プロ野球のドラフト会議とは?
どんなルールや仕組みがあるの?
ドラフト制度があるのはなぜ?
その疑問、解消します!
入団拒否をするとどうなるのか、
指名される選手の条件、
セ・リーグとパ・リーグの指名の優先順位も含めて、
わかりやすくお伝えします。
プロ野球のドラフト会議とは?
プロ野球のシーズンが終盤にさしかかる頃、秋の風物詩ともいえる『ドラフト会議』が行われます。
プロ野球のドラフト会議は、日本の球界を背負ってゆくルーキーたちの人生がかかった一大イベント。
野球ファンは大注目、野球ファンじゃなくても、甲子園で活躍した選手たちの行く末が気になるところです。
この時期、ニュースや新聞などでも頻繁に取り上げられるドラフト会議ですが、イマイチ仕組みをよくわかっていない人も多いようです。
「甲子園で活躍した選手たちがプロ球団に入るためのアレでしょ?」
そのふわっとしたアレを、野球ファンではない人にも理解できるように、わかりやすく、簡単にお伝えしていきますね。
ドラフト会議とは?
ドラフト会議とは、年に一度、プロ野球において新人選手獲得のために行われる会議のことです。
ドラフト会議の正式名称は「新人選手選択会議」。
1965年から開催されており、50年以上の歴史があります。
ドラフト会議は、
- 有望選手が特定球団に固まらないこと
- 強さを各チームで平準化(弱いところはより強く)すること
の両立を目指して作られた制度です。
日本野球機構主催のもと、全12球団が新人選手を獲得するために一同に会して行われる様子は、テレビやネットなどのメディア中継でもおなじみですね。
指名を受ける選手はもちろんですが、球団にとっても運命を決める会議。
球団にとって、ドラフト会議は、
『その年にプロ入りを希望している新人』
を獲得するための唯一の機会となるのです。
1位指名と2位以下では指名の方式が異なり、抽選があるのは1位だけです。
ドラフト会議はなぜやるの?
なぜドラフト会議をするのか?
戦力の均衡を図るためにやってるのがドラフト会議です。
簡単にいえば、
『その年にプロに入りたい選手を各球団が公平に獲得するため』
ということですね。
一番の大きな要因は「お金」の問題です。
プロスポーツの世界で初めてドラフト制度を取り入れたのは、1936年アメリカのNFL(アメリカンフットボール)でした。
リーグとして発展していくためには、お金を持っているチームが優れた選手を獲得する「マネーゲーム」にならないよう、新人選手獲得の交渉権を平等に分配するために必要だったのです。
前述のように、日本のプロ野球がドラフト制度を取り入れたのは、1965年ですが、導入前は、資金力のある一部チームからは反対の声も出たようです。
ですが、プロ野球の発展のためには、ドラフト制度が必要だという議論になり、導入に至りました。
また、球団の交渉力の差をなくすためでもあります。
人気球団にばかり選手が集中してしまうと、それはそれで不均衡になってしまうからです。
球団間の差をなくしたり、裏での金銭のやりとりをなくすため、プロ野球の新人の入団経路は、基本、このドラフト会議に一本化されています。
発足当時からはいくつかの制度変更はあるものの、プロ野球のドラフト制度は、いまや当たり前の制度になっていますね。
プロ野球のドラフト会議のルールとは?
ドラフト会議では、球団が選手を指名しますが、ドラフトにかかる選手は、指名を待つだけです。
選手が、もし入りたくない球団に指名された場合は、その球団と契約しないことも選べます。
断ることは選手の自由ですが、その場合は、来年のドラフトを待つことになります。
指名された以外の球団とは契約することはできないからです。
つまり、指名された球団と契約しなければ、一年間の野球浪人となるわけです。
入団拒否をすると、高校生なら大学や社会人、大学生なら社会人などに進むことになります。
そして、翌年のドラフトで指名権を獲得した球団(あれば)と、改めて交渉することになります。
指名される選手の条件は?
ドラフト会議で指名されるのには、基本的に以下の条件があります。
・上記のうちで、日本国籍を持っている選手。
・もしくは、日本の中学校、高校とこれに準ずる学校、大学とこれに準ずる団体のいずれかに在学した経験を持つ選手。
・日本の学校に在学している場合は、ドラフト会議の翌年3月卒業見込み、大学の場合は4年間在学している選手。
指名できない選手の条件もあります。
・所属連盟にプロ志望届を提出していない学生・生徒。
・前年のドラフト会議で指名され、入団しなかった選手(例外あり)
なお、中卒や高卒で社会人野球チームに入団した選手は以後3年、その他の場合は2年が経っていない選手も指名できない(廃部・休部の場合はこの限りではない)
■ プロ志望届を提出する
高校生と大学生でプロ入りを希望する場合には、それぞれの野球連盟に「プロ志望届」の提出が義務付けられています。
なぜ義務付けされているかというと、プロ志望届を提出しないと、大学進学や一般企業の就職を希望するとみなされてしまうからです。
日本のアマチュアからメジャーリーグを直接目指すケースでも、プロ志望届は提出するということになっています。
日本ハムが、高卒後メジャーリーグ挑戦を目指していた大谷翔平選手を指名できたのもこのような経緯からです。
プロ野球のドラフト会議の仕組みとは?
