ビーフシチューとハッシュドビーフとハヤシライスとビーフストロガノフの違いは?
元々はどこの国の料理?
その疑問、解消します!
ビーフシチューの歴史と雑学、
ハッシュドビーフの定義と味、
ハヤシライスの名前の由来も含めて、
わかりやすくお伝えします。
ビーフシチューとハヤシライスとハッシュドビーフの違いは?
寒くなると鍋料理も良いですが、あったか~いシチューもおいしいですよね。
冷え込んでくるとよくビーフシチューを作るんですが、時々家族からはハヤシライスをリクエストされます。
ビーフシチューとハヤシライス、
そしてハヤシライスと言えば、次に出てくるのがハッシュドビーフですが、この3つは味的には似ている料理です。
『ビーフシチュー』と『ハッシュドビーフ』と『ハヤシライス』。
それぞれの違いはちょっとわかりにくいですが、大きな違いは以下の通りです。
『ビーフシチュー』……大きめに切った牛肉や野菜を長時間煮込み、デミグラスソースをメインに味付けした料理
『ハッシュドビーフ』……薄切り、または細切りの牛肉や野菜を軽く煮込み、デミグラスソースをメインに味付けした料理
『ハヤシライス』……ハッシュドビーフをご飯にかけた料理、もしくはハッシュドビーフをアレンジした料理
実は、『ビーフシチュー』と『ハッシュドビーフ』と『ハヤシライス』は、いずれも洋食から進化した日本料理ともいえるのです。
ひとつずつ、見ていきますね。
ビーフシチューとは?
『ビーフシチュー』は名前のとおり、牛肉を使ったシチューです。
シチュー(英: stew [stju:])とは、西洋料理の一種で、野菜や肉、魚介類を出汁やソースで煮込んだ煮込み料理のことをいいます。
ビーフシチューは角切りの牛肉と玉ねぎ、大きめに切ったニンジンやジャガイモなどの野菜、マッシュルームなどを長い時間煮込み、デミグラスソースやトマトソース、赤ワインなどで味付けした料理です。
具材が大きめで、ごろごろといった感じで入っており、料理の見た目にもボリュームがあるのが特徴です。
シチューの発祥はヨーロッパ。
16世紀後半から17世紀前半にフランスで生まれたと言われており、日本には明治時代に伝わってきたと言われています。
どのようなルートで日本に伝わったのかは定かではないのですが、1871年(明治4年)には、東京・九段の洋食店『南海亭』のメニューの引き札(ちらし)に
「シチウ(牛、鳥うまに)二匁五文五厘」
と記されていました。
今もそうですが、
牛肉=高級感・本格感
というイメージから、
明治・大正・昭和と洋食の「ご馳走」として定着した感があります。
ちなみに、おふくろの味の定番ともいえる肉じゃがは、元々ビーフシチューの失敗作だったという話があります。
1901年(明治34年)、東郷平八郎(海軍中将で、舞鶴鎮守府の初代長官)がイギリス留学の際に食べたビーフシチューの味を忘れることができず、料理人にビーフシチューを作ってほしいと、お願いをしました。
ですが、当時の日本では、ビーフシチューの材料に欠かせないバターやワインが入手困難だったのです。
そのため、代わりに砂糖、醤油、ゴマ油など日本の調味料でビーフシチューの色を出そうと色々入れたところ、ビーフシチューとは異なる料理が偶然、完成。
それが、肉じゃがの始まりというお話です。
真偽のほどは定かじゃありませんが、確かにビーフシチューと肉じゃがの具材は共通してますね。
ハッシュドビーフとは?
