リラ冷えとはどんな意味?語源でわかる北海道で使われる時期

リラ冷えとはどんな意味?語源でわかる北海道で使われる時期

リラ冷えとはどんな意味?

リラって何のこと?

リラ冷えの語源や由来は?

北海道以外でも使ってる?

その疑問、解消します!

リラ冷えが使われる時期、

季語として用いられた俳句、

『リラ冷え』という言葉が一気に広まったきっかけも含めて、

わかりやすくお伝えします。

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リラ冷えとはどんな意味?

春になって気温が上がり、

桜の花が咲くころになって急に冷え込むことを

『花冷え』

といいますが、

同じように「寒の戻り(かんのもどり)」を指す言葉に

リラ冷え

があります。

寒の戻りとは立春以降の寒さのぶり返しのこと。

暖かくなった晩春の頃、

一時的ながら異常に寒くなる現象が寒の戻りです。

『リラ冷え』は春の訪れが遅い北海道で

リラの花が咲く5月下旬ごろに思いがけなく寒くなること

北海道ではスイセンの時期が終わると、

春の訪れを告げるチューリップ、

晩春のリラと季節の花が変化していきます。

そんな時期に使われる言葉が『リラ冷え』です。

この時期の北海道は朝晩はまだ冷え込みますが、

札幌や旭川の日中は17℃台、

道東やオホーツク地域では14℃前後まで上り、

日中は20℃を超える日もあって

ぽかぽかとした陽気の日が多くなります。

ですが、

ちょっと油断すると、

コートが必要な肌寒い天気が続くことも珍しくありません。

5月下旬の北海道で、

暖かくなったと思ったら急に冷え込む

という気候の変化を『リラ冷え』と呼んでいます。

リラ冷えが起こる原因はオホーツク海高気圧で、

冷たい空気が北海道に影響を与え、

気温で言うと20℃台から10℃台とか、

10℃以上も下がったりします。

リラ冷えのリラとは?

『リラ冷え』の「リラ(lilas)」はフランス語で、

英語名は「ライラック(lilac)」です。

ライラックの別名がリラ

初夏に良い香りのする淡紫色の花をつける植物です。

「リラ」というと、

どことなくヨーロッパ的な雰囲気がしますが、

北海道では「ライラック」という呼び方が一般的です。

本州もライラックですね。

ライラックは北海道を代表する花のひとつで、

道民に親しまれている身近な花。

『札幌市の木』にも指定されています。

寒さに強く、

花木もそれほど巨木にならないので、

北海道では民家の庭によく植えられています。

ライラックは初夏のような日差しが感じられる頃に花が咲くことから、

「初夏を告げる花」とも呼ばれています。

札幌では毎年5月下旬に『ライラック祭り』が開かれています。

札幌~旭川間のL特急もライラックという名前です。

ライラックはモクセイ科ハシドイ属の落葉樹で、

和名を「ムラサキハシドイ」といいます。

この和名の漢字は「紫丁香花(むらさきはしどい)」。

きれいな名前ですよね。

香りが高いことからついた名前で、

ライラックは香水の原料にもされています。

前述のように、

フランス語ではリラ(lias)、

英語名の「lilac(ライラック)」は「lilas」が変化した語ですが、

さらにさかのぼると、

スペイン語で「lilac」、

アラビア語で「lilak」に変わり、

ペルシャ語で「lilak(青みがかった)」

に由来すると言われています。

一方、

フランス語の「lilas」の方には、

サンスクリット語で「暗い青色」を意味する「nila」が語源ではないか、

という説も存在しています。

いずれにしても、

ライラックの特徴的な花の色から花の名前が付けられたことがわかります。

日本名の「紫丁香花(ムラサキハシドイ)」には「紫」と入っているように、

ライラックの花は薄紫が多いですが、

白やピンク色などの花色もあります。


■ リラ = ライラック

【和名】ムラサキハシドイ(紫丁香花)

モクセイ科・ハシドイ属

【学名】Syringa vulgaris

【英名】Lilac

【仏名】Lilas

【原産地】東ヨーロッパ・バルカン半島~アフガニスタン

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リラ冷えの語源は?