12もある球団を公平にするために、さまざまな工夫がされて現在のドラフト制度になっています。
重要なポイントは、
「ドラフトでの指名はくじびきだけではない」
ということ。
中継を見ていると、各球団の代表がひくドラフトのくじ運が話題にされますが、くじびきを行うのは最初の一位指名だけです。
いわゆる「ドラ1(ドライチ)」指名の時だけ抽選となり、それ以降は別の方法で選手を指名していきます。
ドラフト会議の1巡目は抽選方式(入札抽選)
ドラフト会議のハイライトが1巡目です。
1巡目は「入札抽選」で行われます。
まず、ドラフト会議に参加する全球団が同時に1名の選手を指名します。
単独指名なら即、1巡目の指名選手が決定します。
いわゆる一本釣りというやつです。
ですが、2球団以上で指名選手が重複した場合は抽選となります。
当然ですが、注目されている人気選手には自ずと指名が競合します。
一位入札の結果がかぶった場合はくじ引きを行い、当たりを引いたチームが交渉権獲得となるわけです。
このあたりの競合、抽選の場面が、スポーツニュースなどでよく取り上げられるドラフト会議の最大の見せ場ですね。
壇上に上がった代表者が、箱に手を入れて待機し、司会者の合図の声でカードを開く瞬間は、悲喜こもごも。
抽選に外れた球団は、ここまで指名されていない選手についてもう一度入札を行います。
かぶったらまたくじ引き、かぶったらまた、を繰り返し、最終的に全ての球団の1巡目指名選手が決まるまで、抽選を繰り返していきます。
ドラフト会議の2巡目以降の進め方
2巡目以降の指名方法は一位指名とはやり方が異なります。
2巡目は、球団順位の逆順による「ウェーバー制」で選手の選択を行います。
ウェーバー制では、一番弱い球団が最優先の権利を持っています。
そして3巡目は、2巡目と反対の順番で選手を選択していきます。
これを「逆ウェーバー制」と呼びます。
逆ウェーバー制では、球団順位の順番で、一番強い球団が最優先の権利を持っています。
こんな感じですね。
- ウェーバー制:球団順位6位 → 5位 → 4位 → 3位 → 2位 → 1位の順
- 逆ウェーバー制:球団順位1位 → 2位 → 3位 → 4位 → 5位 → 6位の順
さらに4巡目以降は、ウェーバーと逆ウェーバーを交互に繰り返し、全球団が選択終了を宣言するまで続けていきます。
この時の球団順位とは、ドラフト会議開催日1週間前のペナントレースの順位となります。
そうなると、セ・リーグとパ・リーグの同じ順位の球団はどうなるのか、ということが気になりますよね。
セ・リーグとパ・リーグの同じ順位の球団の先順に関しては、以下の内容で決定されます。
・上記で決められないときは同交流戦での総得失点差が優位のリーグ。
・それでも決められない場合は抽選により決定。
セ・リーグとパ・リーグの交流戦がドラフト会議に影響するとは、驚きですよね。
わたしも今回疑問を持つまで知りませんでした^^;
何人まで指名できるの?
原則的に各球団10人まで指名することが出来ます。
指名選手の合計人数が120人に達した場合は、選択終了宣言をしていない球団があっても、その時点で終了します。
120人に満たない場合であれば、1球団で10人以上指名することも可能です。
■ 「育成選手選択会議(育成ドラフト・2次ドラフト)」
2005年からは、「育成ドラフト(2次ドラフト)」が開催されています。
これは、社会人野球チームの廃部が相次いで、野球選手の裾野が狭まってしまったことへの対策と、将来有望な若手選手たちを育成する観点からスタートした制度です。
全球団が選択終了宣言をした後でも、120人に満たなかったときは、そのまま引き続き育成ドラフトが行われ、全指名120名枠に含められます。
プロ野球ドラフト会議のルールや仕組みを簡単に教えて!なぜ行うの? まとめ
ドラフト会議とは、年に一度、プロ野球において新人選手獲得のために行われる会議のことです。
ドラフト会議は、
- 有望選手が特定球団に固まらないこと
- 強さを各チームで平準化(弱いところはより強く)すること
の両立を目指して作られた制度で、
『その年にプロに入りたい選手を各球団が公平に獲得するため』
行われています。
現在のドラフト会議では、1巡目は「入札抽選」。
指名が競合した場合は、全球団の1巡目指名選手が出揃うまで「入札抽選」を繰り返します。
2巡目以降は「ウェーバー制」と「逆ウェーバー方式」を採用します。
指名できる人数は全球団合計で120人まで。
120人に満たない場合は、引き続き「育成選手選択会議」が行われます。
毎年、ドラフト自体の話題には事欠きませんが、ドラフト会議はアマチュア選手にとって人生の重要なターニングポイント。
どのような結果であれ、笑顔でプロ野球界に羽ばたいてほしいですね。
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