沖縄の旧正月とはどういうもの?
どんなことをするの?
2020年はいつ?
仕事や学校は休みになるの?
その疑問、解消します!
そもそも旧暦とはなんなのか、
旧正月をお祝いする意味、
旧正月を祝う習慣が色濃く残っている地域も含めて、
わかりやすくお伝えします。
沖縄の旧正月とは?
旧暦の1月1日を『旧正月』と言います。
学生時代、ゼミに沖縄出身の女の子がいて、彼女から聞いて初めて、沖縄では旧暦の1月1日にもお正月をお祝いしていることを知りました。
「2回もお正月があっていいな~」
とみんなでうらやましがったのですが、住んでいる地域によっても旧正月の重要度は異なるようです。
もちろん、普段の暮らしは新暦(太陽暦)をベースに動いているわけですが、沖縄では行事や神事などは旧暦で行われているものが多くあります。
そもそも旧暦とはなに?
現在、日本を含め多くの国で使われている暦は、古代エジプトを起源とするグレゴリオ暦で、太陽の運行をもとにした『太陽暦』です。
わたしたちが普段つかっているこの太陽暦は『新暦』とも呼ばれます。
『旧暦』とは、月の満ち欠けで時を刻む『太陰暦』が基本になっています。
太陽暦(新暦)が1873年(明治6年)に採用される以前の日本では、月の満ち欠けをもとに、季節をあらわす太陽の動きを加味して作られた『太陰太陽暦』が使われていました。
古代の人々は、太陰暦をもとに季節の移り変わりを見ながら、陸では農作物の種まきや収穫、海では漁のタイミングの目安にしていたのです。
太陰太陽暦では、月が新月になる日を月の始まりと考え、各月の1日としました。
新月の翌日を2日、その次の日を3日、その次の日を4日と数えたのです。
そして、次の新月の日がやってくると、それを次の月の1日としました。
ですが、新月から新月までは平均して約29.5日の間隔です。
12ヶ月間では
約29.5日×12ヶ月=約354日
太陽暦の1年(365日)よりも、約11日短くなりますね。
このままカウントしていくと、だんだんと季節がずれていってしまうことになります。
そこで太陰太陽暦では、暦と季節のずれが大きくなってきて、日数がひと月分に近くなると、『閏月(うるうづき)』というものを入れて、ずれを修正しました。
閏月を入れると、その年は13ヶ月間あるということになります。
平均すると、閏月は19年に7回(2~3年に一度)ぐらいの割合で入るのですが、
このような修正をすると、現在の暦(新暦)と旧暦の太陰太陽暦では、同じ日付であっても、換算すると、年ごとに違う日付になるわけです。
そのため、旧暦の○月△日が、新暦の□月×日になったりするんですね。
現在でも、太陰太陽暦で行っていた行事や習慣は、私たちの生活の中にあります。
例えば、『七夕』は、本来、太陰太陽暦の7月7日に行っていたものが、新暦になっても7月7日(一部の地域では8月7日)に行われています。
◇七夕についてはこちらの記事をご参考に。。
・七夕を8月7日に行うのはなぜ?その理由と月遅れの地域をリストでご紹介!
とても美しい月として古くから鑑賞されてきた『中秋の名月』は太陰太陽暦の8月15日、旧暦の8月15日の夜の月のことです。
新暦の8月15日では、その日が満月とは限りません。
◇ 中秋の名月について詳しくはこちら。
・十五夜2020年のお月見はいつ?中秋の名月は満月とは限らない?
・十五夜にお月見をする意味と由来!なぜ中秋の名月や芋の名月と呼ぶ?
日常で旧暦(太陰太陽暦)は使われなくなりましたが、このように昔からの習慣として伝統的に続いているものがたくさんあります。
旧暦と沖縄の旧正月
旧暦(太陰太陽暦)は琉球王朝時代に沖縄へともたらされ、この暦に基づくさまざまな祭事・行事が行われるようになりました。
お正月も然りで、沖縄では長い間、旧正月をお正月としてお祝いしてきました。
旧正月のことを沖縄の方言で「ウチナーソーグヮチ」といいます。
沖縄が本土に復帰する前、琉球政府によって『新正月一本化』が推奨され、
1972年(昭和47年)、沖縄がアメリカから日本に返還された際は、祭事や行事は新暦(太陽暦)を優先するよう、通達がなされました。
その通達によって、新暦の1月1日にお正月を祝うことが主流になったのですが、一方で、神仏への御願のために旧正月と新正月の両方を祝う家庭もあります。
地域によっては旧正月のほうを豪華にお祝いする伝統も残っています。
沖繩の旧正月は、新年をお祝いする意味の他に、一年間の健康を祈る『健康祈願』や、『大漁祈願』、『五穀豊穣』を願うものでもあります。
沖縄の旧正月2020年はいつ?
