「寒さ厳しき折」「寒さ厳しき折柄」とはどんな意味?
使う時期はいつ?
何月に使うの?
使い方の例文は?
その疑問、解消します!
「折」と「折柄」の意味、
時候の挨拶としての意味合い、
書き出しと結びで使う最適な文例も含めて、
わかりやすくお伝えします。
寒さ厳しき折の意味は?
二十四節気(にじゅうしせっき)の「立冬(11月7日頃)」を迎えると、2月の「立春(2月4日頃)」までは、暦の上では季節は「冬」となります。
二十四節気というのは、農作業などの目安にするために中国で作られた季節を示す基準で、太陰太陽暦が使われていた時代に春分を基点に 1年を24等分したものです。
冬の季節の手紙やはがきの「時候の挨拶」には冬の季語を入れたり、
冬を感じるような言葉を入れるとマナーよくご挨拶ができます。
時候の挨拶というのは、手紙の前文で頭語(「拝啓」など)に続く書き出しの言葉です。
この時期の挨拶の言葉として、
「寒さ厳しき折(さむさきびしきおり)」
というのがあります。
「寒さ厳しき折柄(さむさきびしきおりから)」
とも言います。
意味は、「寒さ厳しき」の部分はそのままです。
言葉通り、
「寒さが厳しい」
ということ。
「折」という言葉は、
ある区切られた時点や節目のことです。
時や場所、状況、季節、時節、
といった意味合いを持っています。
ふだんの会話でも
「折を見て伺います」
というふうに「時」を意味する言い方もしますね。
手紙の場合の「折」は、その時の季節や時節を表しています。
なので、「寒さ厳しき折」の言葉は、
「寒さが厳しい季節になりました」
「寒さが厳しい季節ですが」
といった意味で用いられます。
「折柄」は、「折から」を漢字表記にしたものです。
これは「~から~まで」の「から」ではありません。
「柄」という言葉には様々な意味がありますが、
この場合の「柄」は接尾語的に使われています。
意味としては、
「そのものの性質やおかれている状況」
です。
たとえば、
「場所柄、スーツで行かなきゃ」
とか、
「仕事柄、気になるんだよね」
という時の「柄」と同じです。
意訳すると、
「それに相応して」
といった意味合いです。
「寒さ厳しき折柄」は意味としては「寒さ厳しき折」と同じですが、
「折柄」とするほうが、より「寒さ厳しき」を強調しているニュアンスがあります。
寒さ厳しき折を使う時期はいつ?
時候のあいさつで
「寒さ厳しき折」「寒さ厳しき折柄」を使う時期については、明確な決まりはありません。
一般的には、「寒さ厳しき折(柄)」という言葉は12月に入ってから使われます。
前述のように、暦の上では立冬(毎年11月7日頃)を迎えると冬ですが、
11月の初旬はまだまだ秋の気分で、冬と呼ぶにはまだ何か足りない時期です。
この時期を「初冬」といいます。
暦の上で冬は、
- 「初冬(はつふゆ・しょとう)」
- 「仲冬(ちゅうとう)」
- 「晩冬(ばんとう)」
の3つにわけて考えられています。
これらを「三冬(さんとう・みふゆ)」といい、それぞれ陰暦の10・11・12月を指しています。
三冬を二十四節気に合わせてみると、以下のようになります。
- 初冬:陰暦10月……立冬(11月7日頃)から大雪(12月7日頃)の前日まで
- 仲冬:陰暦11月……大雪から小寒(1月5日頃)の前日まで
- 晩冬:陰暦12月……小寒から立春(2月4日頃)の前日まで
二十四節気というのは、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたものです。
三冬でみると、「寒さ厳しき折」と感じるのは、仲冬から晩冬の時期です。
西高東低の冬型の気圧配置になって北風が強く吹き、日本海側では雪が降るのもこの頃です。
この時期は、体感的にも寒さが身にしみる頃ですよね。
「寒さ厳しき折」は、12月から立春(2月4日頃)の前日までを目安に使います。
「寒さ厳しき折」は冬の言葉です。
立春を迎えると、暦の上では春となるので「寒さ厳しき折」はふさわしくありません。
◇ 立春を過ぎてから使う時候の挨拶はこちら。
・立春の候とはどんな意味?いつまで使える?挨拶と結び例文20選!
寒さ厳しき折の例文と使い方
「寒さ厳しき折」を手紙などの時候の挨拶で使う場合は、
『相手を気遣う形』
で用います。
手紙の挨拶として、頭語(拝啓・謹啓など)のあとに続く書き出しで、
「寒さ厳しき折、皆様にはお元気にてお過ごしでしょうか」
「寒さ厳しき折、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」
「寒さ厳しき折、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
「寒さ厳しき折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます」
と用いる場合もありますし、
結語(敬具など)の前や結語の代わりに、結びの挨拶として使われることも多くあります。
※「寒さ厳しき折」は「寒さ厳しき折柄」に置き換えてもOK、同じ意味です。
「寒さ厳しき折、ご自愛下さい」
「寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ」
「寒さ厳しき折、一層ご自愛のほどお祈り申し上げます」
「寒さ厳しき折、皆様どうぞご自愛の上お過ごしください」
「寒さ厳しき折、ご自愛の上ご活躍のほど、お祈り申し上げます」
「寒さ厳しき折、何卒ご自愛専一にてお願い申し上げます」
「寒さ厳しき折、どうぞ皆様お元気にお過ごしくださいませ」
「寒さ厳しき折、どうぞお健やかにお過ごしくださいませ」
「寒さ厳しき折、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます」
「寒さ厳しき折、体調にはくれぐれもご留意ください」
「寒さ厳しき折、ご健康にご留意なさってお過ごしくださいませ」
「寒さ厳しき折、何卒お身体おいといください」
「寒さ厳しき折、お身体に気をつけてお過ごしくださいませ」
「寒さ厳しき折、体調に留意して暖かくしてお過ごしください」
書き出しに用いるにしろ、結びの言葉で用いるにしろ、「寒さ厳しき折」を使う時は、いずれも、相手を気遣う形で使われています。
そして、相手の体調を気遣ってますよね。
「寒さ厳しき折」は「まだまだ寒い日が続きますが」という意味。
そう考えると、「寒さ厳しき折」は相手の健康を気にかけたり、思いやったりする言葉だということがわかります。
手紙の書き出しや最後に「寒さ厳しき折」を入れると、相手に対しての心遣いが感じられますね。
寒さ厳しき折の意味とは?使う時期はいつ?挨拶と結び例文20選!まとめ
「寒さ厳しき折(さむさきびしきおり)」と「寒さ厳しき折柄(さむさきびしきおりから)」は同じ意味です。
「寒さが厳しい季節になりました」
「寒さが厳しい季節ですが」
といった意味で用いられます。
「寒さ厳しき折」は、12月から立春(2月4日頃)の前日までを目安に使います。
手紙などの時候の挨拶で使う場合は、
『相手を気遣う形』
で用います。
「寒さ厳しき折」は書き出しにも、結びにも使える言葉です。
時候の挨拶には季節を表すと同時に、相手の健康を気遣う意味もあります。
改まった相手や、親しい人へ宛てる書き方は、ご紹介した例文を参考にしてみてくださいね。
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