お化けと幽霊と妖怪の違いとは?
出る場所や出る時間帯、
現れる目的も違うの?
それぞれの特徴は?
その疑問、解消します!
お化けの本来の意味と一般的な解釈、
幽霊の特徴を表す怪談の具体例、
妖怪の定義と別名、
貞子の属性も含めて、
わかりやすくお伝えします。
お化けと幽霊と妖怪の違いは?
いきなりですが、『リング』の貞子、
怖いですよね。
テレビ画面から這い出して
日本中を恐怖のどん底に叩き落した、
あの『リング』シリーズの貞子です。
最近は怖さを通り越して
愛されキャラになっている感もありますが、
ハリウッドでリメイクされ
国際的な存在となった貞子は
2019年、ニューズウィークが選ぶ
“世界が尊敬する日本人100” に
プロテニスプレイヤーの大坂なおみ、
元メジャーリーガーのイチロー、
ミュージシャンのYOSHIKIなどと共に選ばれました。
世界に尊敬されちゃうなんて
さすが日本が誇るホラー映画の最強ヒロインです。
友人宅でこの貞子話で盛り上がっていたら、
そばで聞いていた友人の息子6歳が
「貞子っておばけ?妖怪?ゆーれい?」
と聞いてきて、
大人たちはしばし一同沈黙。
いうなれば、貞子は「怨霊(おんりょう)」です。
恨みをいだいて人にたたりを及ぼす霊が怨霊。
怨霊は「霊」がつくんだから
貞子は幽霊の一種なのかしら。
少なくとも妖怪じゃないよね。
お化けっちゃあお化けだよ。
大人たちも首をひねりましたが、
そもそも、お化けと妖怪と幽霊、
どのような違いがあるのでしょう。
『ゲゲゲの鬼太郎』でおなじみの
水木しげる氏の定義によると
人間が死んだのち、その恨み・執念が人の形となりこの世に蘇ったもの。
【御化け】
何かが他のものに化けたもの。
【妖怪】
怪しい生き物。怪現象を全部ひっくるめたもの
となっています。
シンプルでわかりやすいですね。
それぞれもう少し詳しくお伝えしますね。
お化けとは?
わたしはお化けといえば、
せなけいこ氏の絵本、
『ねないこだれだ』が浮かびますが、
子どもの頃は妖怪も幽霊も
全部ひっくるめてお化けでした。
お化けとは、本来ある姿から大きく変化したもののこと。
「お化け」と表記することからも分かりますが、
なにかに化けたという意味で、
「変化(へんげ)」や「化生(けしょう)」などとも呼ばれます。
基本的にお化けは、
元ある姿から逸脱して変わってしまったものを示します。
規格外に並外れて大きな野菜を
「お化け◯◯」とか言いますよね。
たとえば「お化けカボチャ」のように
通常より大きく変化した実在するものにも使われます。
ですが、一般的にお化けというと、
妖怪や幽霊など特異なものの総称とされています。
恐怖を感じる何かを見ると
「お化けが出た!」
と言い、
縁日や遊園地の人気の催し物といえば
『お化け屋敷』です。
妖怪屋敷とか幽霊屋敷とは言いませんよね。
幽霊とは?
わたしは幽霊といえば、
「番町皿屋敷」のお菊さんや
「四谷怪談」のお岩さんが浮かびます。
幽霊=死んだ人の霊が現れたもの
幽霊とは、成仏できない死者が姿を現したものです。
幽霊はこの世に未練や恨みがあって
成仏できずにさまよう霊が、
生前の姿となり、
因縁のある人や因縁のある場所に現れる、
とされています。
番町皿屋敷のお菊さんは、
皿が1枚欠けたために殺されて井戸に投げ込まれ、
井戸の中で毎夜、
「1枚、2枚……」と皿を数える声がして
屋敷が呪われ、
果てはお家断絶になる、というお話。
お菊さんは「人」ではなく、
「屋敷(場所)」についたんですね。
「人」についたのはお岩さんです。
四谷怪談のお岩さんは、
夫に裏切られた挙げ句、
顔の崩れる薬を飲まされ惨殺されます。
そのお岩さんの霊が復讐をとげるお話です。
幽霊の出やすい時間とは?
