喪中と忌中の違いとは?
期間はどのくらい?
過ごし方で気をつけることは?
してはいけないことってある?
その疑問、解消します!
近親者に忌中と喪中がある理由、
それぞれの意味の違い、
忌中と喪中のマナー、
今どきの考え方も含めてわかりやすくお伝えします。
喪中と忌中の違いとは?
祖父が亡くなり、四十九日の法要が済んだあと、祖父の家の玄関に張ってあった「忌中(きちゅう)」の札を外しました。
親たちが、
「今年は喪中はがきを出さなきゃね」
などと話していて、学生だったわたしは
「忌中と喪中は呼び方の違いなのかな」
程度に思っていたんですよね。
なんとなく耳にしている「忌中」「喪中」の言葉ですが、本来の意味や、その違いについては、意外とあやふやな知識しかなかったりしませんか?
わたしの場合、社会人になり就職して、会社勤めの中で忌中と喪中の違いを知るようになりましたが、学生時代のわたしのように混同している人も結構多いようです。
忌中も喪中も喪に服すこと
『喪に服す』という言い方を聞いたことがあると思います。
喪に服すことは『忌に服す』という言い方もします。
亡くなった人の死を悼み、身を慎む意味合いとして、一定期間の外出や、社交的な行動を避けるようにするんですね。
このように、肉親や親戚の死に際し、一定のあいだ自宅にこもって身を慎むことを「忌服(きふく)」と言い、この忌服の期間を指す言葉が「忌中」と「忌中」です。
なので、実は「忌中」と「忌中」では、マナーや過ごし方は共通しています。
忌中の意味とは?
肉親や親戚などの近親者がなくなった場合、 親族が身を慎む「忌中」は神道の考え方に基づくものです。
神道とは、日本発祥の宗教で、八百万(やおよろず)の神を祭る多神教です。
この神様を祭っているのが神社ですね。
古来の神道においては、死というものが今よりも恐怖の対象で、かつ「死=穢れ(けがれ)」とされていました。
「穢れ」とは、神道や仏教の観念のひとつで、忌まわしく思われる不浄な状態のことをいいます。
伝染病などが猛威を奮っていた時代には、人々が、
「死は伝染する」
というイメージを持っていたため、伝染する死の穢れを、社交的な場に持ち込ませないために忌中が定められたという説もあります。
ともあれ、神道には死を不浄なものとして忌むという考え方があります。
昔の忌中期間は親族は自宅に閉じこもり、忌明けが訪れるまで、一切の社会生活に参加しなかったと言われています。
こういった背景から続く忌中には2つの意味があります。
- 故人を偲び社会的な生活を慎む
- 神様の領域に穢れ(死)を持ちこまない
喪中の意味とは?
「喪中」とは亡くなった親族を偲び、追悼するための期間のことです。
忌中に比べると、喪中の方が実生活で馴染みがあるのではないでしょうか。
「喪中はがき」を送ったりいただいたり、といった経験もあるかと思います。
昔はこの期間は常に喪服を着用し、レジャーなどの楽しみ事は一切しませんでした。
忌中が神道に基づいた考え方なのに対して、喪中は儒教の考え方です。
儒教というのは、古代中国に起こった孔子の思想に基づく教えで、創始から2000年以上経った現代にも、その影響は続いています。
喪中の基本的な考え方としては、
「故人を偲び、哀悼の気持ちを表す期間」
という意味では忌中と同じです。
ですが、忌中と比べると、身を慎む期間が違ってきます。
忌中と喪中の期間は?
