扇子とうちわの違いとは?
見た目の形の他にどんな違いがあるの?
風をあおいで涼しいのはどっち?
その疑問、解消します!
扇子とうちわの由来と歴史、
それぞれの用途や使われ方、
扇子とうちわの特徴による使い分け方も含めて、
わかりやすくお伝えします。
扇子とうちわの違いは?
夏になると色々なところで
扇子やうちわを目にします。
テレビで大相撲の夏場所を見ていると
結構な数のお客さんが
扇子やうちわで扇いでいるので
「ドルフィンズアリーナって冷房ないの?」
と一瞬思ったんですが、
県立のどでかい体育館に空調がないわけありません。
やはり相撲観戦に白熱するのでしょうか、
扇子やうちわは名古屋場所の風物詩のようです。
扇子とうちわは、
どちらも風をあおぐ便利な道具ですが、
大きく違うところは、
小さく折りたためるか、
折りたためないかということです。
見た目の形状以外にも違いがあります。
まず、扇子とうちわは由来が異なります。
扇子は日本オリジナルで、
うちわは中国から伝わったものです。
意外に思うかもですが、
扇子とうちわでは風を起こす仕組みも違います。
また、涼をとる目的以外では用途、
使われる場面も違ってきます。
扇子は風を送る時だけでなく、
儀礼や芸能などでも多く使われます。
扇子とうちわの違いについて、
それぞれもう少し詳しくお伝えしますね。
うちわ 団扇とは?
うちわは漢字で「団扇」と書きます。
ちょっと特別な読み方ですよね。
「団扇」の「団」という字は、
「丸」や「円」、
「かたまり」とか「丸くまとまった」
といった意味を表しています。
「家族団らん」という時の「団」と同じです。
ということで、団扇(うちわ)とは
丸い形状の扇(おうぎ)という意味で、
丸い平面のところが扇、
そこに持ち手がついているのがうちわです。
うちわは風を起こすための道具です。
暑いときなどに風を起こしたり、
料理を冷ます、
炭など炊事で火を起こす、
濡れたものを乾かす
塵をはらうときなどに用います。
うちわの歴史
歴史的には扇子よりも
うちわのほうが古く、
うちわの起源は古代エジプトといわれています。
日本には飛鳥時代(592年-710年)、
中国から伝わって来ました。
当時の名称は「団扇」ではなく、
「翳(さしば)」と呼ばれていました。
翳は現在のうちわより柄が長くて
形も大きなもので、
中国では権威の象徴として
女帝などの位の高い人によって使われていました。
日本でも使われていたのは一般の庶民ではなく、
身分の高い人などが、
自らの威厳を出すために
顔を隠すための道具として用いたり、
虫などを追い払ったりするためのものでした。
他にも、
邪気を払うためにも使われていたようです。
ですが、当時のうちわ(翳:さしば)は
すべてが木材でできており、
今のうちわと比べるとかなり重かったようです。
風を起こすために仰ぐのは
なかなか大変ですよね。
うちわが一般庶民に広がったのは、
室町時代(1336年 – 1573年)に入ってから。
竹の素材を使って和紙を使い、
加工技術も進化して、
軽くて丈夫なうちわが作られるようになります。
こうして現代のうちわと同じような使い方がされるようになったのです。
冷房が普及していなかった頃の日本の家庭では、
来客用のうちわと家族が使ううちわの
2種類のうちわが用意されているおうちも多かったようです。
うちわの用途
うちわを浴衣姿で帯の後ろにさっとさしておくと
季節感が増して爽やかな感じがしますよね。
我が家ではもっぱら酢飯を冷ますときに使ってます(笑)
うちわはノベルティグッズとしても作られるので
夏になるとどこかの企業や店の広告が
入ったうちわをもらうことがあります。
コンサート会場などで配布されることもありますね。
扇子とは?
扇子は「せんす」と読みます。
扇子は、平安時代(794年-1192年)に
日本で生まれた日本オリジナルの便利グッズです。
扇子はうちわを改良したもので、
うちわと同様に風を起こす道具です。
うちわは折りたためないので
持ち歩く時に不便でした。
中国で発明されたうちわが
日本に伝わってきてから100年くらいの間、
折りたたんで携帯しても使えるようにと
うちわをもとにして作られたのが扇子です。
はじめに作られた扇子もうちわと同様、
木を用いていました。
同じような厚さと幅に切った木を束ね、
扇形に広げられるように穴を開け、
そこに糸を通して作られたといいます。
扇子の用途
扇子は初めはうちわと同じように
風を起こしたりあおぐ目的で作られたものですが、
次第に扇子は風を起こす以外の目的に使われるようになり
扇子の持つ意味は多岐に広がっていきました。
平安時代には女性が顔や口元を隠すため
常に常備しているものでした。
他にも、上流階級の人同士が
交流するための道具として使われたり、
神事や儀式の道具として
使われるようになりました。
扇子を使った舞や踊りも作られ
例えば日本舞踊や狂言、歌舞伎では
題目に応じて、用いられる色や絵柄も違います。
古典芸能の落語でも扇子を
そばを食べる時の箸に見立てるなど、
小道具として使われますね。
17世紀、パリの上流階級の女性のあいだで
扇子が流行したという歴史がありますが、
これは日本から伝わったものです。
日本で生まれた日本オリジナルの扇子は、
その後中国にも輸出されるようになりました。
中国から伝わったうちわをもとに
日本で生み出された扇子が、
中国に輸出されるというのは
なかなか面白いものがあります。
扇子とうちわ 涼しいのはどっち?
扇子とうちわで風を起こすなら、
うちわのほうが強い風が起きるので
うちわであおぐほうが涼しく感じます。
うちわは柄があるので、
仰ぐ部分がしなりスナップが利いて、
効果的に風を送れるようになっています。
もともとうちわは構造的に
風量が多くなる作りになっているので、
大きな1つの空気のかたまりが
皮膚にあたる感覚があります。
手首のスナップを効かせて、
さらにしなりを利用すると、
最小のエネルギーで効率良く風を送ることができ、
手も疲れにくくなります。
一方、
扇子は柄の部分がない上、
波型の形状をしているので、
しなりにくい構造になっています。
扇子は少ない労力で、
風を発生させることができる作りになっていますが、
強い風量が欲しい場合には、
うちわを使うのが効果的です。
扇子とうちわの違いとは?涼しいのはどっち?特徴でわかる使い分け方 まとめ
扇子とうちわは風を起こす道具です。
扇子は日本オリジナルで、
うちわは中国から伝わったものです。
扇子とうちわは、
どちらも風をあおぐ便利な道具ですが、
大きく違うところは、
小さく折りたためるか、
折りたためないかということ。
扇子は風を送る時だけでなく、
儀礼や芸能などでも多く使われます。
扇子とうちわのどっちが涼しいかといえば、
断然うちわです。
うちわのほうが、圧倒的に風量が多く、
扇子は、携帯用の涼む道具として
発達してきたものです。
持ち運びを考えるなら折りたためる扇子、
強い風を起こしたいならうちわ。
ほしい風の量や、TPOに合わせて
扇子とうちわを上手く使い分けできるといいですね。