旧暦と新暦では1年の長さが違うので、旧正月は毎年違う日になります。
2020年の旧正月は1月25日(土曜日)です。
今の沖縄は殆どが新暦でお正月をお祝いしますが、上述のように一部の地域はでは旧正月でお祝いをします。
なので、地域によっては2回、お正月があるんですね。
旧暦のお正月をお祝いする文化は、糸満市など漁港がある地域や、 農村部の地域などに色濃く残っているようです。
月の満ち欠けを基にした旧暦は、海との関係も深いことから、沖縄本島の最南端に位置する糸満市では、昔から旧正月を盛大にお祝いしています。
糸満漁港では停泊している漁船には色鮮やかな大漁旗が掲げられ、1年の豊漁と安全を願います。
旧正月を祝うところでは、旧正月にお年玉をあげるところもあり、それらの地域ではこの時期までお年玉袋が売られています。
以前、職場に糸満市出身の30代の男性がいたんですが、彼のところでは、新暦の1月1日と、旧正月の両方でお年玉をもらっていたと言ってました。
2度もらう分、お年玉の金額は少しだと笑っていましたが、あげる側になるとそれはそれで大変ですよね^^;
2020年~2025年までの沖縄の旧正月は以下のとおりです。
- 2020年:1月25日
- 2021年:2月12日
- 2022年:2月1日
- 2023年:1月22日
- 2024年:2月10日
- 2025年:1月29日
沖縄の旧正月は休みになるの?
旧暦の1月1日を『旧正月』と言いますが、実はこの呼び方は日本だけのこと。
中国をはじめとする多くのアジア圏では旧正月を『春節(しゅんせつ)』と呼び、今でも新年を祝う大事な日です。
◇ 中国の春節について詳しくはこちら。
・中国の春節2020年はいつ?休み期間はいつからいつまで?
春節は、ほとんどの国で祝日となっていますが、沖縄の旧正月は休みにはなりません。
人々は平常モードで、普通に通学して普通に通勤、役所もお店も銀行も普段と同じ営業時間です。
旧正月に休みをとっているのは、那覇市公設市場だけですが、例年、雑貨部は営業しています。
また、沖縄の中でも上述の糸満市など、旧正月を祝う風習が残っている地域では、個人経営のお店は閉まっていることもあります。
ちなみに、春節のお休みは、中国では旧暦大晦日から7日間、
香港・シンガポールは旧暦元日から3日間、
韓国は旧暦大晦日から3日間、
ベトナムは旧暦大晦日から4日間と長いものになっています。
最近の沖縄の旧正月は、この春節の休みを利用して沖縄に来る中国や東南アジアからの観光客も多くなっています。
沖縄の旧正月とは?2020年はいつ?仕事や学校は休みになるの? まとめ
旧暦の1月1日を『旧正月』と言います。
旧暦とは今の新暦(太陽暦)が1873年(明治6年)に採用される以前の日本で使われていた暦(太陰太陽暦)のことです。
沖縄では長い間、旧正月をお正月としてお祝いする伝統があり、現代にも続いています。
旧暦と新暦では1年の長さが違うので、旧正月は毎年違う日になります。
2020年の旧正月は1月25日(土曜日)です。
沖縄の旧正月は休みにはならず、学校や職場は通常どおりで、役所もお店も銀行も普段と同じ営業時間です。
旧正月はお祝いの日ですが、休みではないので、各家庭ではラフテーやソーキ汁、中身汁などの沖縄ならではの料理を作って新年のお祝いをします。
旧正月の頃、沖縄では、ちょうど桜の時期と重なります。
沖縄の桜は、濃いピンクの花をつけるのが特徴の『緋寒桜』。
『ソメイヨシノ』とはまた違った風情が楽しめるので、お花見を兼ねて、沖縄の「お正月」を体験するのもいいですね。