山から降りてくると考えられている神様です。

お正月に門松やしめ飾り、鏡餅を飾ったりするのは、すべて歳神様を心から歓迎するための準備です。

歳神様は、「正月様」「歳徳神(としとくじん)」とも呼ばれています。

この歳神様をお迎えするために、すす払いをして家を浄めるのです。

すす払いの時期はいつ?

すす払い=年末の大掃除

というイメージからか、

すす払いを行うのは12月の後半と思っている人が多いのですが、

伝統的には12月13日がすす払いの日です。

すでに平安時代には行われていたすす払いを、12月13日に行うようになったのは江戸時代から。

江戸時代、江戸城では12月13日にすす払いを行っていました。

1年間の汚れを払い、隅から隅まできれいにすると、歳神様がたくさんのご利益を持って降りてくるといわれていたことから、

江戸城では城内や神棚のすす払いを12月13日の日程で行うようになったのです。

江戸城で行われるすす払いが12月13日だったことから、民間の多くも12月13日をすす払いの日としました。

そこから、庶民のあいだにも、12月13日がすす払いの日として定着したのです。

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なぜ12月13日がすす払いの日?

「すす払いがなぜ12月13日なのか?」

ということについては、諸説あります。

広く知られているのは、正月を迎える「物忌み」が始まるのが13日だったことに由来するという説。

物忌みとは、方角や暦の凶日による災いを避けるため、一定期間身を清めて家に籠ることです。

すす払いは、ただの年末の大掃除ではなく、歳神様をお迎えする準備としての、大切な宗教的行事でもありました。

江戸時代の人々は、12月13日のすす払いで一年の汚れを落とし、厄を落とし、

家も身体もきれいに清めた状態で、お正月を迎えるための準備をしていたというわけです。

他にも、12月13日が、「正月事始め」といって、正月の準備を始める日であったことにちなむのが理由ともいわれています。

◇ 正月事始めについて詳しくはこちら。
正月事始めとは?煤払いと松迎えの意味からわかる大掃除との関係!

また、江戸の時代、この時期は奉公人が契約期間を終えて入れ替わる時期でもありました。

今のように交通機関が発達していない当時、奉公人の入れ替わりに配慮しての日和だったとも考えられています。

12月13日になった由来は?

すす払いをする12月13日は、暦の上では「冬の土用」にあたります。

陰陽五行説で土の気は、「万物の終わりと始まりの間」。

陰陽五行説とは中国に起源した世界観で、

相対立する陰・陽二気の考えに、木・火・土・金・水の五行を結合させて、自然・人事などの万般の現象を説明するものです。

陰陽五行説は、平安時代に宮廷社会から一般社会にも広まりました。

平安時代といえば、陰陽師の安倍晴明が活躍した時代です。

羽生結弦選手がフリープログラムの「SEIMEI」で優美に演じることでも知られていますね。

この陰陽五行説で「万物の終わりと始まりの間」を示す12月13日が、旧年を去らせ、新年を迎えるために掃除をする日となったと考えられています

すす払いと大掃除の違いは?

すす払いと大掃除の違いを簡単にいうと、

  • 大掃除……年末に大々的に片付ける掃除
  • すす払い……宗教的な儀式

となります。

すす払いは今の年末の大掃除に相当しますが、生活する上で必要に迫られてするようなものではありませんでした。

すす払いは単なる大掃除ではなく、『歳神様を迎える』という、新年を迎えるにあたってのお浄めの儀式のようなものです。

いわば神事のような意味合いを持ちます。

伝統的なすす払いの日は12月13日。

昔は、この日に、神棚と仏壇の掃除のみを行い、家の内外の掃除は、それ以降の日に行っていました。

まず、すす払いを行ってお浄めをしてから他のところの掃除を行ない、

家がきれいになったら、お正月の準備に注連縄(しめなわ)を張ったり、松を飾ったりしたのです。

これがやがて、暮れの大掃除という形になっていったのですが、現在では宗教的な意味合いはすっかり失われていますね。

今でも神社やお寺では、毎年の恒例行事としてすす払いをしています。

すす払いの様子はニュースなどでも取り上げられるので見たことがあるかもです。

すす払いの行事は、出雲大社では12月20日、

明治神宮は12月28日の日程で行われています。

すす払いとはどんな意味?時期はいつ?大掃除との違いは? まとめ

すす払いは、12月に屋内外の「すす(煤)」や塵(ちり)をはらって、大掃除することを言います。

現代では一般的に、年末の大掃除という意味で使われているすす払いですが、

本来のすす払いは、もともと宗教的な行事でした。

伝統的には12月13日がすす払いの日です。

すす払いと大掃除の違いは、

  • 大掃除……年末に大々的に片付ける掃除
  • すす払い……宗教的な儀式

すす払いは単なる大掃除ではなく、『歳神様をお迎えする』という、新年を迎えるにあたってのお浄めの儀式のようなものです。

12月13日は、その年の厄を払い、新年の準備を始める日でもありました。

今年の年末は江戸の人々にならって、

新しい年のスタートに向けて、気持ちをこめた掃除をしてみるのもいいかもしれませんね。

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