「花冷え」とはどんな意味?
使う時期はいつからいつまで?
手紙やメールの時候の挨拶で使う時の例文は?
その疑問、解消します!
「花冷え」に含まれるニュアンス、
時候の挨拶としての意味合い、
書き出しと結びで使う最適な文例も含めて、
わかりやすくお伝えします。
花冷えとはどんな意味?
春になると、天気予報やニュースなどでも見聞きする言葉に「花冷え」というものがあります。
「花冷え」は「はなびえ」と読みます。
きれいな響きの言葉ですね。
「花冷え」とは、桜の花が咲く頃の寒さのことで、
「花冷え」の “花” は「桜」を指しています。
季節が春になり、徐々に気温が上がってきて、
桜の花が咲くころになって急に冷え込むのが「花冷え」です。
お花見シーズン真っ盛りのときに、急に寒くなり、いきなり冬が戻ったように思える寒い日がありますよね。
あれが「花冷え」です。
「花冷え」は
『春の陽気が、桜の咲く頃、突然、冬のような寒さになる』
という意味で、
「寒の戻り」を表す言い方のひとつです。
◇ 寒の戻りについて詳しくはこちら。
・寒の戻りとはどんな意味?特異日はいつ?なぜ冬みたいに寒くなるの?
広辞苑で「花冷え」を引くと以下のようになっています。
桜の咲く頃に寒さがもどって冷え込むこと
ちなみに、春の訪れが遅い北海道では、5月下旬ごろから6月の初めのリラの花咲くころ、思いがけなく寒くなることがあり、これを「リラ冷え」といっています。
リラというのは、フランス語でライラックのこと。
ライラックは北海道では、街路樹や庭木としてよく植えられているので、道民にとっては、なじみの深い花です。
「花冷え」の花が桜をなぞらえているように、
ライラックをなぞらえて寒さを「リラ冷え」と表現しているんですね。
◇ リラ冷えについて詳しくはこちらをどうぞ。
・リラ冷えとはどんな意味?語源でわかる北海道で使われる時期
花冷えを使う時期はいつ?
「花冷え」という言葉を使う時期は、桜の咲く時期(3月下旬~4月中旬)です。
「花冷え」は春の季語です。
春というと、うららかな日差しをイメージしますが、
実際は、移動性高気圧と低気圧が1週間ごとに日本列島を通過しています。
なので、初夏に向けて天候が安定するまでは、晴れたり曇ったり雨になったりで、天候不順です。
桜の開花時期も決まって雨が降りますし、
強い風が吹いて花を散らしたり、
コートが必要になるような冷え込む日があります。
そんな時の寒さが「花冷え」です。
なので、「花冷え」を使う時期は、
『桜が咲き始め、葉桜になり始める頃まで』
が目安です。
桜の開花期間は、満開から1週間程度で花が散るので、
「花冷え」を使う時期は、だいたい2~3週間くらいになります。
ですが、「花冷え」を使う時期については厳密に考える必要はありません。
花が咲いた後に気温が下がる「花冷え」が起こると花は長く持ち、
咲いた後に雨が降ると早く散ります。
桜が散ったからといって、「花冷え」が使えないということではありません。
また、日本は南北に長いので桜の開花時期も異なり、
寒い地方ほど開花が遅く、暖かい地方になるほど開花が早くなります。
東日本や西日本の桜の開花時期は3月下旬から4月上旬、
北陸・東北で4月上旬から4月中旬、
といったあたりなので、
「花冷え」を使う時期は少しぐらいずれても大丈夫です。
「花冷え」は3月下旬から4月中旬を目安に、
「ここ数日、花冷えが続いているね」
「花冷えに備えて冬物をしまうのはまだ先にしたほうがいい」
「急な花冷えで風邪をひきそう」
といった使い方ができます。
花冷えを時候の挨拶に使う時の例文と使い方
「花冷え」は手紙やはがきの時候の挨拶にも使われます。
時候の挨拶というのは、手紙の前文で頭語(「拝啓」など)に続く書き出しの言葉です。
手紙の時候の挨拶には季節を表す季語を入れたり、
季節を感じるような言葉を入れるとマナーよくご挨拶ができます。
桜の時期であれば、「花冷え」はさまざまな使い方ができます。
「花冷え」は、桜の見頃の時期(お花見の時期)と重ね合わせて使われる季語なので、ただ寒いというのではなく、
『艶やかで風情のある寒さ』
といったニュアンスがあります。
たとえば、「花冷えの候」という時候の挨拶があります。
花冷えの候は「はなびえのこう」と読みます。
花冷えの候は、
「春になりましたが、まだ寒くなる日も時々ある季節ですね」
という意味になります。
花冷えの候を使う時期は、桜の咲く時期(3月下旬~4月中旬)なので、
手紙などの時候の挨拶で使う場合は、
『相手を気遣う形』
で用います。
花冷えは寒さを表しますが、これからの春の暖かさへの期待も含んだ言葉なので、受け取る方も、共感しやすい挨拶です。
手紙の挨拶として、頭語(拝啓・謹啓など)のあとに続く書き出しで、
「花冷えの候、皆様にはお元気にてお過ごしでしょうか」
「花冷えの候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」
「花冷えの候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
「花冷えの候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます」
と用いる場合もありますし、
結語(敬具など)の前や結語の代わりに、結びの挨拶として使われることも多くあります。
「花冷えの候」は、「花冷えの頃」「花冷えの折」に置き換えてもOK、同じ意味です。
結びの挨拶では以下のように使います。
「花冷えの折、ご自愛下さい」
「花冷えの折、くれぐれもご自愛くださいませ」
「花冷えの折、一層ご自愛のほどお祈り申し上げます」
「花冷えの折、皆様どうぞご自愛の上お過ごしください」
「花冷えの折、ご自愛の上ご活躍のほど、お祈り申し上げます」
「花冷えの頃となりましたが、何卒ご自愛専一にてお願い申し上げます」
「花冷えの頃となりましたが、どうぞ皆様お元気にお過ごしくださいませ」
「花冷えの折、どうぞお健やかにお過ごしくださいませ」
「花冷えの折、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます」
「花冷えの折、体調にはくれぐれもご留意ください」
「花冷えの折、ご健康にご留意なさってお過ごしくださいませ」
「花冷えの折、何卒お身体おいといください」
「花冷えの折、お身体に気をつけてお過ごしくださいませ」
「花冷えの折、体調に留意して暖かくしてお過ごしください」
書き出しに用いるにしろ、結びの言葉で用いるにしろ、「花冷え」を使う時は、いずれも、相手を気遣う形で使われています。
そして、相手の体調を気遣ってますよね。
「花冷え」という言葉は、この時期ならではの心遣いの言葉にもなります。
花冷えの意味とは?時期はいつ?時候の挨拶に使う時の例文20選! まとめ
「花冷え」とは、桜の花が咲く頃の寒さのことを言います。
「花冷え」の “花” は「桜」を指しており、
『春の陽気が、桜の咲く頃、突然、冬のような寒さになる』
という意味です。
「花冷え」は春の季語で、
使う時期は桜の咲く時期(3月下旬~4月中旬)です。
「花冷え」には『艶やかで風情のある寒さ』といったニュアンスもあることから、手紙やはがきの時候の挨拶や結びにも使われます。
相手の体調を気遣う言葉にもなる「花冷え」、
桜のシーズンを示す美しい日本語を大切にしたいですね。
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