乳児と幼児と児童の違いとは?
保育園によって乳児と幼児の年齢区分が違うのはなぜ?
幼児は何歳まで?
その疑問、解消します!
乳児と幼児と児童の児童福祉法による定義、
一般的な解釈、
旅行や娯楽施設などの料金の扱いについても、
わかりやすくお伝えします。
乳児と幼児と児童の違いとは?
このあいだ友人に第二子の赤ちゃんが生まれ、お祝いの席で乳児と幼児の違いが話題になりました。
乳児と幼児、保育園によっても区分が違ったりするんですよね。
友人が長男を預けている保育園では0~2歳児クラスが乳児、3~5歳児クラスが幼児。
別の友人が預けている保育園は、0~1歳児クラスが乳児、2~5歳児クラスが幼児でした。
子どもの区分については病院などの医療機関や公的機関などでも「新生児」「乳児」「幼児」「児童」と呼びわけがありますが、
「乳児」と「幼児」と「児童」は、昭和23年1月1日に施行された児童福祉法で以下のように定義されています。
この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一 乳児 満一歳に満たない者
二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者
ここでいう「就学」とは小学校にはいることを意味しています。
保育園の区分とは異なりますが、
「乳児」と「幼児」と「児童」の意味を、ひとつひとつお伝えしますね。
乳児とは?
「乳児」とは、前述の児童福祉法第4条第1項で「満一歳に満たない者」と定義されています。
より具体的に言うと、「乳児」は生まれてすぐから満1歳になる前日(0歳11カ月の最終日)までの子どものことをいいます。
つまり、生後1年未満の赤ちゃんですね。
1965年(昭和40年)8月18日に施行された母子保健法の第6条第5項では、さらに出生後28日未満の「乳児」を「新生児」と定義しています。
該当する箇所を下記に引用しますね。
第六条 この法律において「妊産婦」とは、妊娠中又は出産後一年以内の女子をいう。
2 この法律において「乳児」とは、一歳に満たない者をいう。
3 この法律において「幼児」とは、満一歳から小学校就学の始期に達するまでの者をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、乳児又は幼児を現に監護する者をいう。
5 この法律において「新生児」とは、出生後二十八日を経過しない乳児をいう。
6 この法律において「未熟児」とは、身体の発育が未熟のまま出生した乳児であつて、正常児が出生時に有する諸機能を得るに至るまでのものをいう。
(平一一法一五一・一部改正)
「乳児」は文字通り、乳飲み子です。
母子保健法では「乳児」を出生からの日数で定義していますが
一般的にはミルクや母乳で育ちながら、年齢に関係なく歩きだすころまでを「乳児」と言うこともあります。
ちなみに、保育園では乳児期から預けることが可能ですが、幼稚園では乳児を保育することはできません。
乳児保育ができるのは保育園だけなんですね。
幼児とは?
「幼児」とは、前述の児童福祉法第4条第1項で
「満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者」
と定義されています。
1歳のお誕生日の前日までが「乳児」、
満1歳のお誕生日を迎えた日から小学校に入学する前までの子どもが「幼児」となります。
小学校にあがる前ということなので、基本的には6歳くらいまでの子どもが「幼児」にあたります。
ただ、これは児童福祉法上の区分です。
旅行などでホテルを使う時や
飛行機やバスなど交通手段の料金区分、
他にもアミューズメントパークなどで料金表記で「幼児」が区分として使われることがあります。
この場合の「幼児」の定義は実にさまざま。
業界や業種、運営側によっても異なっているので、児童福祉法にのっとった年齢区分とは異なることがあります。
旅行業界で言うとたとえば、
『楽天トラベル』では0歳~1歳までを「幼児」としていますが
日本最大級の旅行予約サイトの『じゃらんnet』では、ホテルやトラベルパッケージなどの「幼児」という表記は0歳~未就学の児童を指しているといいます。
同じ旅行業界でもずいぶん違いますよね。
ちなみにJR(日本国有鉄道)の旅客営業規則によると、年齢別の旅客区分は以下のようになっています。
第73条
旅客運賃、急行料金又は座席指定料金は、次に掲げる年齢別の旅客の区分によって、この規則の定めるところにより、その旅客運賃・料金を収受する。
大人 12才以上の者
