ローストポークがピンク色だけど大丈夫?
豚肉の生がダメな理由は?
生焼けかどうかの見分け方はある?
その疑問、解消します!
豚肉はきっちり火を通して食べたいけどどうしたらいいの?
安全でジューシーなローストポークを頂くポイント、
具体的にお伝えします。
ローストポークの中がピンク色なのは大丈夫?
ローストポーク、美味しいですよね。
ローストビーフも大好きなんですが、豚肉ならではの甘い旨味があるローストポークは何度食べてもあきがこないおいしさです。
塊の豚肉はお財布にも優しいですし、ほとんど放置で作れるので、パーティやおもてなしにもピッタリのお手軽レシピでもあります。
ローストポークは、カットしてお皿に盛るだけでもテーブルがパッと華やぎます。
わたし的にはカットした時に肉がピンク色、もしくはワインのロゼ色のようになっていたなら大成功。
しっとりジューシーに仕上がっている目安がピンク色なんですが、この色について、
「生焼けなんじゃないか?」
と疑問に思ってしまう人もいるようです。
確かにローストポークが生焼けだと心配ですよね。
だからといって、火を通しすぎてしまうと、肉が固くなりパサパサして、せっかくの旨味がなくなってしまいます。
わたしの友人は自分でローストポークを作る時は、中がピンク色だと食中毒や寄生虫が心配なので、レンジで温めたり、フライパンで焼いてから食卓に出すと言ってました。
レシピ通りに作っていれば、生焼けということはないはずなのですが、どうも『豚肉の生は怖い』という先入観が邪魔をしているらしく、
「自家製ローストポークはパサパサの焼豚みたいになってしまう(泣)」
と言うのです。
肉がパサパサになる原因
ちょっと科学的なお話をすると、肉の主成分であるタンパク質は63℃から凝固を始め、68℃から水分を分離し始めます。
水分を分離するというのは、肉汁と一緒に肉の旨味も出てしまうということ。
肉を焼きすぎたり火を入れたりしすぎると、固くなってパサパサなるのはこの為です。
ローストポークは低温でゆっくり肉の内部まで熱を伝えることで、タンパク質の硬化と肉汁の流出を最小限にすることができる料理です。
なので、理想のローストポークの仕上がり状態は、
『適温で火が入って、殺菌された状態でジューシーに仕上がっていること』
これが最も美味しくいただけます。
そして、ローストポークは焼豚や煮豚ではないので、ピンク色をしているのが本来のローストポークなのです。
ローストポークがピンク色の理由
ローストポークのピンク色を血の色だと思っている人が多いようですが、あのピンク色はタンパク質の色です。
豚だけではなく、牛で作るローストビーフも同じです。
◇ ローストビーフについて詳しくはこちら。
・ローストビーフ赤い肉汁の正体と生の見分け方 何が食中毒の原因?
ローストビーフやローストポークの焼き立てをカットすると赤い肉汁が出てくることがありますが、その赤い肉汁も血液ではありません。
ローストポークの肉のピンク色と同じ、肉に含まれるタンパク質の色です。
正しくは「ミオグロビン」というタンパク質の一種です。
赤い色をしているので、血液と間違われがちですが、そうではありません。
生肉の肉色を見ると、豚肉より牛肉のほうが肉色が赤いですよね。
それはミオグロビンの量が違うからで、鶏肉はもっとミオグロビンが少ないので、牛や豚よりずっと白っぽい色になっているのです。
ミオグロビンは、肉の鮮度によって徐々に色が変化します。
加工されたばかりの新鮮な肉は赤紫色をしています。
スーパーでパックされた肉で赤いものがあると新鮮に思うかもしれませんが、あの赤い色も時間と共に空気中の酸素に触れて変化した色です。
さらに時間が経過すると肉は茶褐色に変化していきます。
このあたりになると、古い肉だということがわかりますね。
赤紫→赤→茶褐色と変化していく肉の色は、ミオグロビンに含まれる「ヘム鉄(鉄)」が酸素に触れて酸化するため起きる現象です。
ミオグロビンは、酸化のほかに加熱でも変色します。
肉を焼いて褐色になるのは、焼いたことで温度があがったミオグロビンに化学変化がおきた結果です。
ここからがポイントです。
ミオグロビンが褐色に変化する温度、いわゆる肉が『焼き色』になる温度は、細菌や寄生虫が死滅する温度よりも高いのです。
ミオグロビンの色が変化する温度は、だいたい80℃くらいから。
この80℃は、肉につく細菌や寄生虫が死滅する温度よりも高く、80℃より低い温度の75℃でもおおよその細菌や寄生虫は死にます。
つまり、高い温度で肉に火を入れ続けなくて大丈夫ということです。
このことから、ローストポークの肉がピンク色でも、レシピ通りに時間や温度を守って作っていれば、安全に食べられるということがわかりますね。
もっと正確にいえば、仕上がった時のローストポークの肉の温度が65度以上であれば、ピンク色でも問題なく食べられます。
内部の温度がきちんと死滅する温度に達していれば、たとえ切ったときの肉がピンクだとしてもOKということです。
豚肉の生がダメな理由
よく
『豚肉を生で食べてはいけない』
と言いますが、その理由は主に寄生虫です。
このうち、寄生虫はトキソプラズマ、トリヒナ、回虫が重要な寄生虫ですが、トリヒナは現在はほとんど出ないといわれています。
また、トキソプラズマも減少しているとされていますが、トキソプラズマは、妊婦に感染すると異常産の原因になるため注意が必要です。
ですが、これらの寄生虫は日本ではかなり少なくなっています。
市場に出回る豚は全て、獣医師によって食肉に適するか検査されていますし、現在これらの感染はほとんど報告されていません。
回虫は現在でも見られますが、この寄生虫は健康な人ではあまり問題ありません。
ただ、免疫力の低い子供の場合、まれに感染する可能性があります。
一般的に加熱すると、いずれの寄生虫も60℃あれば死滅させることが出来ると言われています。
また、豚肉の寄生虫は、冷凍された肉では生き延びることができません。
豚肉で食中毒になる?
