イチョウ並木のにおいはどこから?
銀杏が臭いのはなぜ?
においの原因は?
どうしてあんなに臭いの?
その疑問、解消します!
臭わないイチョウ並木がある理由、
銀杏は「実」なのか、
独特の臭いの元となる成分、
外敵との関係も含めて、
わかりやすくお伝えします。
銀杏並木の臭いはどこから?
秋の深まりとともに、野山の木々が赤や黄色で彩られる頃。
イチョウ並木の街路樹も鮮やかな黄金色に色づく季節になりました。
東京にはイチョウの木がとても多く、実際、イチョウの木は『東京都の木』にも選ばれています。
全国的にも北海道大学や大阪の御堂筋、鹿児島の垂水など、各地にイチョウ並木の名所がありますね。
美しく風情のあるイチョウ並木ですが、近くを通ると、あの特有の臭いがするので嫌がる人も少なくありません。
イチョウ並木の臭いの元は?
イチョウ並木特有の、あの独特の臭いは、イチョウの「種子」が熟した時の臭いです。
イチョウの「種子」というのは、「銀杏(ぎんなん)」のこと。
銀杏はイチョウの「実」だと思われがちなんですが、
学問的にはイチョウは裸子植物に属しており、胚珠(種子が入っている部屋)が露出して、実ができずに種子だけができるのです。
わたしたちが食べている銀杏は「種子の一部」なのです。
これは、松の実、榧(かや)の実なども同じです。
銀杏の特有の臭いは、雌の木につく種子の外殻から出てきます。
銀杏がなる木とならない木?
実はイチョウの木には「雌雄」があります。
「雌の株」と「雄の株」があって、雌の木と雄の木は別々に育ち、雌の木にだけ種子ができます。
つまり、銀杏がなるのが雌の木で、銀杏がならないのが雄の木です。
街路樹としてはあの特有の臭いがマイナスなので、銀杏をつけない雄の木を使っているところもあります。
たとえば大阪市では1981年(昭和56年)から、イチョウを植え替える際には、雄の木を植えています。
海外では、ソウル市が2014年4月、ソウル市の中心部に植えられている雌株のイチョウすべてを雄株に植え替える計画を発表しました。
東京同様、ソウル市も「市の木」がイチョウ。
イチョウの多いソウル市では、シーズンになると、地面に落ちた銀杏が車や歩行者に踏みつぶされて悪臭が発生、
臭いが強すぎて生活に支障を来たす地域もあったのだとか。
イチョウの木に雄と雌があるというと、
「最初から見分けをつけておけばいいのでは?」
とも思いますが、
イチョウの雌雄を見分けるのはとても難しくて、実がつくかどうかを待たないと、確実に雌雄を見分けられませんでした。
韓国では、2011年に、イチョウの葉から雄株にだけ存在するDNAを識別する「イチョウの性鑑別DNA分析法」を韓国山林庁が開発し、植えて1年未満の苗木の性別も判別できるようになったのです。
雄株なら、きれいなイチョウ並木も観られるし、銀杏がならないので臭いを気にすることなくイチョウ並木を楽しむことが出来ますね。
銀杏の臭いの原因は?