『リラ冷え』という言葉が初めて使われたのは、

1960年代のことです。

俳句として

『リラ冷え」という言葉を最初に用いたのは、

榛谷美枝子(はんがいみえこ・1917年~2013年)さんという、

北海道を代表する滝川市出身の俳人です。

昭和43年(1968年)8月1日発行の榛谷美枝子さんの句集、

「雪礫」には、

彼女が創作した季語『リラ冷え』が登場します。


昭和三十五年(1960年)
「リラ冷えや すぐに甘えて この仔犬」

昭和三十七年(1962年)
「リラ冷えや 睡眠剤は まだきいて」

昭和三十九年(1964年)
「リラ冷えや 美術講演 パリのこと」

昭和四十一年(1966年)
「リラ冷えや 十字架の墓 ひとところ」
「リラ冷えや 落付かぬ日は 廊下拭く」

昭和四十二年(1967年)
「花冷えに つづくリラ冷え ただ悲し」

榛谷美枝子さんは『花冷え』という言葉を、

より洗練された『リラ冷え』と創作しました。

リラの花が咲いた頃、

とても肌寒かったことから『リラ冷え』を生み出したといいます。

小説として

榛谷美枝子さんが『リラ冷え』を創作したのち、

北海道を代表する作家、

渡辺淳一氏(わたなべじゅんいち・1933年~2014年)の「リラ冷えの街」という作品のタイトルに使われて、

『リラ冷え』は広く知られるようになりました。

1970年(昭和45年)に新聞小説で掲載が始まった「リラ冷えの街」は、

翌年1971年(昭和46年)に単行本化され、

そこから『リラ冷え』という言葉が一気に広まりました。

わたしも初めて『リラ冷え』を知ったのはこの小説でした。

主人公が北海道大学植物園に勤める植物学者という設定もあって、

作品には数多くの木々や花々が登場するんですが、

人工授精という運命的な “出会い” を経て巡り合った男女の愛と別れは、

「リラ冷えの街」というしゃれたタイトルも相まって、

妙に記憶に残るお話でした。

リラ冷えを使うのは北海道だけ?

『リラ冷え』は俳句の季語として、

5月の北海道を表す言葉で用いられることはありますが、

寒さがぶり返す意味での『リラ冷え』は、

北海道以外では殆ど使われていません。

というのも、

ライラックの花自体が北海道以外で見かけることがないからです。

北海道のライラックは明治時代、

アメリカから札幌に持ち込まれたものが定着したと考えられています。

ライラックが民家の庭で美しく咲いているのは、

北海道ならではの光景のようです。

また、

『リラ冷え』を使う5月下旬というのは、

本州では時期的にその気候が存在しません。

といったことから、

気象の用語としての『リラ冷え』は、

北海道以外では使われないのです。

リラ冷えとはどんな意味?語源でわかる北海道で使われる時期 まとめ

『リラ冷え』は『花冷え』と同じように寒の戻りを指す言葉で、

5月下旬の北海道で、

「暖かくなったと思ったら急に冷え込む」

という気候の変化を言います。

ライラックの別名がリラ。

『リラ冷え』は、

ライラックの花が咲く5月下旬ごろに思いがけなく寒くなること。

『リラ冷え』の語源は俳人の榛谷美枝子氏が創作した季語ですが、

作家の渡辺淳一氏の小説「リラ冷えの街」という作品のタイトルに使われて一気に広まりました。

リラの花の美しさと言葉が持つ語感の美しさに、

寒さもまた清々しく感じるような『リラ冷え』。

枝先に密集して咲くライラックの花は、

その香りで道行く人も足を止めるほど、

かぐわしい花でもあります。

機会があったら北海道でライラックを体感してみませんか。

『リラ冷え』の備えに上着を1枚忘れずに^^

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