無水エタノールと消毒エタノールとエタノールってどこが違うの?
使い途によって使い分けするべき?
その疑問、解消します!
消毒用エタノールが安い理由、
性質による使い分け方、
無水エタノールを消毒エタノールにする作り方も含めて、
わかりやすくお伝えします。
無水エタノールと消毒用エタノールの違いは?
インフルエンザや風邪対策、感染症、食中毒の予防などで「アルコール消毒」が必要な時、
ドラッグストアに行くと、『無水エタノール』と『消毒用エタノール』を示されて、どっちがいいのか迷うこともあるかと思います。
消毒に使ったり、掃除に使ったり、コスメ作りに使ったり、と幅広く使われているエタノール。
エタノールというのは、アルコールのことです。
アルコールとは?
「アルコール」・「エタノール」・「エチルアルコール」・「酒精」、これらはそれぞれ呼び方は違いますが、いずれも同じものです。
一般的にはアルコールといえばエチルアルコールを指します。
アルコールは、炭化水素の水素原子を水酸基で置換した化合物の総称。
ちょっと難しいですね。
お酒=アルコール
という方がわかりやすいかもです。
アルコールはお酒の成分と同じなので口に入っても安全です。
アルコールに引火して火事になる、などアルコールは燃えやすいことでも知られていますね。
- お酒と同じ成分なので安全
- 無色透明
- 芳香がある
- 揮発しやすい
- 致酔性がある(飲むと酔う・酔いに到らしめる)
- 引火すると青白い炎を出してよく燃える
- 悪臭やすすを出さない
- 殺菌・消毒効果がある
- 油をよく溶かし、水となじむ
- マイナス114度以下でなければ凍らない
エタノールとは?
「エタノール」は国際化学命名法の呼び名です。
同じものを指す「エチルアルコール」は慣用名(一般的に使われている)、「酒精」は日本語の名称です。
先述のように、「アルコール」・「エタノール」・「エチルアルコール」・「酒精」といろんな呼び方をされていますが、どれも同じものです。
無水エタノールとエタノールと消毒用エタノールの違いは?
エタノールを購入しようと、いざ買いに行って初めて、エタノールに種類があることを知る人も少なくありません。
無水エタノール、エタノール、消毒用エタノール。
これらの違いはアルコール濃度の違いです。
日本では国が制定した規格に合格したエチルアルコールを、アルコールの濃度によって、次の3種類に分けています。
- 無水エタノール:15℃でエタノールを99.5v/v%以上含む
- エタノール:15℃でエタノールを95.1~95.6v/v%含む
- 消毒用エタノール:15℃でエタノールを76.9~81.4v/v%含む
※ v/v%は消毒薬の濃度を示す単位
POINT!
エタノールは空気中の水分も吸収しやすい性質があるため、無水エタノールでも100%にはなりません。
なぜ、エタノールは種類によって値段が違うの?
店頭で比べるとわかりますが、無水エタノールと消毒用エタノールは結構値段が違います。
その理由は、無水エタノールには酒税がかかっているからです。
ウィキペディアによると、酒税は以下の定義です。
同法の酒類とは、アルコール分1%以上の飲料とされ、薄めてアルコール分1%以上の飲料とすることができるもの(酢エタノール製剤用のアルコールは除かれる)、または、溶解してアルコール分1%以上の飲料とすることができる粉末状のものを含むもの、とされる。
無水エタノールは、要は純度の高いアルコール。
酒税相当額が課税されるんですね。
一方の消毒用エタノールは、アルコールを水で希釈している上に、消毒目的であれば、お酒として飲める必要はないということで、イソプロパノールなどの添加物を入れて飲めなくしているものがあります。
こういった飲用目的とならないものは酒税が免除されるので、その分値段に違いが出ているというわけです。
添加物が入っていない消毒用エタノールもありますが、その分酒税がかかるので、無水エタノールほどではなくてもそれなりの価格です。
無水エタノールと消毒用エタノールの使い分けは?