以前、路上に落ちていた銀杏をハイヒールで踏んでしまい、付着したまま会社に戻って、大ヒンシュクをかったことがあります。
ずっと、なにか変なニオイがするとは思ってたんですよね^^;
あの銀杏の独特の臭いの原因は、「酪酸(らくさん)」と「エナント酸」と呼ばれる物質にあります。
臭いの特徴をざっくりいうと、
- 「酪酸」……人間の皮脂から発する汗くさい臭い
- 「エナント酸」……何かが腐った臭い
ひとつずつでも避けたい臭いですが、銀杏はこの2つが混じり合うことで、あの強烈な臭いが発生するわけです。
酪酸とは
酪酸は、腐敗臭をもった無色の油状の液体です。
化学式は「C3H7COOH」。
バターやチーズなどの乳脂肪中にも含まれ、酪酸菌による糖類の酪酸発酵によっても生成されます。
和名の酪酸も牛酪(バター)からとられています。
酪酸は、発酵食品には欠かせない物質です。
足の臭いの原因物質といわれています。
エナント酸とは
このエナント酸も、足の臭いの原因物質のひとつといわれています。
エナント酸は、腐敗物のような悪臭をもつ無色の油状の液体。
水に溶けにくく、エタノールなどの有機溶媒によく溶ける性質から、香料の原料として使われます。
IUPAC(国際純正・応用化学連合)の命名ルールにより、ヘプタン酸とも呼ばれます。
酪酸×エナント酸になると?
もう、銀杏がどれくらい強烈な臭いなのか、わかりますよね。
酪酸とエナント酸、単独でも凄まじいのに、銀杏では掛け合わされてしまうのです。
足の臭い(酪酸) × 腐敗臭&足の臭い(ヘプタン酸)=銀杏の臭い
改めて想像するのもおぞましいインパクトです。
「銀杏の熟した強烈な臭いは、サルやネズミですら食べようとしない」
と聞いていましたが、
気になったのでちょっと調べてみると、木の実や果物などを食べる雑食性のアライグマが銀杏を食べたという記事も見かけました。
また、たぬきのフンに、結構な量の銀杏が入っていたという話も。
もしかしたら、あの臭いに惹かれる動物や個体があるかもです。
人間だって、街路樹の臭いには顔をしかめながらも、ついかいでしまうとか、臭いはイヤだけど食べるのは好きというケースはありますものね。
銀杏が臭い理由は?
哺乳類全般に嫌われれるとされる銀杏の臭い。
ですが、どうしてそこまで悪臭を放つのでしょう。
銀杏が臭う理由は、他の動物に食べられないようにする生き残りの知恵と考えられています。
銀杏には外敵に食べられないようにする自衛機能が働いているのです。
異臭を放つ銀杏ですが、その種(実とされているところ)自体はタンパク質や多くのビタミンを含む大変栄養価の高い食材です。
栄養価が高いという事は、当然、それを食べようと動物が群がってきます。
銀杏自体も子孫を残さなければいけません。
銀杏独特の強烈な臭いは、自分の身を守るため。
食べられ続けてしまうと銀杏は滅びてしまいます。
なので、それを避けるため異臭を放つことで、外敵となる動物から身を守っているというわけです。
一方で、臭いにおいに惹かれる(興味を示す)動物も居るので、そのような動物に銀杏の実を食べてもらい、種子を拡散(運搬)してもらう為という説もあります。
前述のたぬきのフンなどは、もしかしたらそうなのかもと思わせる話です。
銀杏が臭いのはなぜ?イチョウ並木のにおいの原因と理由とは? まとめ
イチョウ並木特有の臭いはイチョウの「種子」が熟した時の臭いです。
銀杏はイチョウの「実」ではなく、正しくはイチョウの「種子」。
イチョウの木には「雌雄」があり、
銀杏がなるのが雌の木で、銀杏がならないのが雄の木です。
銀杏の特有の臭いは、雌の木につく種子の外殻から出てきます。
銀杏の独特の臭いの原因は、「酪酸(らくさん)」と「エナント酸」と呼ばれる物質にあります。
このふたつの酸が混じり合うことで、銀杏は強烈な臭いを発生させます。
銀杏独特の強烈な臭いは、他の動物に食べられないようにする自衛機能と考えられています。
うちの近所にあるイチョウの木には毎年銀杏がなります。
路上に落ちている銀杏は、においもさることながら、素手で触るとかゆくなったりするんですよね。
でも、食べるとムチムチしてとってもおいしい^^
香ばしいにおい(?)のイチョウ並木を見かけたら、ぜひ銀杏をチェックしてみてください。
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