「あられ」と「ひょう」と「みぞれ」の違いとは?
雪とはどう違うの?
何から出来てどこで作られるの?
その疑問、解消します!
「あられ」・「ひょう」・「みぞれ」・「雪」の定義と特徴、
発生するメカニズム、
天気上の区分も含めて、
わかりやすくお伝えします。
あられとひょうとみぞれは何から出来てる?
♪ 雪やこんこ あられやこんこ
この歌い出し、誰もが知っている童謡ですが、
子どもの頃、なぜかこの歌に出てくる「あられ」というのは、「ひなあられ」のことだと思ってました(笑)。
冬になると北日本や日本海側を中心に「雪」が降りますが、
天気予報では「あられ」、「ひょう」、「みぞれ」といった言葉もよく耳にします。
空から降ってくる「雪」も「あられ」も「ひょう」も「みぞれ」も、成分は水で、雲の中で作られます。
ですが、
それぞれ名前が違うのには特徴があるからで、
「あられ」・「ひょう」・「みぞれ」には定義があります。
あられとは?
あられは、雲から降る直径5ミリ未満の氷の粒のこと。
雪と同様に、大気中の水蒸気が凍って氷の結晶になることによって地上に降ってきます。
車に乗っているときに、あられにあったことがあるとわかりますが、
氷の粒のあられが降ってくると、屋根やボンネットにぶつかるコツコツコツコツと音がします。
あられには、「雪あられ」と呼ばれるものと、
「氷あられ」と呼ばれるものがあります。
雪あられは、雲の中の水蒸気同士が瞬時にくっついた状態のあられで、
水蒸気同士が隙間を空けてくっついているので、
地面に落ちた時に砕けて壊れやすい特徴があります。
氷あられは、水蒸気同士が隙間を埋めるようにゆっくりとくっつくので、
固く壊れにくいのが特徴です。
なので、あられが降ってきて、地面に小さな氷の塊が落ちていたら氷あられです。
あられは天気の区分では雪ではありませんが、降水量には含まれます。
冒頭の童謡の中で「雪」と一緒に歌われている「あられ」と「ひょう」はよく似ているんですが、違いはその大きさです。
ひょうとは?
ひょうは、雲から降る直径5ミリ以上の氷の塊のこと。
雪やあられと同じように雲の中で作られますが、ひょうは積乱雲の中で作られます。
氷の粒が積乱雲の中で上昇と下降を繰り返して大きくなり、
ある程度の重さになると落下するのがひょうです。
ひょうは雪やあられと違って、冬の時期はあまり降りません。
なぜかというと、冬は積乱雲が他の季節に比べて発達しにくく、
気温が低いため直径5ミリ未満のあられになってしまうからです。
夏の時期もひょうはあまり降りません。
気温が高いと雨になったり、
雲が氷の粒ではなく、水の粒になってしまうからです。
ひょうは5~6月や10月など、春や秋の時期に降る事が多いようです。
この時期は地上付近が暖かい一方で、
上空にはたびたび寒気が流れ込んできます。
そうなると、地上と上空の温度差が大きくなって、
ひょうを降らせる積乱雲が発生しやすくなるのです。
初夏のあたりは、こういった気象が多いので、ひょうが最も降りやすい時期といえます。
ひょうができる仕組みは?
ひょうを降らせる積乱雲の頂上は氷点下です。
雲の成分は水なので氷点下では氷の粒となり、
この氷の粒は、積乱雲の中で入り乱れている強い上昇気流と下降気流によって上下運動を繰り返します。
上下運動を繰り返すうちに、氷の粒は周りに水滴を付着させながら成長します。
氷の粒は上昇気流によっては積乱雲の上部に浮いていますが、
ある程度の大きさになると、重さに耐えられなくなって、地表に降り落ちてきます。
これがひょうの発生のメカニズムです。
真夏は積乱雲が発生しても地上付近の気温が高いので、
氷の粒が上空から降ってきても溶けてしまいます。
5~6月や10月の時期の気温は、ひょうを溶かしてしまうことなく地上に到達させます。
そのため、春や秋はひょうが降りやすいのです。
ひょうの落下速度は?
