年末やお正月に餅つきをするのはなぜ?
お正月にお餅を食べる理由とは?
お餅をつくことにどんな意味がある?
その疑問、解消します!
餅つきの由来、
鏡餅とお年玉の関係、
お餅にこめた願い、
行事食となったお餅の歴史と背景も含めて、
わかりやすくお伝えします。
年末やお正月に餅つきをするのはなぜ?
お正月の食べ物といえば、お餅が欠かせませんよね。
うちの近所の保育園では、毎年、年末になると餅つき大会が行われています。
わたしが小学生のときは、町内会の餅つき大会がお正月の一大イベント。
年明け早々、朝早くから子どもから大人まで集まり、
歓声や声援が飛び交う大賑わいの餅つき大会でした。
お餅がつきあがると、そのお餅で作ったお雑煮やぜんざいが参加者全員に振る舞われていたものです。
本来、年末からお正月にかけての餅つきには
- 鏡餅を準備するため
- お雑煮に入れる餅を作るため
という2つの意味があります。
昔はお正月は、あまり炊事をしなくてもいいよう、
大量の食材をたくさん購入して、
料理を大晦日のうちに備蓄しておく風習がありました。
そのような備蓄品の1つがお餅です。
簡単に言えば、年末の餅つきは『新しい年を迎える為の準備』ですね。
お餅はおいしいし腹持ちもするので便利な食材ですが、
お餅をつくには、一晩、もち米を水に浸けておかないといけないとか、
出来上がるまでに時間がかかるとか、
普通のうるち米に較べて手間が掛かかるので、
日常の食べ物としては、おもちは非効率的。
そのため、おもちは非日常の食材、
たとえばお正月や結婚等のハレの日や、
おめでたいお祝いの席にのみ使われるようになりました。
おめでたい日に餅つきをするのはなぜ?
餅つきはお正月はもちろんですが、
家を新築した際や結婚式など、
おめでたい時に紅白のお餅を振る舞う習慣もあります。
日本に稲作が伝わったのは縄文時代と言われています。
古くから農耕で生活してきた日本人には『稲作信仰』というものがあり、
稲は「魂」や「霊」が宿っている神聖なものと扱われ、大切に崇められてきました。
そして、神聖な稲から採れる米は、人々の生命力を高める特別な食べ物とされ、
その米を使って作った餅や酒は、特にパワーがあるものと考えられていました。
そのため、祭りごとやお祝いごとなどの特別な日には、餅つきをして餅を作るようになったわけです。
餅つき自体には社会的な意義もあります。
餅を作るには餅をつく人、餅をこねる人、といった役割分担があります。
集団で一つのことをするという連帯感、
みんなで餅が出来上がった時の喜びを分かち合うなど、
個ではなく集団として暮らしていく上でも、餅つきは重要なイベントでした。
こうして、お餅はお正月には鏡餅、桃の節句には菱餅、端午の節句には柏餅といった行事食としても定着していったのです。
中でも、新しい年を祝うお正月は、鏡餅のような稲のパワーが宿るお餅が大切な役割を果たします。
そのため、お正月準備として年末に餅をつくようになったのです。
鏡餅については、あとで説明しますね。
餅つきに使う臼と杵の意味は?
餅つきの時は、臼(うす)と杵(きね)を使います。
臼は穀物(もち米、餅)が入っている器のほう。
杵は、臼に穀物を入れてつくのに使う木製の道具です。
餅つきをする臼と杵の形は、
臼が女性を表し、
杵が男性を表すとされています。
古くから臼と杵は、子孫繁栄、家の繁栄の象徴として家々で大切にされ、
昔は、家を新築するときには、大工さんが臼と杵も作り、その家に納めていたとも言います。
今とは違い、昔の結婚式は自宅で行われることが多かったので、
結婚式の時はハレの日を祝って餅つきを行い、
子孫繁栄と家の繁栄を願ったんですね。
そうした背景から、餅つきは縁起の良いものとされ、
節句を始め、さまざまなハレの日に行われるようになったようです。
お正月にお餅を食べる理由は?
茹でた米を杵でつく餅つきの文化は、弥生時代に始まったと言われています。
それがお祭りやお正月、結婚式などおめでたい特別なハレの日に行われるようになったわけですが、
とりわけお正月のお餅には特別な意味がこめられています。
お正月にお餅を食べるようになったのには鏡餅が深く関係しています。
鏡餅はお年玉?
元々、お正月というものは歳神様が年に一度、家にいらっしゃるのをお迎えするという行事です
大掃除、門松、しめ飾り、おせち料理など、
一連の正月行事も、歳神様をお迎えするのにあたっての準備です。
そして、家に訪れた歳神様は、お正月のあいだ鏡餅に依り付くと考えられています。
歳神様が依り付いたお餅には歳神様の魂が宿るとされ、
その餅を家長が家族に分け与えたのが、
『お年玉』のルーツです。
歳神様に供えた餅を神棚から下ろしたお供え物をいただくことで、
一年の無病息災を祈る気持ちを込めたのです。
本来、お年玉の「年玉」は『年魂』という意味で、
鏡餅のほかにも、家族分の小さな丸餅を神棚に供えて、
そのお餅をおろしたものも、お年玉としていたと言います。
お年玉が現金の時代に生まれてよかった^^
また、お餅は長く延びて切れないことから、長寿を願う意味も含まれています。
このお供えした後のお餅をいただくための料理が『お雑煮』です。
お雑煮に入ったお年玉=お餅を食べることで新しい年のパワーがつくと考えられていたわけです。
わたしたちが鏡開きのあとの鏡餅を食べるのは、この名残りです。
お正月にお餅を食べるのは、お年玉(『年魂』)をいただくことが由来になっているんですね。
鏡餅と歯固めの儀式
お正月にお餅を食べるのは、平安時代に宮中で健康と長寿を祈願して行われた正月行事の『歯固めの儀』に由来するとも言われています。
歯固めの儀は、固いものを食べて歯を丈夫にし長寿を願う儀式のこと。
鏡餅をいただく「鏡開き」には、この「歯固め」という意味もあります。
年齢の齢という字には、左側に「歯」という字が入ってますよね。
丈夫な歯で何でも食べられることが長生きにつながるため、
新しい年の初めに、歯の健康を祈って固い餅などを食べるようになったということです。
年末やお正月に餅つきをするのはなぜ?お餅を食べる理由とは? まとめ
餅つきは、お正月や結婚等のハレの日や、
おめでたいお祝いの時にも行われます。
年末からお正月にかけての餅つきには
- 鏡餅を準備するため
- お雑煮に入れる餅を作るため
という2つの意味があります。
お正月にお餅を食べるのは、
一年の無病息災を祈る気持ちを込めて、
お年玉として、歳神様に供えた餅を神棚から下ろしたお供え物をいただいたことが由来になっています。
また、平安時代の宮中で行われた正月行事の『歯固めの儀』に由来するとも言われています。
いずれにしても、
「新しい年にお餅を食べて神さまのパワーとご加護をいただく」
ということは共通しています。
お正月のお餅はハレの日に食べる縁起物。
おいしくいただいて、新しい年を素晴らしいものにしたいですね。