10月22日が即位礼正殿の儀で祝日になった理由は?
即位礼正殿の儀とは?
即位の日との違いは?
その疑問、解消します!
1年限りの祝日ができた背景、
即位礼正殿の儀が行われる日の流れ、
即位の日と別日になっている事情も含めて、
わかりやすくお伝えします。
10月22日が即位礼正殿の儀で祝日になった理由とは?
2019年(令和元年)10月22日(火曜日)は『即位礼正殿の儀』が行われる日で、1年限りの祝日となっています。
『即位礼正殿の儀』は「そくいれいせいでんのぎ」と読みます。
普段の生活では耳にする機会が少ない言葉ですが、
1年限りとはいえ、祝日が増えるのを喜んでいる人も多いですよね。
なぜ2019年10月22日が祝日になるの?
2019年10月22日が祝日になる理由は、
新天皇が即位したことを国内外に宣明するための『即位礼正殿の儀』が行われるからです。
国が、10月22日は国民全員で天皇陛下の即位への祝意を表すために祝日と定めたのです。
「2019年の10月22日を祝日とする」
という閣議決定は、前年の2018年12月に行われたので、
年末年始に発売された大半の手帳・カレンダーには、この祝日が反映されていません。
なので、『即位礼正殿の儀』という言葉も、10月22日が1年限りの祝日だということも、知らない人が結構いるのも頷けます。
◇ 祝日について詳しくはこちら。
・祝日と祭日の違いとは?ひと目でわかる国民の祝日の意味を一覧で!
即位礼正殿の儀とは?
『即位礼正殿の儀』とは、天皇陛下が御即位を公に宣言して明らかにするとともに、その御即位を参列者や内外の代表らから祝賀を受ける儀式です。
一般的に言われている『即位の礼』とは、新しく即位した天皇が、国内外に正式に皇位を継承したことを示す一連の儀式の総称です。
- 『即位礼正殿の儀』
- 『祝賀御列の儀』
- 『饗宴の儀』
『即位礼正殿の儀』は、即位の礼の儀式の中でも最も重要とされる儀式であり、天皇陛下の即位を国内外に宣明する儀式となります。
『即位礼正殿の儀』は国事行為(こくじこうい)です。
国事行為というのは、憲法が定め内閣の助言と承認のもとで天皇が行うものをいいます。
国の儀式として皇居の宮殿で行われる『即位礼正殿の儀』には、各国の元首をはじめ、大勢の外国の要人らが招かれます。
『即位礼正殿の儀』は、その名の通り、正殿の松の間で行われ、参列者は正殿に相対する長和殿の春秋の間に着席します。
天皇陛下は「束帯(そくたい)」と呼ばれる平安時代からの伝統である天皇や公家の正装に身を包みます。
皇后様は「十二単(じゅうにひとえ)」と呼ばれる、こちらも平安時代からの伝統ある女性用の装束に身を包みます。
玉座に相当する「高御座(たかみくら)」に新天皇が、「御帳台(みちょうだい)」に新皇后がそれぞれ立たれ、即位したことを宣言します。
その後は参列者が起立した後、鼓の合図によって敬礼を行います。
内閣総理大臣が天皇陛下の御前へと進み、天皇陛下からの「おことば」があります。
「おことば」を受けて内閣総理大臣から寿詞(よごと)が述べられ、新たな天皇陛下の即位を祝って万歳三唱を行い参列者が唱和します。
寿詞とは、祝意を述べる朗読文のことです。
自衛隊によって祝砲21発が放たれ、
内閣総理大臣が元の場所に戻り、合図によって全員が着席し、
天皇、皇后、皇族、三権の長の順に退出するまでの一連の流れが『即位礼正殿の儀』となります。
平成の天皇即位の時には、儀式はおよそ30分かかりました。
祝賀御列の儀
『祝賀御列の儀(しゅくがおんれつのぎ)』は簡単に言うと、祝賀パレードのことです。
『即位礼正殿の儀』が執り行われたあとは、広く国民に即位を披露し祝福を受けるための御列(パレード)が行われます。
『祝賀御列の儀』も『即位礼正殿の儀』と同様の国事行為です。
10月22日に行われる『祝賀御列の儀』では、宮殿から天皇陛下の御在所までの間で行われることが予定されています。
饗宴の儀
御即位を披露され、祝福を受けられるための饗宴を『饗宴の儀(きょうえんのぎ)』といいます。
国内外の賓客に即位を披露する祝宴は10月22日(火)、25日(水)、29日(木)、31日(金)に計4回、国事行為である国の儀式として、宮中において行われます。
前回の平成の天皇即位の時の『饗宴の儀』は、1990年11月12日から4日間かけて合計7回実施され、
約2900人が出席し、着席方式で執り行われました。
即位礼正殿の儀と即位の日の違いは?
