秋の味覚、秋刀魚が美味しすぎる理由は?
1年中見かける秋刀魚が最も美味しいのはいつからいつまで?
脂の乗った濃厚な味の秘密は?
秋刀魚の塩焼きの香ばしい香りは焼き魚の帝王。
馴染み深い秋刀魚の美味しさの決め手を、わかりやすくお伝えします。
秋の秋刀魚が美味しい理由
秋は食べ物が美味しい季節です。
秋のさまざまな味覚の中でも 、海の幸といえば真っ先に、秋刀魚(さんま)が浮かびます。
旬の秋刀魚は脂が乗って、おいしいですよね。
漢字の『秋刀魚』は当て字で、
「さんま」のその姿形が、まさに刀のようで、秋に穫れる代表的な魚であることからついたものです。
焼きたての秋刀魚の塩焼き&ビールの組み合わせは最高、
炭火で味わう秋刀魚の塩焼きは格別の美味しさです。
春や夏は秋刀魚はどこにいる?
秋刀魚は季節によって広い範囲を回遊する魚としても知られています。
北太平洋に広く生息し、日本海を含む日本近海から、アメリカ大陸沿岸のアラスカおよびメキシコまでの海域に分布しています。
広域に生息している秋刀魚ですが、実は、その回遊経路は十分に解明されていないのです。
日本近海の秋刀魚の群れは、太平洋側では黒潮の暖流域で孵化(ふか)して、海流とともに北上します。
夏の間、秋刀魚はオホーツク海方面で回遊し成長していきます。
成魚になると、秋は産卵のために寒流(親潮)に乗って、太平洋側では東北、関東沖を通過し、近畿・九州沖までに南下します。
ちなみに、この産卵も実態が未だ十分に解明されていません。
一度に全ての卵を産卵するのか、あるいは複数回に分けて産卵するのか、などもハッキリとは確定されていません。
身近な秋刀魚ですが、生育の過程は、まだまだ究明されてないことが多い魚なのです。
秋刀魚が秋においしくなる理由
秋刀魚は年中漁獲されているわけじゃなく、漁期(ぎょき・りょうき)があります。
秋刀魚の漁期は秋口から冬にかけて。
サンマ漁船は北海道よりも北の海域で漁をし、各港に水揚げします。
8月末頃、秋刀魚は北海道の東で最初に水揚げが始まります。
それから徐々に南下して、三陸沖で水揚げをします。
こちらは三陸、気仙沼漁港の画像です。
気仙沼のサンマは大型で脂ののりが良く美味しいと評判です。
三陸沖の海は、親潮と黒潮がぶつかる世界三大漁場。
秋刀魚が好むエサが豊富で、そのため秋刀魚に脂が乗るのです。
ちなみに、世界三大漁場とは、世界に多数存在する漁場の中でも特に漁獲種の多い優良な漁場のことで、「ノルウェー沖」、「カナダ・ニューファンドランド島沖のグランドバング」、そして三陸・金華山沖です。
秋刀魚が北海道から三陸沖に水揚げされるのは、8月末から10月中旬頃まで。
豊富なプランクトンなど、エサをたっぷり食べたこの期間の秋刀魚は太って、脂が一番乗っています。
秋刀魚の美味しさは、
「脂がどれくらい乗っているのか?」
で判断されます。
- 7月~8月(北海道で秋刀魚漁業が始まる時期) ⇒ 脂:約10%
- 9月~10月(関東付近で1番獲れる時期) ⇒ 脂:約20%
夏場と秋、たった2ヶ月違うだけで、脂の量が2倍も違いますね。
新さんまとは?
旬より以前に獲れるさんまは一般的に「新さんま」と呼ばれます。
脂の乗りが旬の時期ほどではありませんが、刺身で食べたり、酢で締めたりするのには向いています。
秋刀魚は年中店頭に並んでいますが、秋刀魚の漁獲期は夏から秋。
その他の時期に販売されているものは、漁期に漁獲したものを冷凍保管し、冷凍のまま、もしくは店内で解凍して販売しているのです。
解凍したものには必ず「解凍」ラベルがつけられますので、注意してみるとすぐわかりますよ。
秋刀魚が美味しい秘密とは?
マイワシの寿命は8年、マサバの寿命は11年と言われています。
では、秋刀魚の寿命はどの位だと思いますか?
↓
なんと秋刀魚の寿命は約2年!
1年~1年半とも言われています。
5年以上生きるマアジやマイワシなど、他の大衆魚と比べても、秋刀魚の寿命はとても短いのです。
そして、この、とても短い寿命に秋刀魚独特のおいしさの秘密があると言われています。
秋刀魚は、鹿児島から福島の沖合の黒潮海域で生まれ、北上します。
寿命が短い秋刀魚は、早く成長して大人になって、子孫を残さなければなりません。
そのため、北海道沖合の栄養豊富な海域でエサをいっぱい食べ、体力をつけるため脂を一気に蓄えていきます。
そのときの秋刀魚の脂の含有量は、上述の20%どころか、30%に達することもあるとか。
30%の脂の含有量は、マグロのトロに匹敵する量です。
このように、旬と言われる9月~10月は秋刀魚の脂乗りが抜群の時期。
味のバロメーターでもある脂乗りがピークにある秋刀魚が、美味しくないわけがないのです。
秋刀魚が美味しいのはいつまで?
三陸では9月の走りは価格が倍程で取引されますが、水揚げが安定する中旬には価格は半額程度まで下がります。
秋刀魚の一番脂ののっている時期は9月の走りから10月末まで。
旬が終わりに近づくと同時に、秋刀魚の脂ののりも少なくなってきます。
秋刀魚の旬の時期が過ぎ、11月以降になると、秋刀魚は関東より更に南下し伊豆や紀伊半島近くに移動します。
そのあたりで獲れた秋刀魚は、
「痩せ秋刀魚」
と呼ばれ、
脂の含有量も5%以下の痩せ細った個体が目立ちます。
旬を外れた秋刀魚は脂も減ってサイズも小さくなります。
脂が減っているため加工品に適しており、「干物」などの加工品用に多く使われます。
干物は干物で味わい深く、秋刀魚の味が凝縮されておいしいものです。
生の秋刀魚の醍醐味ということであれば、やはり味わえるのは旬の9月~10月がピークですね。
11月くらい迄なら美味しく食べられるとも言えますが、
この時期になると、脂の乗った時期に新鮮なまま凍結した解凍ものも出回っています。
ある意味、秋刀魚は年間を通して美味しく食べられるとも言えるのです。
秋の秋刀魚が美味しい理由と美味しくなる濃厚な脂の意外な秘密とは? まとめ
全国の秋刀魚の水揚げ量を見ると、全体の半分以上が北海道です。
秋刀魚に脂が乗って最もおいしいのは9月~10月。
寿命の短い秋刀魚が、一生懸命蓄えたおいしい脂を口にできることは、とても贅沢なことに思えます。
秋刀魚には、血液をサラサラにするといわれる不飽和脂肪酸EPAや、体内の悪玉コレステロールを減らし、脳細胞を活性化させ頭の回転をよくする効果が期待できるDHAが豊富に含まれてます。
脂の乗ったおいしい秋刀魚、余すところなく味わいたいですね。
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