『ハッシュドビーフ』は薄切りにした牛肉と玉ねぎを炒めて、デミグラスソースで煮込んだ料理です。
ハッシュドビーフの「ハッシュ(hash)」は細かく切るという意味です。
デミグラスソースで煮込むのはビーフシチューと同じですが、牛肉や玉ねぎを細かく切っているので、ビーフシチューと比べると具材は小さいのが特徴です。
ハッシュドビーフという名前から、西洋料理と思われがちですが、実はれっきとした日本生まれの料理です。
ハッシュドビーフという呼び名はもともと西欧にもあったのですが、牛肉や野菜などをデミグラスソースで煮込むというところが日本のオリジナルです。
ハッシュドビーフは日本生まれの西欧風料理といったところです。
お店や家庭によっては、デミグラスソースメインではなくトマトソースで煮込むのがハッシュドビーフということもあります。
「トマトソースで煮込むのはハヤシライスでは?」
という意見もあるのですが、このあたりはあいまいで、ハッシュドビーフとハヤシライスに明確な定義があるわけではありません。
ハヤシライスとは?
『ハヤシライス』は『ハッシュドビーフ』をご飯にかけたものです。
前述のように、ハッシュドビーフはデミグラスソースで、ハヤシライスはトマトソースで煮込んだもの、とする人もいます。
わたしも、実家の近所にあった洋食屋さんのハヤシライスはトマトソースだったので、「ハヤシライスはトマトソース」というイメージがあったのですが、
社会人になってからハヤシライスの食べ歩きをしてみると、ダントツにデミグラスソースが多かったです。
デミグラスソースでもトマト味を強くしたものもあったりで、ハヤシライスの味付けは料理をする側のお好みといった感じです。
「ハッシュドビーフをアレンジしたものがハヤシライス」
というほうがわかりやすいかもですね。
ハッシュドビーフをかけたライス(ご飯)がなぜ、ハヤシライスと呼ばれるようになったのかには諸説あります。
ハヤシライスのハヤシは「ハッシュ」がなまって「ハヤシ」になった、
明治時代の実業家であり医師でもあった早矢仕有的(はやし・ゆうてき)氏が考案したから、
といった説が有名です。
早矢仕有的氏は書店『丸善』創業者としても広く知られています。
『丸善』は1869(明治2)年、早矢仕有的氏が横浜に医学書を中心とした洋書の輸入販売店を開いたのが始まりです。
わたしはよく『丸善』で「丸善のハヤシライス」の缶詰を買っていたのですが、2016年からはレトルトパックシリーズも販売されたので、今はレトルトを買う方が多くなりました。
缶詰だと資源ごみに分けなければいけませんが、レトルトだとそのまま捨てられるから、というのが理由です^^
もちろん、味は同じ。
缶詰もレトルトも「本型」の化粧箱に入っているので、ギフトにも喜ばれますよ。
◇ ハヤシライスを取り扱っている丸善はこちら。
・丸善の洋食シリーズ「新厨房楽」ハヤシライス お取り扱い店舗のご案内
https://www.maruzenjunkudo.co.jp/info/20171026-01/
ビーフストロガノフとは?
ハヤシライスとくれば、ビーフストロガノフを連想する人も多いかもです。
ビーフストロガノフはロシア料理の代表的なメイン料理で、牛肉と玉ねぎ、マッシュルームをサワークリームで煮たものが定番ですが、
トマトソースやデミグラスソースを加えるなどいろいろな形のアレンジがあります。
パンやバターライスなどと一緒にいただきます。
ビーフシチューとハヤシライスとハッシュドビーフの違いは?まとめ
『ビーフシチュー』と『ハッシュドビーフ』と『ハヤシライス』の違いは
『ビーフシチュー』……大きめに切った牛肉や野菜を長時間煮込み、デミグラスソースをメインに味付けした料理
『ハッシュドビーフ』……薄切り、または細切りの牛肉や野菜を軽く煮込み、デミグラスソースをメインに味付けした料理
『ハヤシライス』……ハッシュドビーフをご飯にかけた料理、もしくはハッシュドビーフをアレンジした料理
同じく牛肉を使ったビーフストロガノフはロシアの代表的なメイン料理です。
食事にも温かいものがうれしい季節、
ほろほろとろとろに煮込まれたお肉と野菜の旨みが味わい深いビーフシチューや、
薄切り牛肉と野菜の味を楽しめるハッシュドビーフ・ハヤシライスでほっこりするのもいいですね。