2019年5月1日に元号が令和になったこともあって、 『即位礼正殿の儀』と即位の日を混同してしまう人も結構多いようです。
即位の日とは、新しい天皇陛下が実際に即位した日のことです。
2019年は、天皇陛下(明仁さま)が4月30日に退位し、皇太子さまが5月1日午前0時に新天皇に即位して、元号は平成から令和に変わりました。
一方、『即位礼正殿の儀』は儀式を指しています。
上述のように、『即位礼正殿の儀』は天皇陛下が御即位を公に宣言して明らかにするとともに、その御即位を参列者や内外の代表らから祝賀を受ける儀式です。
『即位礼正殿の儀』は諸外国における戴冠式や即位式にあたるものと考えるとわかりやすいかもしれませんね。
過去にも『即位の日』と 『即位礼正殿の儀』は別々の日に行われてきました。
皇位継承などの皇室に関する事柄は、1947年(昭和22年)に制定された「皇室典範」に定められていますが、
今回のように、天皇陛下(上皇)の御退位と皇太子殿下(天皇陛下)の御即位が同時に行われるのは約200年ぶりのことであり、憲政史上初めてのことです。
そのため、国民が全員で天皇陛下の御即位に祝意を示せるように、
「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」
が制定され、
2019年5月1日の『天皇の即位の日』と同年10月22日の『即位礼正殿の儀の行われる日』が、今年限定の「国民の祝日」に定められたという経緯があります。
なぜ即位の日に『即位礼正殿の儀』が行われないのかというと、そもそも元から別の日に行われることが通例となっていますし、
天皇が即位する日と、国内外から多数の要人が参列する『即位礼正殿の儀』を同日に行うのは無理がありますよね。
昭和から平成になる時も、即位の礼は即位の日から1年10ヶ月後に行われました。
明治以前は天皇が頻繁に変わっていたこともあり、財政的な面からも、即位の日以降に即位の礼が行われるのが当たり前だったようです。
2019年の5月1日には、全国の多くの神社で『践祚改元(せんそ かいげん)奉告祭』というお祭りが行われました。
「践祚(せんそ)」は、三種の神器を継承して天皇の御位につかれることを意味している言葉で、
戦後の皇室典範の改正によって「践祚」という言葉は「即位」に統合されて、現在では使われることがなくなりましたが、
『践祚改元奉告祭』は文字通り、践祚と改元を神々に奉告するお祭りです。
天皇の『即位の日』は5月1日、
諸外国の戴冠式にあたる『即位礼正殿の儀』は10月22日ということで、それぞれ別の意味となりますね。
10月22日 即位礼正殿の儀の祝日、即位の日との違いを簡単に教えて! まとめ
2019年(令和元年)10月22日(火曜日)は『即位礼正殿の儀』が行われる日で、1年限りの祝日です。
国が、10月22日は国民全員で天皇陛下の即位への祝意を表すために祝日と定めました。
即位の礼の一連の儀式は以下のとおりです。
- 『即位礼正殿の儀』
- 『祝賀御列の儀』
- 『饗宴の儀』
いずれも国事行為であり、
中でも『即位礼正殿の儀』が最も重要な儀式とされています。
即位の日とは、新しい天皇陛下が実際に即位した日のことで
『即位礼正殿の儀』は天皇陛下が御即位を公に宣言して明らかにするとともに、その御即位を参列者や内外の代表らから祝賀を受ける儀式です。
特別な装束をお召しになる天皇陛下と皇后様、文官武官の装束を身につけた大勢の宮内庁職員。
10月22日に行われる『即位礼正殿の儀』はテレビで生中継されると思いますので、もしテレビを観られるのであれば
令和という新たな時代の大きな節目に、まるで平安時代にタイムスリップしたかのような厳かな光景をぜひ、見守ってくださいね。