内のしと外のしの違いは?
なぜ内のしと外のしと2種類あるの?
どのように使い分けるべき?
正しいマナーは?
その疑問、解消します!
内のし・外のしの意味が持つ印象、
贈答品の渡し方による違い、
のし紙の最適な選び方も含めて、
わかりやすくお伝えします。
内のしと外のしの違いとは?
お中元やお歳暮、結婚・出産・引っ越し祝い、法事法要などなど、ギフトや慶忌時のお返しに『熨斗(のし)』をかける場面があります。
店員さんに
「内のし・外のし、どちらになさいますか?」
と確認されますが、その都度、どっちにしたら良いのか迷うこともありますよね。
「のし」が必要ないときはいいのですが、贈る人やお祝いの内容によってもどちらがいいのか、どう違うのか、わからないまま贈ってしまうこともあるかもしれません。
内のしと外のしの違い
のしの包装には、包装紙の内側にのし紙をかける『内のし』と、包装紙の外側にのし紙をかける『外のし』があります。
- 内のし:包装の内側にのしをかけるスタイル
- 外のし:包装の外側にのしをかけるスタイル
のし紙が、包装紙の「内」と「外」どちらにあるのか?によって名称に違いがあるんですね。
内のしとは?
内のしは、直接品物にのし紙をかけてから包装紙で包みます。
の順番です。
品物に直接のし紙をかけて、それを包装紙で包むので、のし紙は直接見えません。
包装紙などなかった昔は、品物にのし紙を直接かけて、風呂敷に包んで相手の家に持参して手渡しで贈りました。
昔ながらの贈り方で言えば、品物に直接のしをつける内のしの方が本来の贈り方に近いとも言えます。
外のしとは?
外のしは、品物を包装してから、その包装の上にのしをかけます。
の順番です。
目的や贈り主がすぐわかるので、引越しやお年賀などのあいさつ品などは外のしが一般的です。
内のしと外のしの意味が持つマナーとは?
のし紙を贈答品にかけるのは、鎌倉から室町時代に定められた礼法です。
昔から引き継がれている正式なマナーですが、内のし・外のしと使い分けるのが普及したのは、贈答品を宅配便などで配送するようになってからのことです。
内のしと外のしは、どちらがどのような場面で使われるべきなのかは、はっきりとした決まりごとはありません。
のし紙をかけることが大切であり、内のし・外のしの使い分けには厳密な決まりはないのです。
どちらが良いのかは、いろいろ贈る気持ちや場面によって違ってきます。
ですが、昔ながらの風習とか、地域によっての作法はあります。
また、「親や親族がそうしてきたから」という家族間の習わしがある場合も少なくありません。
贈り物をする場合は、相手方の慣習を調べておくのがベストですが、なかなかそうもいかないものです。
考え方として、
- 内のし:控え目にしたいとき
- 外のし:強調したい(目立たせたい)とき
というふうに使い分けるのが一般的です。
内のしにする意味
内のしは表書きが包装紙で隠れるため、控え目な印象になります。
内祝いであれば、控えめに見える内のしの方が好まれます。
内祝いというのは、主に自分に慶事があったときに幸せをお裾分けするもの。
たとえば、結婚や新築した場合、病気が回復した場合などですね。
また、前述のように、本来贈答品は、のしを添えて、風呂敷に包んで持参するものでした。
時代の流れの中で、風呂敷が包装紙に変わり、今は、百貨店や通販から宅配ができるようになりました。
そのため、
『配達中にのし紙が破けたりしないように内のしが生まれた』
と言われています。
このように、そもそも昔は包装紙がなかったので、内も外も無かったんですね。
また、のし自体の性質としても「やぶれる・傷む・汚れる」といったデメリットがあります。
のしは紙なので、出し入れしている時に、かどがめくれたり、やぶれたりといった可能性が高くなります。
包装をしてくれる店員さんたちは、のし紙をかける時でさえ、慎重に気をつけるのです。
なので、内のしにするのは礼儀の面よりも、出し入れの時に気を使わないためという実務的な面もあるわけです。
一方、弔事の場合も、お供えと当日返し以外は、内のしが使われるのが一般的です。
