お月見どろぼうとは何のこと?
どんな行事?
いつ行われる?
大人と子どもの役割は?
行われている地域は?
その疑問、解消します!
お月見どろぼうの由来と歴史、
現代に受け継がれている風習のスタイル、
行事が盛んな地域も含めて、わかりやすくお伝えします。
お月見どろぼうとは?
9月はお月見の季節。
秋になると空が澄んで、月がきれいに見えますね。
お月見といえば、ススキを飾ったりお月見団子を食べたりしながらお月見を楽しむのがポピュラーですが、「お月見どろぼう」の話になると、知っている人と知らない人にハッキリ分かれます。
お月見どろぼうは、各地で行われている子どもたちのお月見イベントのひとつです。
主に旧暦8月15日にあたる中秋の名月(十五夜)に、飾られているお月見のお供え物を、この日に限って盗んでいいという風習です。
「どろぼう」とか「盗む」とか物騒な感じですが、それが転じて、中秋の名月(十五夜)に子どもたちがお菓子をもらう風習となって今に続いています。
実際は子どもたちが、
「お月見どろぼうでーす」
「お月見くださーい」
と声がけをしながら、近所の家をまわっています。
お菓子をもらうために直接家を訪ねたり、玄関先などに置かれた駄菓子をみんなで分け合うというのがお月見どろぼうのイベントです。
まさに日本版のハロウィンといったところですね。
年に一度、お月見の日にはお菓子をもらえるということで、「どろぼう」となる子どもたちはとても楽しみにしている行事です。
お月見どろぼうはいつやるの?
お月見どろぼうが行われるのは、基本、中秋の名月(十五夜)の日です。
十五夜は旧暦の8月15日なので、毎年日にちが変わります。
◇ 中秋の名月(十五夜)について詳しくはこちら。
・十五夜にお月見をする意味と由来!なぜ中秋の名月や芋の名月と呼ぶ?
かっては、お月見どろぼうの行事は中秋の名月(十五夜)の日のほかに、その1ヵ月後の十三夜(旧暦9月13日)にも行われていましたが、今では多くの地域が十五夜のみです。
お月見どろぼうが行われている地域は?
お月見どろぼうのルーツは秋の収穫を祝ったり願ったりする行事だったので、以前は日本各地で行われていました。
現在では、福島県や茨城県、千葉県、愛知県、三重県などで行われています。
特に、愛知県日進市では、お月見どろぼうの風習が根強く残っており、大人から子どもまで参加できる楽しい行事として地域で受け継がれています。
お月見どろぼうのやり方は?
お月見どろぼうが現れる中秋の名月(十五夜)には、大人たちはお月見のお供え物のほかに、簡単なお菓子を用意します。
子どもが喜びそうな駄菓子やクッキー、アメなどを、ダンボールやカゴなどに入れて、家の玄関や軒先など、子どもたちが取りやすい位置にセットします。
お菓子を入れた箱には、
「お月見どろぼうさん、おひとつどうぞ」
「お月見どろぼうさんへ。一人一個でよろしくね」
などと書いてあります。
お月見どろぼうの準備がある家では、玄関に
「お月見どろぼうさん、いらっしゃい」
といった張り紙をして迎え入れるところもあります。
昔は、長い棒の先に釘や針金をつけ、軒先に置かれたお団子を突き刺したりして盗んだといいますが、地域や家ごとにやり方はさまざまです。
インターホンを押して、挨拶してからお菓子を手渡ししてもらうところもあれば、声がけはしないで、お菓子を持ち去るところもあります。
現在では、先述のようにお月見どろぼうの子どもたちも
「お月見どろぼうでーす」
「お月見くださーい」
と声がけして、各家をまわるのが多いようです。
わたしの住んでいる地域にはお月見どろぼうの風習はありませんでしたが、友人や知人に経験者がいます。
子どもの頃にコーラを禁止されていたという元同僚は、お月見どろぼうの日に、コーラを出してくれる家があって、その日だけは親がコーラを飲むことを許してくれるのがメチャクチャ嬉しかったとか。
お月見どろぼうが根ざしている地域では、地元のスーパーマーケットで、お月見どろぼう用のお菓子セットなどが売り出されるとも聞きました。
お月見どろぼうの由来は?
お月見どろぼうはもともと、農作物の実りに感謝する収穫儀礼(しゅうかくぎれい)として行われてきました。
収穫儀礼とは簡単にいうと、秋の収穫がすべて終わったとき、無事に収穫できたお祝いに神様に新米のご飯や餅・おこわ・ぼた餅などを供え感謝するものです。
昔の人は、月の満ち欠けを目安に生活をしており(旧暦)、月は大切な農作業の種まきや収穫時期を教えてくれる神でもありました。
そして、子どもは月の使者と考えられていたので、中秋の名月(十五夜)の日に限っては、お月さまへのお供えを盗むことが許されていたといわれています。
お月見どろぼうの起源とは?
子どもが月の使者だからといって、なぜ「盗む」という行為に及ぶのか、ちょっと疑問に思いませんか?
それにはこんな背景があります。
昔は多くの地方で、中秋の名月(十五夜)のお月見の日だけは、他人の畑の芋を勝手に取って食べてもいいという風習がありました。
勝手に取るというのは、「盗む」ってことですよね^^
ただ、いくらでも取っていいということではなく、『道から片足踏み込んだ所まで』というルールがあったようです。
芋を盗まれても、
「お月さまが持っていかれた」
「神さまがお食べになった」
ということで、縁起がよく、盗まれた畑は豊作になるともいわれました。
たくさんの人で分け合って食べれば、神さまも喜んでくれると解釈したからです。
やがてその畑の芋がお月見のお供えである「団子」に変わり、
「団子を盗まれると縁起がよい、豊作になる」
と言われるようになり、子どもが月の使者という考え方と結びついたのではないかとされています。
今と比べると、昔は食糧難。
農業をしていても、ふだん口にできるものは限られていましたし、天候の影響などで、食べ物の確保はとても大変でした。
他人の畑の芋を食べてもよいとか、子どもが盗んでもよいというのは、困っている人や弱いものを助ける思いやりの気持ちからできた慣わしのようにも思えます。
近代に入り、学校教育が普及するにつれて、「盗む」という行為はよくないとされ、今のような「お菓子をもらう」というスタイルになっていったようです。
お月見どろぼうとは?意味と由来でわかる十五夜の伝統行事のやりかた まとめ
お月見どろぼうは、子どもが主役になって楽しめる十五夜の伝統行事です。
お月見どろぼうが行われるのは、基本、中秋の名月(十五夜)の日。
十五夜は旧暦の8月15日なので、毎年日にちが変わります。
旧暦8月15日にあたる中秋の名月(十五夜)に、飾られているお月見のお供え物を、この日に限って盗んでいいという風習ですが、実際のところは、子どもたちが家々をまわり、お菓子をもらいます。
今のように電気がなかった昔の人にとって、闇夜のお月見は神秘的な行事でした。
大人にとっては風流でも、子どもにとってお供えを盗んでOKの日というのは、さぞワクワクする日だったと思います。
中秋の名月の月明かりを頼りに、子どもたちが工夫をこらしてお月見どろぼうをしている様子を想像すると、ちょっと微笑ましいものがありますね。
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