エタノールは濃度が違うと性質が変わってしまうので、用途や必要に応じて使い分ける必要があります。
前述したエタノールの性質のひとつに、
「油をよく溶かし、水となじむ」
というのがあります。
その性質を利用して、無水エタノールは、手作り化粧品を作る時によく使われます。
化粧水や香水作りなどに、精製水を加えて必要な濃度に調整します。
アロマテラピーの世界でも、無水エタノールは精油を水に溶けやすくするための溶剤として良く使われています。
殺菌消毒効果が最も高いとされる濃度になっている消毒用エタノールは、主に容器や器具、指先など皮膚の消毒、掃除などに使われます。
また、水にも油にも溶けやすいということは、水溶性の汚れにも油汚れにも使いやすいということでもあります。
無水エタノールは、水分がほとんど含まれていない揮発性の液体なので、パソコンや電子機器などの水を使えない製品の掃除にも利用できます。
- 無水エタノール:化粧水や香水作り、水が使えない家電製品などの掃除
- 消毒用エタノール:身体の消毒、キッチンなどの除菌・消毒、カビ掃除
無水エタノールは消毒に効果がないの?
結論から言うと、無水エタノールには消毒の効果はありません。
「エタノールの濃度が高いのにどうして?」
わたしも以前は、アルコール(エタノール)の濃度が高いほうが消毒の効果があると誤解していました。
エタノールは、濃度が高ければ高いほど蒸発しやすいと言われています。
使ってみるとわかりますが、無水エタノールは99.5パーセントのエタノール液体なので、蓋を開けているとすぐに蒸発してしまいます。
無水エタノールでは、すぐに蒸発してしまう上、皮膚の細胞膜への浸透率が低いので、ほとんど消毒効果がないのです。
インフルエンザなどのウイルスに対して、効果を発揮する前に蒸発してしまっては意味がありませんよね。
消毒用エタノールが80%程度に水で薄められているのは、エタノールの揮発を防ぐためです。
エタノールに水を加えることで効き目と揮発性を安定させ、殺菌消毒効果が最も高い濃度になっているのが消毒用エタノールというわけです。
両方購入しなくても、無水エタノールから、消毒用エタノールを作ることができます。
無水エタノールを消毒用エタノールにする作り方
無水エタノールは精製水で薄めることで消毒用エタノールにすることができます。
作り方は簡単で、無水エタノールを80%程度、精製水を20%程度で配合するだけです。
市販の消毒用エタノールには、水が約20パーセント含まれています。
なので、無水エタノールを精製水で薄めるその割合は、無水エタノール8に対して精製水2となります。
『無水エタノール:精製水 = 8:2』
これで、無水エタノールを消毒用エタノールにすることができます。
精製水は500mlで100円前後で購入できます。
イオン交換樹脂により精製し、UV殺菌した化粧用に精製した水もあります。
手など身体に付けるものは精製水を使うのがベストですが、キッチンまわりなどの汚れには、精製水でなく水道水でもかまいません。
ただ、精製水に比べると水道水は不純物が多いので、大量に作って長期間使うというのには向いていません。
無水エタノールと消毒用エタノールの違いは?代用方法と使い分け方のまとめ
「アルコール」・「エタノール」・「エチルアルコール」・「酒精」、これらはそれぞれ呼び方は違いますが、いずれも同じものです。
「エタノール」は国際化学命名法の呼び名です。
日本では国が制定した規格に合格したエチルアルコールを、アルコールの濃度によって、次の3種類に分けています。
- 無水エタノール:15℃でエタノールを99.5v/v%以上含む
- エタノール:15℃でエタノールを95.1~95.6v/v%含む
- 消毒用エタノール:15℃でエタノールを76.9~81.4v/v%含む
無水エタノールと消毒用エタノールの使い分け方としては、
- 無水エタノール:化粧水や香水作り、水が使えない家電製品などの掃除
- 消毒用エタノール:身体の消毒、キッチンなどの除菌・消毒、カビ掃除
となります。
両方購入しなくても、
『無水エタノール:精製水 = 8:2』
で、無水エタノールを消毒用エタノールにすることができます。
エタノールは消毒や掃除など、幅広い場面で活躍します。
無水エタノールと消毒用エタノールの違いを知っておくと、生活の中で使い方の応用もきくようになるので便利ですよ。
正しく使うためにも、製品に記載されている取り扱いの注意点をしっかりおさえた上で、暮らしの中に上手に取り入れてみてくださいね。
◇ エタノールが手に入らない時はこちらをご参考に。
・アルコール エタノールがない時のハイター除菌液の作り方!新型コロナウイルスにも