2月はなぜ28日までなの?
どうして2月だけ日数が少ないの?
なぜ2月は1日増えたり減ったりするの?
その疑問、解消します!
暦の歴史と2月の関係、
古代ローマの皇帝が及ぼした影響、
7月と8月が続いて31日になる理由も含めて、
わかりやすくお伝えします。
2月が28日までなのはなぜ?
年末年始と慌ただしくすごしていたら、あっという間に2月。
もう年度末はすぐそこです。
2月11日は建国記念の日、
2月23日は天皇誕生日、
2月には祝日が2日あるんですよね。
そして何より2月は28日までしかない!
うるう年は29日までですが。
とはいえ例年
2月のスケジュールはギッチギチ、
手帳を見るのも恐ろしい。。。
「それもこれも、2月が他の月よりも日数が少ないからだ!」
ついカリカリしてしまうんですが、
『2月は28日まで』
って当たり前すぎて、疑問にすら思われないですよね。
4年に一度、うるう年が巡ってきますが、
それだって、たった一日増えるだけ。
実は、他の月と比べて2月の日にちが少ないのには、
古代ローマが関係しています。
2月だけ28日しかないのも、
うるう年に日数が変わるのも、
いずれも古代ローマで使われていた暦が由来しているのです。
2月の日数が少ない理由とは?
なぜ2月だけ日数が少ないのかは、暦がどのようにできたのかと深い関係があります。
現在わたしたちが使っている暦は、2000年以上も前の古代ローマの暦が元になっています。
その暦が改良されながら、今の暦になっているので、
わたしたちには馴染みのない当時の外国の風習が残っているのです。
なぜ2月だけ28日か29日なのかについては、2つの理由があります。
- 古代ローマの暦では現在の2月が1年の終わりの月だったため
- ローマ皇帝に8月から1日取られてしまったため
ふたつとも、(゚Д゚)ハァ?? って感じでしょうか。
それぞれひとつずつお伝えしますね。
2月が1年の終わりの月だった?
前述のように、現在わたしたちが使っている暦は、古代ローマの暦が元になっています。
紀元前8世紀半ばまで使われていた『ロムルス暦』という暦では、
月は10ヶ月しかなく、
農業をしない冬の期間には月日が割り振られていませんでした。
今は一年の始まりは1月ですが、
ロムルス歴では3月が一年の始まりとされていました。
これは、作物の芽がでる春が、1年の始まりにふさわしいと考えたためだと言われています。
今の3月から12月にあたる月は、ロムルス暦の時代から存在していますが、
今の1月と2月にあたる月は、当時はまだなかったのです。
その後、『ヌマ暦』が誕生します。
ヌマ歴は、古代ローマの王、ヌマ・ポンピリウスによって制定されたもので、
ロムルス歴で使われていた10ヶ月に、
Ianuarius(英語のJanuary)とFebruarius(英語のFebruary)を追加して、
一年を12ヶ月としました。
ちなみに、この名残が英語表記の『月』にあります。
9月は英語で「September」ですが、
「Sept」というのは「7」のことです。
3月から数えると9月は7番目の月ですよね。
10月の英語「October」の「Oct」は「8」を意味します。
音程の8度を意味する音楽のオクターブ「octave」も同じ語源です。
このように、ヌマ暦の時点でも一年のスタートは3月。
3月で始まると、2月は1年の最後の月になりますね。
ヌマ暦では、それぞれの月の日数は29日か31日でした。
これは、偶数が古代ローマでは不吉な数字とされたことに由来すると考えられています。
ですが、年末にあたる2月の「Februarius」だけは例外で、28日しかありませんでした。
新しい年を迎える前月の「Februarius」は、祓いやお清めの月にあたることから、不吉な偶数でもいいとされていたようです。
不吉な数字を気にするわりには、最後の月が半端になってしまっても気にしないあたり、ある意味おおらかですね^^
ユリウス暦の誕生
古代ローマの英雄、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の時代、
ヌマ暦が季節に比べて2ヶ月以上も進んでしまい、
カエサルは改暦を行って『ユリウス暦』と呼ばれる暦を作ります。
全て31日にして12ヶ月に割り振ると、
372日(31×12)> 365日
となり、日にちが多すぎになってしまいます。
かと言って、全て30日では、
360日(30×12)< 365日
