ラグビーのトライはなぜゴールと言わないの?
トライという呼び方にはどんな意味や由来があるの?
その疑問、解消します!
トライとは何に対する「挑戦」なのか、
得点のルール変更によるコンバージョンキックとの関係も含めて、
わかりやすくお伝えします。
ラグビーのトライの意味とは?
ワールドカップの開催もあって、ラグビー人気が高まっていますね。
ラグビーを観戦していると、さまざまな専門用語が飛び交います。
ゲームを観ながら真っ先に覚える専門用語といえば、ボールを相手チームのインゴールに接地させる「トライ」ではないでしょうか。
トライとはラグビーにおける得点方法の一つです。
相手ゴールラインの向こう側(インゴール)にボールを持ち込んで、ボールを地面につければトライとなり5点を獲得することができます。
インゴールに入ったボールを押さえ込むことでもトライが成立します。
また、トライ後には、「コンバージョンキック」のチャンスが与えられます。
コンバージョンキックとは、トライまたはペナルティートライの後に得られるゴールキックのことで、
キックが成功すると追加で2点を獲得することができます。
ラグビーは両チームの選手たちが、このトライを得るために、お互い体を張ってボールを奪い合い、相手陣地のゴールラインに向かって攻め入るゲームです。
仲間たちとトライを決めるために、スクラムを組んだり、敵の突進をタックルで止めたり、
ときにはボールを持って単独突破やキックをしたりを繰り返しながら、ひたすらトライを目指して攻防を繰り返すのです。
ラグビーのトライはなぜゴールと言わないの?
ラグビーで得点を決めたときのトライは英語の「Try」です。
「試す」とか「試みる」、「挑戦する」といった意味を持つ「Try」ですね。
ラグビーとサッカーはもともと同じ競技だったとされていますが、
なぜ、ラグビーの場合はサッカーなどのスポーツと同じ「ゴール」ではなく、「トライ」という言葉が使われるようになったのでしょうか?
「トライ」とはいったい何に挑戦するのか。
その由来は、ラグビーが発祥した当時のルールと関係があります。
ラグビーのトライの由来
トライは
「トライをすることでコンバージョンキックを試みることが出来る」
という意味から生まれたラグビー用語です。
前述のように、現在のラグビーのルールでは、トライをすると5点の得点が加算されます。
ですが、ラグビーのルールが制定された当時は、このルールがなかったのです。
ラグビーが誕生したのは19世紀のイギリス。
ラグビーが始まった最初の頃は、学校や地域によってルールがバラバラで、試合のたびに対戦チーム同士で話し合ってルールを決めていました。
そこで、ルールを統一しようと、ラグビー発祥のきっかけといわれるイギリスの名門、ラグビー校のルールがベースとなったのですが、
このときのラグビー校のルールでは、トライをしても得点が加算されることはなく、ゴールキックへの挑戦権が得られるだけでした。
その後のコンバージョンキックで成功して、初めて得点が認められたのです。
そして、当時のルールではコンバージョンキックが決まるとそこで試合終了。
言ってみれば、コンバージョンキックが「ゴール」というわけです。
極端な例をあげると、昔のルールだと、いくらトライを決めてもトライの後のキックを決められなければ試合は決まらず、
逆に一度のトライでもトライ後のキックを決めれば勝利となっていました。
つまり、「トライ」は
『ゴールキックへの挑戦権(Goal at Try)』
という意味を持つものでした。
今のルールだけで考えると、トライが何に挑戦するのかわかりにくいですが、由来を知ると、なるほど納得ですね。
ラグビーのコンバージョンキックの意味は?
コンバージョンキックへの挑戦権が与えられるという意味で「トライ」という名前が付けられたのですが、
そうなると、その「コンバージョンキック」とは、どんな意味なのかも気になるところです。
コンバージョンキックの「コンバージョン」は英語の「conversion」。
辞書を引くと、「変換」「転換」「変化」などと出ています。
変換キック?
何がどう「変換」するのか、どんなキックを意味しているのか、言葉だけだとわかりにくいですよね。
コンバージョンキックもトライと同様、過去のルールが関係しています。
コンバージョンキックは、このゴールへのキックが決まると、トライの点数がより大きな点数へと変換(コンバージョン:conversion)されることに由来しています。
現在のルールでは、トライを決めて5点、
その後、コンバージョンキックを決めるとプラス2点ということになっていますが、以前はそうではありませんでした。
前述のように、ラグビー校のルールでは、トライをしても得点が加算されることはなく、ゴールキックへの挑戦権が得られるだけだったのですが、
1886年、トライでも得点が入るようにルールの改定がありました。
当時のトライの得点は1点。
ですがその後、チームの連携プレイによるトライの価値が高まるにつれ、たびたびのルール変更があって現在の1トライ5点に至っています。
このように今と昔ではトライの点数が異なるのですが、点数のカウントの仕方も異なりました。
今のルールだと点数のカウントは、トライの5点のあと、コンバージョンキックが決まれば2点が追加されて、「5+2」で7点が入るというものです。
そのカウントの仕方が今と昔では違うのです。
わかりやすくするために、昔もトライ5点&コンバージョンキック2点だったとして説明すると、
点数のカウントは1トライすると5点。
ここまでは今と同じです。
ですが、そのあとのコンバージョンキックが決まると、トライの5点は「なし(0)」となって、キック成功で7点としていたのです。
「同じことじゃん」
そう、確かに結果としては同じなんです。
いずれも入る点数は同じ7点なんですが、5点に2点が追加されるのではなく、
「5点が7点に『転換』される」
という考え方のルールだったのです。
つまり、点数を変換・転換するためのキックがコンバージョンキックだったというわけです。
これがコンバージョンキックの「コンバージョン(conversion)」の由来です。
ラグビーのトライはなぜゴールと言わないの?由来で納得キックの意味! まとめ
トライとはラグビーにおける得点方法の一つで
「トライをすることでコンバージョンキックを試みることが出来る」
という意味から生まれたラグビー用語です。
ラグビーのトライはなぜゴールと言わないのかというと、
ラグビーが生まれた頃は、コンバージョンキックが「ゴール」の意味合いを持っており、
トライには、
『ゴールキックへの挑戦権(Goal at Try)』
という意味があったからです。
コンバージョンキックというネーミングもトライと同様、過去のルールが関係していて、
キックに成功するとトライの点数が変換(転換)されるという考え方が由来しています。
ラグビーはルール改正が多いスポーツなので、もしかするとこの先、トライの得点点数が増えることもあるかもですが、
ラグビーを観戦していると、やはりトライのシーンが一番盛り上がります。
両チームのトライへの駆け引きに注目して、より試合観戦を楽しみたいですね。
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