小児 6才以上12才未満の者
幼児 1才以上6才未満の者
乳児 1才未満の者
2
前項の規定による幼児又は乳児であっても、次の各号の1に該当する場合は、これを小児とみなし、旅客運賃・料金を収受する。
(1)幼児が幼児だけで旅行するとき。
(2)幼児が、乗車券を所持する6才以上の旅客(団体旅客を除く。)に2人を超えて随伴されて旅行するとき。ただし、2人を超えた者だけ小児とみなす。
(3)幼児が、団体旅客として旅行するとき又は団体旅客に随伴されて旅行するとき。
(4)幼児又は乳児が、指定を行う座席又は寝台を幼児又は乳児だけで使用して旅行するとき。
(5)幼児又は乳児が、第140条の2及び第140条の3の規定により当社が確保した座席を使用して旅行するとき。
3
前項第4号の場合の座席又は寝台の使用区間の起点又は終点が当該列車の停車駅と停車駅の中間となる場合は、第71条第1項第2号の規定を準用する。
4
第2項の場合の外、幼児又は乳児に対しては、旅客運賃・料金を収受しない。
5
特別車両料金、寝台料金及びコンパートメント料金は、旅客の年齢によって区別しない。
JRの料金区分だと6歳になると「小児(しょうに)」となっていますね。
「小児」については後述します。
もともと「幼児」という言葉自体、昔から「幼い子」全般を意味する用語としても使われてきた言葉です。
そのせいもあってか、区分としてはまちまちなところがあります。
なので、料金にかかわる「幼児」はその都度、確認するように心がけておきましょう。
先述の保育園の年齢区分も同様で
保育園の年齢区分は法律によって線引がされているものではないので
あくまでその保育園の方針による年齢区分だということを認識しておくといいですね。
児童とは?
「児童」とは、前述の児童福祉法第4条第1項では
「満18歳に満たない者」
と定義されています。
その「児童」の中に1歳未満の「乳児」も
満1歳以上小学校就学前の「幼児」も含まれているんですね。
また、児童福祉法第4条第3項には
とあります。
「乳児」でも「幼児」でもない「児童」は、「少年(少女)」と呼ばれることもあります。
ちょっと物騒ですが、たとえば全国の警察には「少年課」という部署があります。
「少年課」では主に18歳未満の児童による防犯・保安を扱っています。
また、学校教育法では、満6歳になった翌日以後の学年の初めから、12歳になった学年の終わりまでを学齢児童と呼んでいます。
小児とは
前述のJRの料金区分にも出てきた「小児(しょうに)」。
「小児」は主に医学用語として使われることが多い言葉です。
病院の「小児科」や
子ども特有のぜんそくの「小児ぜんそく」など
言葉の意味としては「子ども」と同じような意味合いで使われています。
ちなみに、一般的には小児科に受診する年齢は15~20歳程度までですが、小児科特有の慢性疾患を有している場合は成人しても通院することがあります。
小人とは
運賃・料金区分の1つに「小人」があります。
地下鉄やバスの料金表で「大人◯◯円」「小人◯◯円」といった表記を目にすることがあるかと思います。
一般的に、公共施設や公共交通機関の料金区分で使われる「小人」は小学校6年生までを指します。
ちなみにこの場合の「小人」は「しょうにん」と読みます。
対して、「大人◯◯円」となっているところの「大人」は「だいにん」と読むのですが、
チケットを購入するときに「だいにん1枚、しょうにん2枚」といった言い方はしませんよね(笑)
最近では「おとな」「こども」と書かれているところも多くなってきました。
乳児と幼児と児童の違いとは?小児や小人の年齢区分の定義もご紹介 まとめ
児童福祉法では満18歳未満を児童として、以下の3つに区分しています。
- 乳児:満1歳に満たない者
- 幼児:満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
- 少年:小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者
児童福祉法の上では上記のような区分がされていますが、
保育園やトラベル関係、交通機関、アミューズメントパークなどの娯楽施設などでも年齢区分はさまざまです。
書物や関連機関によっても表現が違ったりすることもあります。
小さな子どもの呼称は、「赤ちゃん」「新生児」「乳児」・「幼児」・「児童」・「少年」・「少女」・「小児」・「小人」などたくさんあります。
民間では明確なルールがあるわけではないので、
子どもがどの時期にあたるのか、
その都度、場面によって年齢の区分を確認することが必要ですね。