となるので、少なくなってしまいます。
カエサルはこの解決策として、
「奇数の月は31日、偶数の月は30日」
と交互にすることを考えました。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
---|---|---|---|---|---|
31 | 30 | 31 | 30 | 31 | 30 |
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
31 | 30 | 31 | 30 | 31 | 29?30? |
ここで2月を30日にすると、1年が366日になってしまいますよね。
なので、うるう年は2月を30日にして、
平年の2月は29日にすることにしました。
つまり、1年の最後の月である2月で調整したわけです。
カエサルは自分がこの暦を作った記念に、
自身の生まれ月である7月に自分の名前を残すことにします。
それまで、「5番目の月」という意味で呼ばれていた「キンテイリス(Quintilis)」を、
ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー:Julius Caesar)にちなんで、
ジュライ(July)としたのです。
この時、カエサルは、一年の始まりをそれまでの3月から、1月に変更することも決めました。
ローマ皇帝に8月から1日取られてしまった?
ユリウス・カエサルの後継者で、ローマの初代皇帝となったのはアウグストゥス(Augustus)。
アウグストゥスは、志半ばにして倒れた養父カエサルの後を継いで内乱を勝ち抜き、
地中海世界を統一して帝政(元首政)を創始しました。
アウグストゥスも、カエサルと同じように自分の名前を暦に残したいと思います。
8月生まれのアウグストゥスは、それまで、「6番目の月」という意味で呼ばれていた「セクスティーリス(Sextilis)」を、
アウグストゥス(Augustus)にちなんで、
オウガスト(August)としたのです。
7月と8月が続いて31日になる理由
さらに、アウグストゥスは自分の生まれ月が、シーザーの生まれ月の7月よりも短いことを不満に思い、8月も31日にすることにします。
そのため、そのあとの9月以降がひとつずつずれることになり、
9月~12月までも30日と31日が従来より逆となりました。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
---|---|---|---|---|---|
31 | 30 | 31 | 30 | 31 | 31 |
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
30 | 31 | 30 | 31 | 31 | 28 |
そうなると、8月で1日増やした分、一年の日数が増えてしまいます。
そこで、29日間としていた2月から1日を取ることにして、
2月は平年で28日、うるう年で29日となったのです。
2月が28日までしかないのはなぜ?日数が少ない意外な理由とは? まとめ
2月だけ28日しかないのも、
うるう年に日数が変わるのも、
いずれも古代ローマで使われていた暦が、
『現在の2月にあたる月が1年の終わりの月だったこと』
に由来しています。
何度か暦が作りかえられていくうち、
今のように1か月は30日か31日に変わったわけですが、
1年の中には短い月を1つ入れないと、365日になりません。
うるう年による調整も、
1年の終わりが2月で、そこで日数が調整されてきたことを考えると、納得ですね。
昔の暦については正確にわかっていない部分もあり、
今回ご紹介したカエサルやアウグストゥス自らが暦に影響を及ぼしたという説の他に、
カエサルやアウグストゥスではなく、ローマの政治家が月の名前を正式に決めたときに、日付も調整したという説もあります。
また、ヌマ歴からの2月の28日間には、古くから宗教的な意味合いの強い儀式や祭礼が多くあったため、
混乱を避けるため、2月の日数の変更を避けたという考え方もあります。
一年の中で一番短い月は2月。
わかっていても、毎年毎年、2月は本当に早く過ぎていきます。
古代ローマの暦が、こうして現代を生きるわたしたちの生活に影響するのはおもしろいですね。
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