アメリカ大統領の選び方や決め方を教えて!
任期や条件は?
選挙の仕組みは?
スケジュールは?
その疑問、解消します!
日本とは大きく違うアメリカ大統領選挙のシステム、
知っておきたいキーワード、
アメリカ大統領の権限も含めて、
わかりやすくお伝えします。
アメリカ大統領の決め方は?
アメリカの大統領選挙は4年ごとに行われます。
ちょうど、夏季五輪のある年と重なります(※2020年は除く)。
アメリカの大統領選挙の特徴は、この候補者選びのための「予備選挙」と、候補者同士による「本選挙」の2本立てになっていることです。
大統領選は主に「民主党」と「共和党」という二つの大きな政党の争いとなります。
おおまかに流れを説明すると、
まずはそれぞれの政党で、誰が大統領にふさわしいか、候補者を決めます。
その後、二つの政党の候補者同士が争う「本選挙」を行って大統領が決まります。
アメリカ大統領の任期は?
アメリカの大統領の任期は4年です。
大統領の任期はアメリカ合衆国憲法第2条第1節の規定で、4年に1度国民の投票によって新しく選出、または再任されるとなっています。
また2度を超えて選出されることを認めていません。
つまり、最大で2期まで大統領になることが可能で
2期(8年)の任期が終了すると、再任はできないということです。
どれだけ国民から支持を得ていても、どんなに続投を望まれていても、アメリカ大統領の3選はありません。
ただし、例外があります。
大統領の任期の合計が6年以下だった場合は3選が可能となります。
どういう時かというと、大統領が任期の途中で退任した場合です。
たとえば1年6ヶ月で大統領が退任すると、
4年-1年6ヶ月=2年6ヶ月
となりますね。
その場合は、次の大統領は残りの期間の2年6ヶ月のあいだ大統領を務めることになります。
大統領の任期は最大2期までですが、このような場合は、引き継ぎ任期を含めて連続で10未満という決まりがあります。
アメリカ大統領になるための条件は?
アメリカの大統領はアメリカ合衆国の国家元首であり、
行政府(アメリカ合衆国連邦政府)の長となります。
アメリカの大統領選と日本の内閣総理大臣選出とは、異なるところがたくさんあります。
日本の内閣総理大臣は国会議員の中から使命されますが、
アメリカ大統領は連邦議員の経歴がなくても選出されることがあります。
たとえば、トランプ大統領。
トランプ大統領は共和党の党員としての活動は行っていたものの、公職の活動経歴はありません。
アメリカ大統領になるためには以下の3つの条件が必須です。
- 出生がアメリカ人で、アメリカ国籍を持つ
- 35歳以上でアメリカに14年以上在住している
- 連続して10年以上、大統領の職にないもの
出生がアメリカ人で、アメリカ国籍を持つ
アメリカは国籍について出生地主義(しゅっしょうちしゅぎ)をとっています。
出生地主義とは、国籍取得において出生した国の国籍が付与される方式のことです。
アメリカで生まれたら誰でもアメリカ国籍を得られます。
母親や父親がアメリカ以外の国籍でも、生まれたのがアメリカならアメリカ国籍になります。
アメリカ生まれは誰もがアメリカ人ということですね。
以前、父親がケニア出身のオバマ前大統領(任期:2009年1月20日 – 2017年1月20日)は、共和党側から
「アメリカ生まれではないのではないか」
と疑問を投げかけられ大きな騒動になりました。
オバマ前大統領は、みずからのハワイ州の出生証明書を公開して反論し、異例の対応として話題になりました。
れっきとしたアメリカ生まれのアメリカ人だと証明したわけです。
アメリカで子どもが生まれた家庭であれば、ファミリーからアメリカ大統領を送り出すこともあながち夢じゃないかもですね。
35歳以上でアメリカに14年以上在住している
アメリカ生まれでアメリカ国籍でも、大統領になりたかったら年齢は35歳以上で、
なおかつ14年以上はアメリカに住んでいなければなりません。
連続して10年以上、大統領の職にないもの
前述の通り、アメリカ大統領には法律で任期が定められています。
国民から熱い支持を得ていても、連続して10年以上、大統領の職についた経験があると大統領選には立候補できません。
アメリカ大統領選挙の仕組みは?
アメリカには大きく「民主党」と「共和党」という2つの政党があります。
歴史的にこの2つの政党が政権を争って今に至っています。
大統領選挙を行う前には、以下の手順を経て格闘で大統領候補を決めます。
大統領候補になりたい人が、立候補を宣言する
2.
大統領選挙が行われる年の1月から党員集会や予備選挙で立候補者を絞っていく
3.