- 控えめに品物を贈るとき
- パーソナルに渡すとき
- 宅配で品物を贈るとき
外のしにする意味
包装紙の上からのし紙をかけている外のしは、一目で用途がわかります。
どのような目的で贈ったのかがすぐに分かることから、贈り物を強調したいときなどに使用されます。
結婚祝いや出産祝い・結婚式のお返し・大会の景品・大口の記念品・開店のお知らせ・選挙の陣中見舞いなど、名前を広めたり、多くの人に渡す場合は外のしが適切です。
また、直接手渡しで贈り物を渡すときも外のしが使われます。
ちなみに、群馬ではギフトの持ち帰りの多くは外のしです。
理由は、いただいたものを床の間に飾る風習があるからということで、これは地域性ですね。
■ 弔事で外のしを使う場合
基本が内のしの弔事でも、外のしにする場合もあります。
1.「お供え」の場合
仏さまに供えるとともに、家に供養に来るお客さんや僧侶に、誰が心遣いをしてくれているかを見てもらうことができます。
お供えの場合は、人に見せることをも意図しているため外のしにします。
2.「葬儀の当日返し」の場合
準備がスムーズになるからなど、業者側の都合の側面が大きいと思われます。
- 贈り物を強調したいとき
- 直接渡すとき
- 一目でわかるようにしたいとき
内のしと外のしの使い分け方は?
内のしと外のしの使い分け方の基本は、
「配送で贈る場合は内のし」
「持参する時は外のし」
となります。
ですが、前述のように、内のし・外のしの使い分けには土地柄や地域性、その家のならわしによるところが少なくありません。
「内祝いは内のし、それ以外のお祝い事は外のし」
という考え方もありますし、
「関東は外のし、関西は内のしを好む」
とも言われます。
京都生まれ京都育ちのわたしの友人は外のし派で、
「何の目的で、誰からなのかを先方が見て分かるように外のしにする」
と言ってました。
伝票を見れば誰から来たかわかっても、宅配だと伝票のためにもう1枚包装することになり過剰包装になっても、それでも自分は外のし派だと(笑)。
同じく関西出身の同僚♂は、
「外のしでもらう方が、使い回し出来てええねん」
と、おかあさんに教えられたとのこと。
確かにそうですね^^
わたし自身は東京ですが、外のしは何となくこれみよがしな感じがするので、どちらでもいいのであれば、内のしを選びます。
ホントはパッと見ですぐわかる外のしが良いのかも、と思いつつもですが。
わたしが外のしを使うのは主に法事関係です。
しばらくお供えされますし、包装紙を剥がさなくても、すぐに、誰からいただいた品物なのか先方がわかるからです。
また、法事は一度に多くの方が品物を贈るので、先方が整理しやすいのではとも思うからです。
お中元とお歳暮、内祝いは内のしを使っています。
それ以外の贈答にはのしはつけません。
学生の頃、ギフト売り場のアルバイトをしたことがありますが、社員の店員さんたちは、お客さんがたずねる土地の事情にも詳しかったです。
なので、内のし・外のしのどちらか迷ったときは、店員さんに聞いてみるのもおすすめです。
わたしの経験から言っても、記念品や景品は外のしですが、個人間のやりとりでは、弔事のお供えを除いては内のしが主流です。
内のしと外のしの違いでわかる熨斗のマナー迷った時の使い分け方は?まとめ
内のしと外のしには、「こうするべき」と決まっているマナーがあるわけではありません。
どちらがどのような場面で使われるべきなのか、ということに決まりごとはないのです。
のし紙のかけ方は地域や家のしきたり、考え方などによっても異なります。
内のし・外のしの使い分けで失礼にあたることはありませんが、人によって受け止め方や捉え方、感じ方はさまざまです。
内のしと外のしで迷った時は、両親や年長の親戚などの身近な人や、店員さんに相談してみましょう。
先方の地域や考え方に合わせて、用途や場面に応じた使い分けができるといいですね。
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