昔から幽霊は丑三つ時や、
因縁のある時間に出やすいと言われています。
幽霊が出る不吉な時間帯として
「丑三つ時」という言葉が
昔から使われてきました。
「草木も眠る丑三つ時」
という言い方をしますが、
「丑三つ時」は現代の時間表示では
「午前2時から午前2時30分ごろ」
を指します。
真夜中ですね。
周りは寝静まり、あたりは暗く
いかにも幽霊が出てきそうな時間帯ですが、
丑三つ時に出やすいというのには
ちゃんと理由があります。
丑三つ時が不吉とされる由来は、
陰陽道において
鬼が出入して災いをもたらす
とされる『鬼門』と方角的に一致するためです。
丑三つ時を方位にあてはめると、
鬼門となる丑寅の方角になります。
鬼門は霊界の門が開くと考えられ、
そこから幽霊は丑三つ時に出る、
と信じられるようになりました。
妖怪とは?
妖怪と聞くと、ろくろ首や一つ目小僧、
子泣き爺、傘お化けが浮かんできます。
妖怪は『ゲゲゲの鬼太郎』や
『妖怪ウォッチ』など、
漫画やアニメでもよく登場するので
人気キャラクターとして知っている人も多いですよね。
妖怪は人間以外のものや動物が化けたもの。
また、
「人知を超えた怪奇な現象やそれを引き起こす存在」
という定義もあります。
妖怪は必ずしも死んだものが前提ではないのが特徴です。
妖怪は化け物とやや似たニュアンスを持っていて、
「物の怪(もののけ)」
「魔物」
「妖(あやかし)」
などとも呼ばれます。
広く知られているものには河童や天狗、
座敷わらしなどがあります。
河童は川、天狗は山、
座敷わらしは家といったように、
それぞれ現れる場所や
目的が違うことも特徴のひとつです。
妖怪の出やすい時間とは?
妖怪と幽霊では出るといわれる時間も違います。
妖怪は幽霊よりも早い時間帯の
「逢魔時(おうまがとき)」
あるいは
「大禍時(おおまがとき)」
に出るとされています。
逢魔時や大禍時とは黄昏時のこと。
昼から夜に移りかわる黄昏時は、
古くは「誰そ彼」といい、
誰かいそうだけれど薄暗くてわからないので、
「あれは誰だ」
と問いかけた様子からきています。
この時間帯は昔から、
妖怪など魔物に逢いそうな時間ということで、
「逢魔時(おうまがとき)」
と呼ばれたわけですね。
お化けと幽霊と妖怪の違いは?出る場所や出る時間 出る目的も違うの? まとめ
お化けとは、本来ある姿から大きく変化したもののこと。
ですが、一般的にお化けというと、
妖怪や幽霊など特異なものの総称とされています。
幽霊とは、死んだ人の霊が現れたもので、
成仏できない死者が姿を現したものです。
幽霊は丑三つ時(午前2時から午前2時30分ごろ)や、
因縁のある時間に出やすいと言われています。
妖怪は人間以外のものや動物が化けたもので、
必ずしも死んだものが前提ではないのが特徴です。
妖怪は幽霊よりも早い時間帯の
黄昏時に出るとされています。
幽霊と妖怪の定義は、
民俗学を大成した柳田国男氏はじめ、
多くの学者や研究者が行っていますが、
完璧な定義というのは難しいようです。
貞子の属性を知りたがった友人の息子には
「お化け」・「幽霊」・「妖怪」に加えて、
「怨霊」という新ジャンルを教えることとなりました(笑)
夏の風物詩、怪談には欠かせないお化けや幽霊、妖怪。
その違いを探すのも、想像力が刺激されますね。
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