7月~8月に「民主党」と「共和党」の全国大会が行われ、大統領候補を1名選ぶ
党員集会ではどの候補がふさわしいかを話し合い、議論します。
予備選挙では投票を行って、どの候補者を支持するのかを決定します。
予備選挙のときには、「民主党」と「共和党」以外の他の勢力も立候補することができます。
大統領選出までのスケジュール
アメリカ大統領選は、2年がかりで行う大イベントです。
前述のように、アメリカの大統領選挙は、候補者選びのための「予備選挙」と、候補者同士による「本選挙」の2本立てになっています。
本選挙の期間が約2カ月なのに対して、予備選挙は7~8カ月もかかります。
選挙戦の大半は大統領候補を選ぶための期間なんですね。
アメリカ大統領選の流れとしては、
予備選挙
↓
選挙人の選出
↓
選挙人による大統領の選出
と3段階で進みます。
以下は大統領選の大まかなスケジュールです。
選挙の前年~選挙の年の1月まで: 出馬表明
1月~6月 :党員集会・予備選挙・
7月~8月 :民主・共和 党全国大会
9月~11月: 選挙戦
11月第1月曜日の翌日の火曜日: 一般有権者による選挙人投票
12月 :各州で大統領選挙人による投票
翌年1月: 開票・大統領選出
「予備選挙」は2月初旬~7月ごろまで行われ、それぞれの政党がどの候補者を公認候補として出すかを決めていきます。
予備選挙とは、州ごとに大統領候補者を選出する選挙のことです。
全国50州で開かれる予備選挙では、各州でどの候補者が良いかを決めることになります。
学校やホールなどを借りて、数十人、数百人単位で党員集会を開いて話し合ったり、
本番さながらに投票所を設けて投票で決めたりします。
中でも、2月か3月の初旬の火曜日に行われる「スーパーチューズデー」は、アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びの大きなヤマ場です。
「スーパーチューズデー」は、多くの州で予備選挙や党員集会が一斉に開催される日。
「スーパーチューズデー」の日1日で大統領候補選びが事実上絞り込まれ、ある程度決定すると言われています。
民主党、共和党それぞれの予備選挙で勝ち抜いた候補者は、7月中旬に行われる党の全国大会で正式に大統領候補として指名されます。
この党の全国大会は数日間開催されます。
全国から党員がたくさん集まり、芸能人など著名な党員も参加して、刺激的なスピーチをする様子がニュースでもよく取り上げられます。
大統領選挙いよいよ終盤戦へ
各政党で大統領候補を1名選んだら、ようやく大統領選も終盤です。
ここから先は、一般投票日の
『11月第1月曜日の翌日の火曜日』
に向けて、各候補者の最後の熾烈な選挙戦が始まります。
本選挙の仕組みは選挙人による大統領選出という方法が取られています。
まず州ごとに一般の有権者が投票し、約1カ月後にその結果を踏まえて「大統領選挙人」が投票するという2段階方式となっています。
選挙人とは、大統領を選出する権限を持つ人のこと。
選挙人なんて日本では聞き慣れない言葉ですよね。
この一般有権者による選挙人投票の仕組みを簡単に説明しますね。
ご存知のようにアメリカには50の州があり、人口が多い州もあれば少ない州もあります。
たとえば、
最も人口が多いカリフォルニア州は3,956万人
最も人口が少ないワイオミング州は58万人
なので、
50州のうち過半数を占めたら大統領!
というわけにはいかないのです。
そこで、「選挙人」という仕組みを設けて、州ごとに人口に応じて人数が割り振られているのです。
選挙人の総定数は538人。
各州が持つ選挙人の数は、州の下院議員の議席数に2人を加えたもので、この2人は各州に割り当てられている上院の議席数にあたります。
50州に538人の選挙人を人口などに応じて配分し、その過半数の選挙人を獲得したら大統領に当選するという仕組みです。
選挙人を選ぶのは州の各政党です。
選挙人はあらかじめ、
「この候補者を選びます」
と党員に宣言しているので、有権者の意向を反映した結果となります。
有権者の投票用紙には大統領候補者の名前しか書かれていませんが、実際には有権者はある候補者を選ぶと約束した選挙人を選んでいます。
このあたりのシステムはややこしいので割愛しますが
つまり、本選挙は選挙人の数の取り合いとなっていきます。
そのため、11月の一般投票を終えた時点で大統領は決定したも同然となり、12月の大統領選挙人による投票で結果がくつがえることはほとんどありません。
逆転したケースでいうと、近年では共和党のブッシュ候補と民主党のゴア候補が争った2000年の大統領選挙があります。
ブッシュ候補はアメリカ中で得た票の数ではゴア候補より50万票以上も少なかったのですが
選挙人の獲得数では、激戦州の1つで選挙人の数も多いフロリダ州を最後に制し、
結果、ゴア候補を5人上回って逆転勝利を果たしました。
日本の首相の誕生と比べると、アメリカの大統領選挙はとても複雑な仕組みですね。
採用しているアメリカでも仕組みをよく理解していない人は結構いるようです。
また、このシステムによる長期の選挙期間には莫大な選挙費用を必要とします。
そのため資金力がない候補者はなかなかチャンスに恵まれないという実体になっています。
アメリカ大統領の選び方は?任期や条件 選挙の仕組みをわかりやすく!まとめ
アメリカの大統領選挙は4年ごとに行われ、大統領の任期は4年です。
最大で2期まで大統領になることが可能で
2期(8年)の任期が終了すると、再任はできない(一部の例外を除く)ことになっています。
アメリカ大統領になるためには以下の3つの条件が必須です。
- 出生がアメリカ人で、アメリカ国籍を持つ
- 35歳以上でアメリカに14年以上在住している
- 連続して10年以上、大統領の職にないもの
アメリカ大統領選は、2年がかりで行う大イベントで大まかなスケジュールは次のようになっています。
選挙の前年~選挙の年の1月まで: 出馬表明
1月~6月 :党員集会・予備選挙・
7月~8月 :民主・共和 党全国大会
9月~11月: 選挙戦
11月第1月曜日の翌日の火曜日: 一般有権者による選挙人投票
12月 :各州で大統領選挙人による投票
翌年1月: 開票・大統領選出
アメリカ大統領は、行政府の長であり、軍の最高司令官です。
上院の承認がなくても行政協定を結べますし
議会の了承を得ずしても海外に兵を派遣できます。
その権限からして、世界に及ぼす影響は計り知れないものがあります。
大統領の方針次第で、アメリカの株価や為替が動くので、世界中が大統領の動向を注目します。
アメリカの大統領選挙は長いイメージがありますが、大統領選の結果次第では世界情勢も変化します。
アメリカ以外の国からしても、どのような考えの人がアメリカのリーダーになるのかは、とても重要なことになりますね。
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