忌中と喪中の期間は、宗教や仏教の宗派によって変わってきます。
忌中の期間
忌中の期間は、故人が亡くなってから、仏式では法要を営む四十九日、神式では五十日祭、キリスト教であれば一カ月後の召天記念日または五十日祭までとされるのが一般的です。
『忌明け』という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんね。
これは仏式で四十九日の法要を終えた後のことを指します。
忌中の期間は、一般的(仏教の多く)に、忌明け法要で終わりになります。
法要を「忌明け法要」、香典返しや満中陰志を「忌明け返し」と呼ぶこともあります。
喪中の期間
喪中の期間は宗教を問わず、故人が亡くなってから1年間というのが基本です。
死後一年間の一周忌法要までを喪中とするのが一般的な慣習になってます。
忌中と喪中の過ごし方
本来、忌中も喪中も故人の身内は慶事や祭典を避けるものとされています。
- レジャーに行かない
- 祝い事に参加しない
- 派手な宴席を控える
具体的には、結婚式を挙げたり、家を新築・改築する、神社へお参りする、神事を伴うお祭りやお祝いに参加する、新年を祝うといったことです。
招待を受け出席するつもりだったお祝いの席(結婚式など)は、先方や身内に、出席して差し支えないか相談するようにします。
喪中と忌中にしてはいけないこと4つ
地域や慣習によっても違ってきますが、昔は忌中のあいだは、
「家の外に出てはいけない」
「人に会ってはいけない」
といった厳しいしきたりがありました。
今ではかなり簡略化されていますが、一般的に「してはいけないこと」とされているものを4つお伝えしますね。
1. 形見分けは忌中明けに
「形見分け」というのは、故人の想い出などが詰まっているものを遺族や知人で分け合い、故人の想い出として残しておくことです。
仏教の教えでは、亡くなった人は死後49日後に仏のもとに向かうとされています。
なので、故人の遺品は四十九日が過ぎる忌明けまでは形見分けを行わず、四十九日法要が終わった後などに行うようにします。
2. 年賀状は欠礼して喪中はがきに
喪中に正月を迎える場合は、年が明ける前に喪中はがきを出し、新年の挨拶を控える旨を相手(年賀状を交換している人)に伝えるのが一般的です。
二親等以内の身内に不幸が合った場合に喪中はがきを出すとされています。
喪中はがきを受け取った場合には年賀状を送ることを控え、1月7日(松の内)を過ぎてから寒中見舞いを出すというのがマナーです。
◇ 喪中はがきについて詳しくはこちら。
・喪中はがきを出す最適な時期はいつなのか出すべき相手の範囲とマナー
3. 喪中の結婚・入籍は避ける
自らの結婚式や入籍の予定があった場合、可能であれば喪中が明けた後に実施するのが良いとされています。
お互いの親族とよく話し合った上で、どうするか決めるといいですね。
4. お祝い事への参加は遠慮する
喪中の間に結婚式などの慶事に招待されているという場合は、先方に謝罪した上で参加を控えるほうが良いとされています。
喪が明けた後に、改めてお祝いの言葉やお祝い金を贈ります。
今どきの忌中と喪中の過ごし方
忌中と喪中の期間は、社会的な活動や慶事などを控えるとされてきましたが、最近は忌中・喪中の過ごし方も変わってきています。
たとえば、故人が生前楽しみにしていたお祝いごとなどが、遺族にとっても大切なものであれば、
「故人も喜ぶ」
「故人もお許しくださる」
と考えるケースも少なくありません。
また、結婚式などに招待された場合にも、その新郎新婦に相談をしたうえで参加することもあるようです。
年々、葬儀自体を明るく行いたいと希望する人も増えています。
忌中や喪中の期間だからといって、無理に慶事への参加を控える必要もないという考え方ですね。
故人のことを想えば、亡くなったあとだからこそ、遺族が明るく過ごすというのも大切なこと。
ただし、あくまでマナーを守るのが基本です。
実際、忌中や喪中を気にする人の方が大多数なので、周りの遺族、特に目上の方との相談は欠かさないようにするといいと思います。
喪中と忌中の違い!期間と過ごし方 4つのしてはいけないこととは? まとめ
一般的には、
- 死後四十九日(神式では五十日)の忌明けまでを「忌中」
- 死後一年間を「喪中」
と考えられています。
忌中は神道の考え方です。
死を穢れとし死を忌む期間のことを「忌中」といいます。
喪中は儒教の考え方です。
亡くなった人を偲ぶ期間を「喪中」といいます。
忌中と喪中は共に、故人を偲んで身を慎むといった意味合いがあります。
本来、忌中も喪中も、故人の身内はお祝い事やイベントを避けるものとされています。
ですが、最近では、故人が楽しみにしていた行事などであれば、故人も喜ぶだろうという考えから参加する遺族も増えています。
大切なのは故人を偲ぶ気持ちです。
亡くなった方に敬意を払いつつ、慣習やマナーも大事にできるといいですね。
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