O157などの食中毒を起こす細菌感染に関していうなら、牛肉でも鶏肉でもリスクは同じです。
- O157を死滅させるには75℃で1分以上
- サルモネラ菌を死滅させるには75℃で1分以上
- 病原性大腸菌を死滅させるには75℃で1分以上
- 腸炎ビブリオ菌を死滅させるには75℃で1分以上
- ノロウイルスを死滅させるには85℃で1分以上
ボツリヌス菌に至っては100℃で加熱しても死滅しません。
その他、多くの食中毒菌を死滅させるには63℃で30分の加熱が必要とも言われています。
また、ノロウイルスなどのウイルス性食中毒は、ウイルスが蓄積している食品の摂取や、人の手を介して感染が起こります。
こうしてみると、豚だけが危険ということではありませんね。
どんな食材にせよ、衛生に配慮した調理が大切です。
ローストポークが生焼けかどうかの見分け方
ローストポークは高い温度で肉がぱさつくまで焼き続ける必要はありません。
理想のローストポークの色はピンク色。
でも、見た目がピンク色であっても、塊肉だけに生焼けがどうかが気になることもあるかと思います。
火が通っているかどうか、切らずに見分ける方法は2つあります。
1. 竹串で刺してみる
もっとも簡単な方法は豚肉の一番厚い部分に竹串を刺してみることです。
引き抜いた時に、透明な肉汁が出てくればOK、火が通っています。
赤っぽい肉汁が出てくる場合は、もう少し時間が必要です。
2. 料理用の温度計を使う
竹串の目視はちょっと難しいと感じたり、不安な場合は、料理用の温度計を使うのが正確です。
肉の塊にそのまま刺して温度を確認できるので、推奨温度に到達しているかどうかひと目でわかります。
こちらは測定範囲が-50℃から300℃までと広範囲な設計なので、肉、魚、ミルク、お湯、冷凍と多用途に使用できるスグレモノの温度計です。
デジタル クッキング温度計 折りたたみ式キッチン温度計 デュアル プローブ 調理用温度計 アラーム付き 肉 油 天ぷら グリル 揚げ物 鍋 ローストビーフ オーブン用 BBQ 食品温度計 読みやすい 電池付き
わたしも使っていますが、計測速度が早いので重宝してます。
マグネットが入っていて冷蔵庫に貼って保管できるのも、とても便利です。
ローストポークの仕上がりは65~68℃を目安に。
加熱温度や火から下ろしたあとの環境にもよりますが、肉は火から降ろしてからも『余熱』で温度が2℃~5℃程度上がります。
65℃あれば大丈夫。
余熱分も考慮してくださいね。
ローストポークのピンク色は大丈夫なのか生焼け豚肉の見分け方とは? まとめ
ローストポークの肉のピンク色はタンパク質の色です。
カットした時に出てくる赤い肉汁も、同じくタンパク質の色。
血液ではないので安心してくださいね。
ローストポークの焼きたては切るとピンクの肉汁が出てくるので、ある程度冷ましてから切るのがおすすめです。
おいしさで言うとローストポークの肉の色は「ピンク」がベスト。
ただし、レシピ通りに作っていることが大前提です。
レシピに忠実な調理時間や調理温度をしっかり守って、適切な温度に仕上がった肉のピンク色は安心していただけます。
ローストポークが生焼けかどうかの見分け方は、
1. 竹串で刺してみる
2. 料理用の温度計を使う
という方法がありますが、
カットしてから、どうしても火の通りが心配だというときには、電子レンジで温めるのがおすすめです。
600wで10秒単位にして、中の様子をみながら温めてみてください。
美味しいローストポークができますように。
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