銀杏を食べ過ぎると体に悪いって本当?
どうなるの?
銀杏中毒って何?
原因は?
食べてもいい個数は何個?
その疑問、解消します!
銀杏の食べ過ぎによって起こる症状、
銀杏中毒のデータから見る子供と大人の食べる量の目安も含めて、
わかりやすくお伝えします。
銀杏を食べ過ぎると体に悪い?
うちの近所にあるイチョウの木には、毎年、銀杏がなります。
秋も深まってくると、あの銀杏特有のにおいが鼻をつくようになるんですが、
銀杏には、あのにおいに臆することなく、拾って、下処理をしてまでも食べたくなる美味しさがあるんですよね^^
◇ 銀杏のにおいについてはこちら。
・銀杏が臭いのはなぜ?イチョウ並木のにおいの原因と理由とは?
子どもの頃、母が作ってくれる「揚げ銀杏」が好物で、揚げるそばからつまみ食いしてパクパク食べていると、
「食べ過ぎるとお腹をこわす」
とか
「銀杏の食べ過ぎは鼻血が出るよ」
と脅されて、手をひっこめた思い出があります。
よく、
「銀杏は食べ過ぎると体に悪い」
と言われますが、これは本当のこと。
どんな食べ物でも食べ過ぎはよくないですが、秋の味覚である銀杏の食べ過ぎは
『銀杏中毒』
と呼ばれる症状がでることがあり、過去には銀杏の食べすぎによる死亡例も報告されています。
銀杏中毒の原因とは?
銀杏はとってもおいしく、その上、栄養価の高い食べ物です。
ですが、銀杏のあのエメラルドグリーンの粒の中には「4’-O-methylpyridoxine(4’-MPN,メチルピリドキシン)」という成分が含まれています。
これが銀杏中毒の原因であるといわれています。
「4’-MPN」は、「ビタミンB6」と化学構造が非常によく似ている物質です。
ビタミンB6は、かつお・まぐろ・牛レバー・さんま・バナナなどに多く含まれています。
ビタミンB6は補酵素(酵素の働きを助ける成分)として多くのアミノ酸の代謝を助けています。
食事からとるタンパク質は、いったんアミノ酸に分解されて、人体に必要なかたちで再合成されます。
そこで一部のアミノ酸を体内で作るのに必要なのがビタミンB6で、皮膚、髪の毛、歯を健康にし、成長を促進する作用があり、免疫機能を維持するのには必須のビタミンです。
また、ビタミンB6は、脳に信号を送る神経伝達物質を製造したり、脳の興奮を抑えたりする物質が作られる過程で必要なビタミンなんですが、
銀杏を食べると、構造がよく似た銀杏の成分(4’-MPN)が取り込まれてしまって、本来ビタミンB6が結合して働く場所へ誤って結合してしまうのです。
そのため、ビタミンB6が欠乏して上記の、脳に信号を送る神経伝達物質を製造したり、脳の興奮を抑えたりする物質が作られなくなるんですね。
この物質とは、「GABA(ガンマアミノ酪酸:がんまあみのらくさん)」という物質で、行き過ぎた神経の興奮を制御する働きをしているとても大事な物質です。
「GABA」が少なくなると、脳の神経がコントロールできなくなり、脳は興奮してしまいます。
脳の興奮が止められなくなると、脈拍が異常に早くなったり、ふらつき、嘔吐、下痢、ひどくなると痙攣などの症状が出てしまいます。
つまり、脳が銀杏に含まれている「4’-MPN」を「ビタミンB6」だと勘違いして取り込むのだけど、ビタミンB6がする本来の働きを全くしないので、結果として、ビタミンB6が欠乏して体に異常をきたすというわけです。
銀杏を食べてから大体1~12時間くらいでこれらの症状(脈拍が異常に早くなったり、ふらつき、嘔吐、下痢、ひどくなると痙攣)が出ると言われており、多くは90時間以内(半数は24時間以内)に回復するようです。
ですが、先述のように銀杏を大量に食べたことによる死亡例も報告されているので、軽く見てはいけません。
ビタミンB6が欠乏して脳の興奮が止められなくなり、痙攣が起きたりすると自分ではどうしようもありませんし、子どもの場合はさらに症状が悪化することもあるので気をつけたいところです。
銀杏中毒は1708年に書かれた貝原益軒(かいばら えきけん:江戸時代の儒学者)の書物にも記述があり、古くから知られていましたが、
中毒物質の「4’-MPN」がわかったのは比較的最近で、1980年代後半のことです。
銀杏中毒にならないための個数は何個くらい?
戦中戦後の食糧難の時代には、ただでさえ栄養失調気味のところに、自然になる銀杏を大量に食べて、多くの銀杏中毒が見られたといいます。
銀杏には、カロテン、ビタミンC、カリウムなどが豊富に含まれており、高血圧の予防や疲労回復の効果があるとされていますが、やはり一度にたくさん食べるのは危険です。
体調や体質にもよりますが、子どもの場合、銀杏を7個食べて中毒になったという事例があります。
銀杏で中毒になった事例をチェックしてみると、銀杏中毒になった時に食べた個数は、小児で7個~150個、成人で40個~300個とかなり幅がありました。
この差は、個体差の他に、普段のビタミンB6の摂取量にも関係していると考えられています。
銀杏の塩炒りや揚げ銀杏なら、銀杏好きであれば40個くらい食べてしまいそうですが、枝豆感覚で大量に食べるのは危ないですね。
「4’-MPN」は、乾燥銀杏1gに約100mcg含まれているといいますが、どれくらい食べると危険になるかは、先述のように個体差があります。
銀杏は、ぱくぱくと食べれば中毒を起こす可能性があるので、子どもなら7個、大人でも10個くらいを目安にするのが安全かと思います。
銀杏を食べ過ぎると体に悪い?銀杏中毒になる原因と個数の目安 まとめ
銀杏を食べ過ぎると体に悪いというのは本当で、過剰に銀杏を食べると『銀杏中毒』と呼ばれる症状がでることがあり、死亡例も報告されています。
原因は銀杏に含まれる「4’-MPN」という物質を、脳が「ビタミンB6」と間違えて取り込んでしまい、ビタミンB6が欠乏してしまうことにあります。
ビタミンB6が欠乏すると、脳の神経をコントロールする物質が作られなくなるため、
脈拍が異常に早くなったり、ふらつき、嘔吐、下痢、痙攣といった『銀杏中毒』の症状が出てしまうことがあります。
中毒になる銀杏の個数は、子供で7個以上、大人で40個以上食べると発症したというデータがあります。
症状が出るかどうかは個体差がありますが、吐き気を感じて無理に吐こうとすると痙攣を起こしやすくなります。
銀杏を食べてから動悸やめまい、吐き気などの異変を感じたら、すぐにお医者さんに診てもらうようにしてくださいね。
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