ひょうは大きなものになると落下速度が数十キロを超えることもあります。
ひょうはビー玉大の直径1センチくらいのものでも、
地表付近の落下速度は時速50キロ、
野球ボール大の直径7センチになると、
なんと時速140キロになるとか。
ひょうが直径2~3センチのゴルフボール大ほどの大きさになることは、しばしばあります。
こんなものが降ってきたら危険なんてものじゃありませんよね。
ひょうの降る時間は、その多くが5分くらいと短いのですが、
農作物が傷んでしまったり、
車の窓ガラスが割れたりする被害も報告されています。
ひょうがあたると大怪我をする恐れもありますので、
もしひょうが降る予報が出た場合は、外出は控えるのが安全です。
外出中の場合は、すぐに安全な屋内の建物の中に避難するようにしましょう。
みぞれとは?
みぞれは、雪と雨が混ざって降る状態のこと。
ひょうやあられのように氷の塊ではなく、
雨に混じって降る雪や溶けかかって降る雪のことを指します。
みぞれは、はじめから雪と雨が同時に降る現象というより、
雨から雪に変わる時や、
雪から雨に変わる時といった、
天気が変わる途中の段階で降る現象です。
気象観測の分類上では、みぞれは雪になるので、
もしシーズンの最初にみぞれが降ったとしたら、
それが初雪となります。
天気予報でみぞれを予想する事は難しいことから、
「雨または雪が降るでしょう」
「雪または雨が降るでしょう」
といった表現がよく使われます。
みぞれが降りやすい環境は、
地上の気温が0℃よりも高く、
上空の気温が3℃~6℃くらいの条件の時です。
地上付近の気温が高いと、降る雪が途中で溶けて、雪より速く落ちるんですね。
みぞれは雨と雪が同時に降る現象なので、
氷の粒ではなく雪の結晶があります。
都心では雪が降る際はみぞれになることが多いですが、
日本海側では初冬や初春の頃によくみられます。
雪とみぞれとあられとひょうの違いは?
雪のつぶは、上空の雲の中でできます。
雪とは雲の中で水蒸気が凍り、氷の結晶になったもの。
雲の中で水蒸気が凍って小さな氷の結晶が発生し、
それが成長して雪片になり、地上に降ってくるのが雪です。
ちなみに地上に落ちるまでの途中で溶けたものは雨になります。
この雪の形(雪の結晶)は、そのときそのときの、温度や空気の湿りぐあいで決まります。
たとえば、水蒸気の多いところを通る雪は、六枚の花びらのような形になり、
水蒸気が少なく温度が低いところを通る雪は、角ばった柱のような形になります。
雪の結晶は手にとっても見ることができますね。
雪とあられとひょうとみぞれの最も大きな相違点は、この「結晶」があるかないかです。
「雪やみぞれには結晶が存在するが、ひょうやあられには結晶が存在しない」
雪とあられとひょうとみぞれ、
いずれも水が凍った氷でできていますが、
粒の大きさの他にも、構造上の違いがあるというわけです。
あられとひょうとみぞれの違いとは?雪とはどのように違うの? まとめ
空から降ってくる「雪」も「あられ」も「ひょう」も「みぞれ」も、成分は水で、雲の中で作られます。
- あられは、雲から降る直径5ミリ未満の氷の粒のこと。
- ひょうは、雲から降る直径5ミリ以上の氷の塊のこと。
- みぞれは、雪と雨が混ざって降る状態のこと。
- 雪は、雲の中で水蒸気が凍り、氷の結晶になったもの。
雪とあられとひょうとみぞれ、
いずれも水が凍った氷でできていますが、
雪やみぞれには結晶が存在しますが、
ひょうやあられには結晶が存在しません。
粒の大きさの他にも、構造上の違いがあるというわけです。
あられとよく似たひょうのエピソードとしては、
1917年(大正6年)6月29日、
埼玉県熊谷付近で降った超ビッグサイズのひょうが有名です。
普通で夏みかん大、
大きいものではかぼちゃ大の、
重さ約3.4kgのひょうが降ったという記録があります。
天気予報で雪と予報が出たら足元に注意、
あられの予報は上空注意、
ひょうの予報が出たら外出は控えるのが無難ですね。